日本政府は7月1日、南海トラフ巨大地震に備える新たな防災政策「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」を閣議決定した。最悪の場合で約29万8000人の死者、235万棟の建物倒壊が予測される中、同計画では今後10年以内に死者数を最大80%削減し、建物の全壊数を半減させる目標が掲げられている。
今回の計画では、従来の48項目から205項目へと対策を大幅に拡充。避難路や防災拠点の整備、自治体の情報発信体制の強化など、多角的かつ具体的な対策が盛り込まれた。
鹿児島・トカラ列島で地震が頻発 避難判断の可能性も
一方、鹿児島県の吐噶喇列島では、6月21日以降、地震が相次いでいる。これまでに記録された地震は847回にのぼり、震度5弱の地震も複数回観測されている。7月2日未明には、悪石島沖を震源とするマグニチュード5.1の地震が発生した。
現地の村長は「避難指示は出していないが、生活に支障が出れば村の一時退避を再検討する」と述べ、切迫した状況がうかがえる。
「7月5日大地震説」広がるも、政府は冷静な対応を呼びかけ
こうした地震活動の活発化に加え、漫画家・竜樹諒氏の作品内で言及された「7月5日に大地震が起きる」という記述がSNSなどで拡散され、一部で不安が高まっている。ただし、政府や専門家は「科学的根拠は一切ない」として、冷静な行動を求めている。
台湾への波及リスクも 防災体制の再点検を
日本の防災政策は、地震や津波リスクを抱える台湾にとっても大きな教訓となる。南海トラフは琉球海溝を経て台湾に接しており、津波や地震の影響が広範囲に及ぶ可能性がある。避難ルートの明確化や、避難所の耐震基準の見直しなど、台湾においても防災体制の再検討が求められる局面に差しかかっている。
編集:梅木奈実 (関連記事: 日本から50キロ!「伝説の深海魚」が異例の5回出現──「地震の予兆か」と憶測も | 関連記事をもっと読む )
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