トランプ減税法案、上院を僅差で通過 副大統領が決定票、共和党内に深まる亀裂 米国債・医療保険の危機が目前に

2025-07-02 13:40
2025年6月30日、アメリカ合衆国連邦議会の一角。共和党はトランプ大統領の大規模減税と支出削減法案を積極的に推進している。(AP通信)
2025年6月30日、アメリカ合衆国連邦議会の一角。共和党はトランプ大統領の大規模減税と支出削減法案を積極的に推進している。(AP通信)
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数日にわたる激しい議論と徹夜の審議の末、米連邦上院は現地時間7月1日火曜日、51対50という僅差で、トランプ大統領が推進した大型税制・歳出法案(「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法案」)を可決した。この決定的な一票は、副大統領J・D・ヴァンスが投じ、ようやく膠着状態を打破した。しかし、本法案は減税政策の延長、社会福祉の大幅削減、国防費の増額を目的としており、共和党内の深刻な分裂をさらに悪化させるとともに、米国をより深刻な政治的混乱と国債危機へと追い込むものである。

ロイター通信は、「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法案」がトランプ大統領の第2期任期における重要な立法課題と位置付けられていると指摘している。本法案は、トランプ氏が2017年に署名した減税措置の恒久化を目指すとともに、チップや残業代に対する新たな税控除を盛り込んでいる。歳出面では、軍事費および国境の移民取り締まり予算を大幅に増額する内容である。しかし、その代償として、約9300億ドルに上る医療補助制度および低所得家庭向けの食糧支援計画が削減され、また前大統領バイデン政権下で推進された複数のグリーンエネルギー促進策が廃止されることになる。

非党派の議会予算局(CBO)の試算によれば、本法案は今後10年間で3兆3000億ドルの国家債務を増加させ、既に36兆2000億ドルに達している米国の国債残高をさらに悪化させる見込みである。

上院で深夜の攻防、共和党議員3名が反旗を翻す

この表決の過程は波乱に満ちていたと言える。共和党がわずかな多数で上院を掌握している状況下では、一票一票が極めて重要であった。最終的に、共和党の北カロライナ州選出トム・ティリス氏、メイン州選出スーザン・コリンズ氏、ケンタッキー州選出ランド・ポール氏の3人の上院議員が、全47名の民主党議員とともに反対票を投じ、J・D・ヴァンス副大統領が膠着を破る決定的な一票を投じざるを得なくなった。

「これはひどい過程だった」と、最後の瞬間に賛成に回ったアラスカ州選出リサ・マーカウスキー共和党上院議員は声明で述べている。「虚構の締切に追われて突き進む姿勢は、この機関のあらゆる限界を試すものだった」。マーカウスキー氏の態度転換は、法案にアラスカ州などへの追加食糧支援資金と、Medicaid削減の影響に対応するため地方病院支援の500億ドル条項が盛り込まれた後に起こったものである。彼女は賛成票を投じたものの、本法案には依然として疑念を抱いており、「本法案は両院間でさらなる協議が必要であり、大統領署名に向けてまだ準備が整っていない」と指摘している。

「これは財政責任ではない!」保守派と穏健派の内紛

本法案は現在、共和党が同様に僅差で多数を占める(220対212)下院へ送付されたが、その行方は予断を許さない。下院版の法案は5月にわずか2票差で辛うじて可決された経緯があり、今回の上院版はそれよりも8,000億ドル多い財政赤字を見込んでいることから、下院共和党内で強い反発を招いている。党内の対立は、この法案を通じて一層鮮明となった。

一方で、「下院フリーダム・コーカス(House Freedom Caucus)」を中心とする強硬保守派は、上院版法案の赤字規模が過大であり、政府支出の削減が不十分だと批判している。フリーダム・コーカス所属のチップ・ロイ議員は、「党内には上院版に強い懸念を抱く議員が相当数いる」と述べ、可決への道のりが困難であることを示唆している。

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