福島事故から14年──日本が再び「原発復興」に舵を切る理由とは

2025-07-08 13:24
2011年11月12日に撮影された福島第一原発第4号機の当時の外観。(AP通信)
2011年11月12日に撮影された福島第一原発第4号機の当時の外観。(AP通信)
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2011年3月11日、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故は、世界の核安全性に対する痛ましい教訓となり、日本を一時的に全面的な脱原発に導いた。しかし14年後の現在、エネルギー価格の高騰と人工知能(AI)の驚異的な電力需要による二重の圧力を受け、この地震が頻発する島国は静かにエネルギー政策の転換を進めつつある。埋もれた核反応炉を再稼働させ、次世代の核電技術に道を開くという「原発復興」は、日本の経済の命運や脱炭素目標を左右し、再度核安全性に対する激しい議論を呼び起こしている。

福島原発事故後、日本国内の54基の商業用原子力発電所が次々と閉鎖され、原発が全発電量に占める割合は約30%からほぼゼロにまで落ち込んだ。しかし、英国の『ファイナンシャル・タイムズ』(Financial Times)とロイター(Reuters)によると、2025年初頭までに日本政府は14基の原子力発電所の再稼働を順次承認し、原子力の割合を約8.5%にまで回復させる計画である。この変革の背景には、日本政府のエネルギー政策の根本的な調整がある。

「最小化」から「最大化」へ:日本のエネルギー政策の歴史的転換

2024年の年末、日本政府は2040年までのエネルギー基本計画を正式に改訂し、過去の「可能な限り原子力依存の低減」という方針を「再生可能エネルギーと原子力などの脱炭素電源を最大限に活用」に変更した。この政策の宣言により、日本は「ポスト福島時代」の核エネルギーへの躊躇期を終え、エネルギー安全と2050年のゼロカーボン目標実現のための核の再定位を正式に打ち出した。2040年までに原子力発電の割合を20%に引き上げ、化石燃料の発電割合を2023年の約70%から30%~40%に大幅削減する予定である。

『ファイナンシャル・タイムズ』は、この大きな転換の主要な推進力として、まずロシア・ウクライナ戦争による世界的な天然ガス価格の高騰を挙げた。世界第2位の液化天然ガス輸入国である日本はこれに大きく影響を受け、エネルギーコストの急騰が産業生産や生活経済に直接的な打撃を与えている。次に、人工知能(AI)の発展によって生まれた「膨大な電力需要」である。過去には、高齢化と少子化により、日本国内の電力需要は減少が予測されていたが、AIデータセンターの驚異的な消費電力がこの予測を覆した。

経済産業省(METI)は、AIデータセンターの電力需要は2030年までに倍増または三倍になる可能性があり、日本の電力網に前代未聞の挑戦をもたらすと見積もっている。このような状況の下で、安定した基幹電力を提供できる原子力は再び決定者にとって重要な選択肢となっている。 (関連記事: 特別インタビュー》米軍、イラン核施設を精密爆撃 NATO覚醒で全加盟国「防衛費5%」合意へ 関連記事をもっと読む

旧発電所の再稼働だけでなく:日本の「次世代核電」計画

日本の原発復興計画は、旧反応炉の再稼働に限らず、政府は5種類の「次世代原子炉」の開発計画を策定し、福島第一原子力発電所で使用された沸騰水型原子炉よりも安全な技術の採用を目指している。

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