中国・北京の対外経済貿易大学で教鞭を執るグレゴリー・W・スレイトン氏は寄稿文の中で、習近平氏がすでに実権を失っている可能性があり、8月にも退陣する恐れがあると指摘した。多くの関係者が今回も単なる憶測に過ぎないと見なしていた中、習近平氏は異例にもBRICS首脳会議を欠席した。
習近平氏、在職中「初めての欠席」BRICSサミット
中国外交部の報道官、毛寧氏は2日、ブラジル・リオデジャネイロで開催される金磚国家(BRICS)首脳会議に、国務院総理の李強氏が代理出席すると発表した。習近平氏が中国共産党の指導者に就任して以来、金磚国家首脳会議を欠席するのは今回が初めてである。
香港メディア「南華早報」は、中国側が習近平氏の欠席について日程調整の都合によるものと説明したと報じた。しかし、新唐人テレビは分析者の見解を引用し、国際舞台での露出を決して怠らない習近平氏が異例の欠席をしたことで、失脚説が一層広まっていると伝えている。
繰り返される健康不安 習近平氏「側近が姿を消す」
2025年5月から6月にかけての習近平氏の短期間の姿を隠す動きや、習近平氏に近い立場の解放軍将校数十名の交代や謎の死去、さらには側近の警護人数の大幅な減少などから、習近平氏の権力がかつてほど集中していないことがうかがえる。
グレゴリー・スレイトン氏は「ニューヨーク・ポスト」のコラムで、習近平氏の退陣説は初めてのものではないが、最近の兆候から「その可能性は大幅に高まっている」と指摘している。加えて、6月に習近平氏がベラルーシのルカシェンコ大統領と会談した際、明らかに疲弊し落胆した様子が見られたという。
胡錦濤らが主導か 現職、次期指導者が明らかに
スレイトン氏は、現在の実権を握る人物は、かつて習近平氏の腹心とみなされながらも決裂した中共中央軍事委員会副主席の張又侠氏であると指摘している。さらに、背後で操るのは、2023年の中国共産党第20回全国代表大会閉幕会議で習近平氏に「強硬に退場を命じられた」とされる胡錦涛前総書記や、一部の党の元老たちだという。
これについてスレイトン氏は、習近平氏が健康状態の悪化などの理由から、2025年8月に退任を表明するか、名目上の職務にとどまる可能性が高いとみている。現状では、形だけの役割を果たす傀儡にすぎず、すでに権力の座を失っているとの見方だ。
後継者については不確定要素が多いが、張又侠氏や胡錦涛氏ら元老が支持する人物として、鄧小平氏に抜擢され、中国国務院副総理や全国政治協商会議主席、党組書記などを歴任した汪洋氏の名前が挙がっている。70歳の汪洋氏は自由市場や政治的自由、ソフト外交を唱える自由主義者であり、比較的穏健な改革派とされている。技術官僚として成功を収め、2023年に「やむなく引退」を余儀なくされた人物だ。
編集:柄澤南 (関連記事: 習近平氏、ロシアを通じて欧州けん制か NATOは台湾有事との連動に警鐘 | 関連記事をもっと読む )
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