岩屋毅外務大臣と中国の王毅外相は、7月10日にマレーシアで開催されたASEAN外相会議の期間中に二国間会談を行った。外務省は同日夜、外国記者向けに会見内容を発表し、両外相が約45分にわたり、東シナ海の情勢、台湾海峡の平和、経済・貿易問題、地域の安全保障など、幅広い議題で意見を交わしたことを明らかにした。
双方は、対話と意思疎通を引き続き強化し、関係の改善と発展を目指す方針を再確認した。多くの課題を抱える中でも、経済や安全保障など各分野での協力を深化させていく意向を共有した。今回の対面は、2023年12月および2024年3月に行われた相互訪問に続くものとなった。
会談では、岩屋氏が中国側のいくつかの措置に対して懸念を表明。まず、レアアースや磁石の輸出管理が日本企業に悪影響を及ぼしていると指摘し、輸出許可の迅速な手続きを要請した。これに対し王毅氏は、所定の規定に基づき手続きが完了すれば、日本側の正常な需要には支障がないと述べた。
食品輸入に関しては、中国側が日本の水産物輸入再開に向けた手続きを進めていることを確認。岩屋氏は、日本の10県からの水産物に対する輸入禁止措置の早期解除を重ねて求めた。また、牛肉輸出に関しては、早期に「日中動物衛生検疫協定」の発効を目指すことで一致し、輸出再開を推進する方針を共有した。
安全保障分野では、岩屋氏が中国海警船によるヘリ搭載での日本領空への接近、自衛隊機への中国軍機の接近、空母の活動拡大、そして東シナ海での一方的な資源開発などが、特に尖閣諸島周辺での緊張を高めていると厳しく批判。さらに、中国に拘束されている日本人の早期解放を強く求め、これらの事件が両国の国民間の交流や感情に深刻な影響を与えていると懸念を示した。
台湾海峡に関しては、岩屋氏がその平和と安定が日本を含む国際社会全体にとって極めて重要だと強調。中国による台湾周辺での大規模な軍事演習はこの原則に反していると指摘し、日本は武力や威圧による現状変更に一貫して反対しているとの立場を表明した。加えて、南シナ海の情勢についても深い懸念を示した。
このほか、北朝鮮の核・ミサイル開発や拉致問題、中東地域の情勢についても意見が交わされた。双方は、外交対話を通じた平和的な解決が必要であるとの認識を共有し、地域の安定のために引き続き外交努力を重ねていくことを確認した。
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編集:田中佳奈
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