東京・六本木ヒルズ森タワー52階の展望施設「東京シティビュー」で、夏季限定イベント「天空の星まつり」が6月20日から9月7日まで開催されている。日本の伝統行事である七夕と最新の天文投影技術を組み合わせたこの催しは、親子連れやカップルはもちろん、訪日外国人観光客からも注目を集めている。

イベントを企画した担当者は、「今回、どんなことをやると展望台らしいイベントになるのか、どういった方々に喜んでいただけるのかをまず考えました。現在、海外からのお客様が非常に多くいらっしゃるので、その方々に東京の中心地、しかも高層階の展望台という特別な場所で、ここでしか体験できない価値を提供したいと考え、七夕という日本の文化を紹介することや、星空、宇宙をテーマにイベントを展開しています」と話す。さらに、短冊に願いを書いて飾る体験も取り入れ、「特に夏らしさ、そして何か一つアクションを起こしてもらう仕掛けとして、短冊に願いを書く体験を盛り込みました」と説明した。
会場では、星空投影機「MEGASTAR」によって、約400万個の星が壁面に映し出される。日没後には、天の川が鮮明に浮かび上がり、都心では見ることが難しい幻想的な星空が広がる。来場者の影が星とともに映り込む演出も人気で、写真映えするスポットとしてSNSでも話題になっている。
また、短冊に願いを書いて竹に飾る七夕飾り体験も好評だ。英語、中国語、ドイツ語など多言語の短冊も用意されており、「世界平和」や「幸せになりたい」といったさまざまな願いが並ぶ。週末には短冊がびっしりと飾られ、多くの来場者が足を止める光景が見られる。

台湾からの観光客も多く訪れており、担当者は「台湾にも七夕に似た文化があり、短冊を竹に飾る習慣があると聞いている。自然に楽しんでいただけるのではないか。特別な夏の夜空をぜひ体験してほしい」と語っている。
さらに、音楽ユニット「Vegetable Record」が七夕や宇宙をテーマに制作したオリジナルBGMが会場に流れ、空間全体に一層の広がりを与えている。
「星まつり」という名称についても担当者は、「星まつりは七夕の別名で、本来は旧暦の7月7日に行われていた。今年は旧暦の七夕が8月29日なので、その時期まで開催することで、夏の日本文化をまるごと体験してもらいたい」と語る。
展望台内には「宇宙はどこまで見えてるの?」と題したコーナーも設けられ、NASAなどが提供するビジュアル資料を用いて、太陽系から銀河系の外まで広がる宇宙観測の最前線を紹介している。星空の美しさだけでなく、科学的な視点で宇宙の奥深さに触れることができる。
担当者は「地上の喧騒を離れ、空に近い場所でゆったりと星を眺めてほしい。文化や願い、そして科学的な見方も含めて体験してもらえたら」と話している。展望台からは、富士山や渋谷方面、首都高速を一望でき、壁面に映し出される天の川と地上の光景が「二つの銀河」のような幻想的な風景を描き出している。
編集:梅木奈実 (関連記事: 松本零士の世界に浸る夏 『銀河鉄道999』50周年展、東京シティビューで開催中 限定グッズも人気 | 関連記事をもっと読む )
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