評論:わが国は取り戻せるのか?

2025-07-02 13:05
前台北市長の柯文哲氏(左)と前台北市副市長の彭振聲氏(右)が「司法の友」としてタッグを組んだ。(柯承惠撮影)
前台北市長の柯文哲氏(左)と前台北市副市長の彭振聲氏(右)が「司法の友」としてタッグを組んだ。(柯承惠撮影)
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台湾・前台北市副市長の彭振聲氏が京華城案件への関与で出廷した際、妻が自死したとの知らせを受け、法廷の外で慟哭しながら「私は無実だ。なぜ台北に来たのか。私は国に申し訳ないことをした。検察官は私の命を奪おうとしている。検察官に良心はあるのか。なぜ私はこのような国に生まれたのか」と声を上げた。訴えの一言一言は、血と涙に満ちていた。

彼の叫びが、自らの運命、さらには京華城案件の行方を変えることになるのかは、依然として不透明である。さらには、この悲劇を引き起こした検察官に、ほんのわずかでも良心の呵責があるのかどうかについても、疑念が残る。

炎天下で声を上げる市民 VS 冷房室で権力者を称える特権層

「権力に責任を伴わない独裁的な総統制を終わらせ、国家を国民に取り戻す」――これは前台北市長であり、民眾党の前主席である柯文哲氏が大統領選に出馬した際の公約である。だが残念なことに、選挙が終わって間もなく彼は「京華城利益供与事件」の被告として拘束され、約10か月間勾留された。さらに悲しいことに、同じ事件で「自白して保釈」を認められた彭振聲被告は、捜査段階の証拠調べに出廷した際、妻が精神的圧迫に耐えきれず自ら命を絶ったことを知った。柯文哲氏の「擁護者」として知られる医師、沈政男氏は自身のFacebookで「皆が立ち上がり、国家を取り戻さなければ、次はあなたやあなたの家族かもしれない」と呼びかけている。果たして、我々の国家はまだ取り戻すべきなのだろうか。

同じ時期に、検察は「大規模リコール連署」の名の下に、全国で国民党中央党部や花東・南投などの地方党部を捜索した。皮肉なことに、大規模リコールの第二段階では国民党に対する罷免が圧勝し、民進党側は一つも成功しなかったにもかかわらず、司法の追及は緩まることなく続いている。政治的連署行為が偽造文書罪に問われ、前代未聞の勾留を受けているのだ。拘束された国民党の党員やボランティアたちは、起訴されてもなお拘留が続いている。もはやこれは検察の問題に留まらず、司法の崩壊を示している。「審判する側」(裁判所)は「検察側」を権力の意志の実行者と見なし、妥協し従属している。不当な勾留による人権侵害は、審検双方の考慮から完全に除外されてしまっている。

一方、「大規模リコール」を得意げに推進し「国家団結十講」を掲げる賴清德総統は、国際ライオンズクラブの「第四講」にて、野党が国防予算を凍結したと「虚偽」を繰り返す。しかし実際には、今年三読可決された国防予算は史上最高額であり、部分的な凍結(国産潜水艦計画)は国防部長の承認を得ている。場内では総統に拍手喝采を送り、お世辞を惜しまない「獅友(ライオンズクラブ会員)」の重役たちと、台北地方裁判所の「柯支持の小草(一般市民)」たちは、この国の平行世界の対照的な存在である。前者は総統と写真を撮り、権力と資源の甘美さを共有し、後者は酷暑の中で司法の冷酷さを身をもって体験し、心に深い怨恨と復讐の種を植え付けている。いったい「団結」はどこから生まれるのか。

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