台湾、1.2万人の中国出身配偶者に証明要求 未提出なら身分取消リスク
台湾の大陸委員会(陸委会)は先に、約1万2000人の中国出身配偶者に対し、中国の戸籍をすでに失っていることを証明する「除籍証明」の提出を求めた。これに対し、中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)は、追訴期間を過ぎており違法で権限濫用だと批判した。これについて、陸委会の梁文傑副主任委員は「両岸で二重身分が確認されれば、台湾の身分を取り消さざるを得ず、追訴期間の問題ではない」と述べた。梁氏は「除籍証明を提出しない限り、台湾での身分は取り消しのリスクにさらされる」と強調した。
台湾の規定では、中国出身配偶者は台湾で6年間定住し、中国の戸籍を放棄して初めて台湾の身分証を申請でき、その際に中国大陸戸籍の喪失を証明する書類を提出する必要がある。現在、台湾には約36万人の中国出身配偶者がおり、うち14万人が台湾の身分証を取得している。しかし陸委会が昨年実施した調査で、身分証を取得した中国出身配偶者のうち約1万2000人が中国大陸戸籍の喪失証明を提出していないことが判明した。陸委会は移民署を通じ、これらの人々に証明の追加提出を求め、期限を6月30日としたが、期限後もなお1000人以上が未提出のままだ。
国台弁の陳斌華報道官は16日、「民進党当局はすでに追訴期間を過ぎているにもかかわらず、長年台湾に居住する中国出身配偶者を狙い撃ちにしている。これは典型的な違法であり権限濫用だ。大陸は広大な中国人配偶者の故郷であり、迫害する台湾独立勢力の手先は絶対に許さず、法に基づいて厳正に追及する」と述べた。
梁氏は16日の定例記者会見で、7月16日までに証明書を提出したのは6569人、宣誓書で代替した人や大陸での手続き延期を申請した人、長期出国中の人は4287人に上り、特別対応対象者のうち合計で89.4%を占めると説明した。現在も連絡が取れないのは1290人で、「該当者を見つけるまでは身分を直ちに取り消すことはしないが、移民署はあらゆる手段を使って探す」とした。
梁氏によると、これまでにすでに10人の中国出身配偶者が自ら台湾の身分を放棄した。その理由について「中国大陸で享受している社会保障を手放したくない人、相続する財産が大陸にある人、台湾の配偶者が亡くなり大陸に戻りたい人など、当人の意思を尊重している」と語った。
また梁氏は「国台弁は、20年、30年も台湾に住む中国出身配偶者を対象にしているから追訴期間を過ぎていると言うが、これは法制度への理解が足りず、誤った情報を広めている」と指摘した。その上で「単一身分制度は『両岸人民関係条例』に基づいており、二重身分が判明すれば、期間の長短にかかわらず台湾の身分を取り消さなければならず、執行期間や追訴期間の問題ではない」と述べた。
梁氏は最後に「追訴期間とは刑法の概念であり、国台弁は中国出身配偶者を犯罪者のように扱っているが、私たちはそのような考えでこの問題を処理してはいない。国台弁が言う『圧迫』という指摘は全く正しくない」と強調した。
編集:柄澤南 (関連記事: 評論:中国籍配偶者の「除籍証明」、民進党の新たな資金源か? | 関連記事をもっと読む )
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