一見すると普通のミニバスのようなこの車両が、実は堂々と線路の上を走っている。初めて見る人にとってはまるで映画『トランスフォーマー』のワンシーンのように映るかもしれない。
ミニバスが線路に?世界初のDMV自動車/列車デュアルモード車!
このユニークな乗り物は、世界で初めて実用化されたDMV(デュアル・モード・ビークル)。開発したのは、日本の徳島県と高知県を結ぶ第三セクター「阿佐海岸鉄道」だ。10年もの歳月をかけ、ミニバスをベースに道路と鉄道の両方を走行できる車両に生まれ変わらせた。

変形にかかるのはわずか15秒!「列車⇄バス」の切り替えは一瞬
DMV最大の特徴は、たった15秒で道路モードから鉄道モードに変形できる点にある。道路では通常のゴムタイヤで走行し、線路に入ると鉄製の車輪が車体下部から展開され、列車のようにレール上を走る。この切り替えの動作は“バス界のトランスフォーマー”とも呼ばれ、実際に目にすると誰もが驚きを隠せない。
車両はディーゼルで駆動し、定員は21名。道路では時速100キロ、線路では時速60キロで運行する。スムーズな変形と走行性能により、輸送手段としての柔軟性と話題性を兼ね備えている。


地域を支え、観光も牽引 四国に広がるDMVの可能性
このDMVは単なる交通機関としてだけでなく、高齢化が進む地域の移動手段としても注目を集めている。さらに災害時には救援車両としても活用が期待されており、地域の「頼れる足」になりつつある。
沿岸部を走行するそのルートは、四国南部の風景を間近に楽しめるとあって観光需要にも対応している。観光列車としての役割も果たし、移動しながら絶景を堪能できる新しい鉄道体験を提供している。

三色のDMVが走る、鉄道ファンの新たな聖地
現在、三台の異なるカラーリングのDMVが運行中。徳島県の阿波海南文化村から高知県の東洋町までを結ぶ路線で、鉄道と小さな町をつなぎ、地域に新しいにぎわいをもたらしている。
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このユニークな車両は、鉄道好きにも注目の的。海岸沿いの絶景とともに、移動手段の常識をくつがえす体験が味わえるとあって、すでに“鉄道ファンの新聖地”として人気を集めている。