京華城開発に絡む汚職事件の審理が、約1カ月の中断を経て2025年7月1日に台北地方法院で再開された。この日の法廷では、元台北市副市長の彭振聲氏、都市発展局元執行秘書の邵琇珮氏、そして業者・鼎越開発の元董事長である朱亞虎氏による調書の録音が確認された。検察側の尋問が適正であったか、あるいは違法性があったかが焦点となっている。
彭氏は2024年末に罪を認め、500万元(約2,400万円)で保釈されたが、今回の審理に先立ち、高雄の自宅から「妻が飛び降り自殺した」との連絡を受け、法廷で「自分は無実だ」と声を荒げて号泣。その姿は、審理に予期せぬ影響を及ぼす可能性があるとして注目されている。
京華城事件では、彭氏が収賄の疑いで拘束された後、罪を認めたことで元台北市長の柯文哲氏との立場の違いが浮き彫りとなり、検察の捜査は大きく進展したとされる。保釈後、彭氏は高雄の自宅に戻り妻と再会していたが、法廷では朱亞虎氏、劉秀玲氏、邵琇珮氏、林欽榮氏、林洲民氏などの証言を通じ、柯氏側の弁護団が「これらの供述は検察の不正尋問によるものではないか」との疑念を示した。
こうした経緯から、法廷では7月1日に関係者の録音を確認することが決定された。調書の正当性が改めて問われる中、彭氏の供述の信頼性や捜査手続きの妥当性が、今後の審理の鍵を握る見通しだ。

彭氏の妻の死 背後にどのような真実があるのか?
7月1日午前に行われた録音確認では、彭氏の音声が2時間12分と17分の2本に分かれて提出され、妻の死を知った後の発言として「どうしてこの国に生まれたのか、自分は無罪だ」と訴える場面も収録されていた。彭氏は、妻がこの録音確認の予定を知っていたことで精神的に追い込まれた可能性を示唆しており、この点については今後の調査が待たれている。
また、法廷の外で偶然出会った民衆党の立法委員・陳智菡氏によると、彭氏は「妻を心配させたくなかったため、当初は罪を認めた」と語ったという。さらに、「自分に何かあった場合、弁護士がすべての真実を明らかにする」と話していたことも明かされた。
陳氏は、彭氏が「業者から賄賂を受け取っておらず、何の罪も犯していない」と訴えていたとも記している。彭氏によれば、台北市在任中に関わった建設業者と自身の口座はいずれも検察によって調査されたが、不正の証拠は確認されなかったと主張している。 (関連記事: 台北地裁で元副市長が号泣 妻の飛び降り自殺に「検察官の良心はどこに」 審理一時中断 | 関連記事をもっと読む )

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彭氏が、自身の無実を陳智菡氏に訴えた際に口にした「自分がいなくなったら」という発言について、一部では妻の死を予感していたのではないかとの見方も出ているが、詳細には触れられていない。同事件には未だ明かされていない事実が残されている可能性があり、彭氏は妻を思って沈黙を貫いていたものの、今回の悲劇を経て、今後の供述が検察の主張を補強するのか、あるいは逆に覆すものとなるのかが注目されている。