7月26日に予定されている台湾国民党の立法委員24人と新竹市長・高虹安氏に対する「大規模リコール」が迫るなか、民進党はこの動きに呼応し、市民団体を全面的に支援するよう指示を出した。賴清德総統は「団結国家十講」と題した政治キャンペーンを始動し、選挙とリコールを通じて「雑音を排除し、主権と民主主義を守る鋼の意志を育てる」と訴えている。
これに対して、国民党は大統領選と同様の陣形で対応し、各地で防衛体制を整える方針を示した。一方、立法院でキャスティングボートを握る民衆党の黄國昌氏は支持者に向けて、「これは賴清德政権に対する不信任投票だ」と述べ、明確な反対意思を示すよう呼びかけた。だが、比例区のみで議席を持つ民衆党が、なぜこのリコールに神経をとがらせているのか。

国民党と同舟の構図 ドミノ式崩壊への危機感
報道によれば、民衆党が今回の大規模リコールに反対する理由は三つあるという。第一に、自党所属の新竹市長・高虹安氏が罷免対象に含まれており、その成否が党の名誉と信頼に直結するためだ。
第二に、国民党の立法委員が12議席以上を失い、その3分の1が民進党に渡れば、57議席を持つ民進党が立法院で過半数を超えることになる。そうなれば、8議席しか持たない民衆党は完全に発言力を失うことになり、政治的な存在感が大幅に低下する恐れがある。
第三の懸念は、8月23日に予定されている「核三プラント継続運転」の国民投票だ。これは民衆党が主導している政策課題だが、選挙のない年はもともと投票率が低く、さらに今回のリコールで野党陣営が打撃を受ければ、支持者の士気も下がり、国民投票の成立が厳しくなる可能性がある。
もし国民投票まで失敗すれば、民衆党は二重の敗北を喫することになり、2026年の地方選挙にも暗い影を落としかねない。民衆党幹部はこう語っている。「国民党の議員を助けるのは、他人の子を育てるようなものだが、今は国民党と民衆党が一本のロープでつながれている。誰かが転べば、共倒れになりかねない」と。
今回、柯文哲氏が掲げてきた「合理性」や「現実主義」が表に出ることはなく、黄國昌氏の計算ずくの戦術が政党の運命を左右する局面となっている。

鍾氏・游氏とのしこり残るなか、黄國昌氏が「旧恨を忘れよ」と呼びかけ
民衆党は、立法院で国民党に歩調を合わせざるを得ない状況にあるが、2024年の国民党・民衆党連携失敗や、台北市の国民党議員・鍾小平氏と游淑慧氏が民衆党をメディアで批判した経緯から、一部の支持者には国民党への反感が根強く残っている。そうした中、党代表の座談会で黄國昌氏は「個別の国民党議員に対する不満は理解できるが、緑の勢力と戦うためには過去の怒りを捨ててほしい」と語り、賴清德総統への「否定票」を投じるよう支持者に呼びかけたという。
民衆党は、核三プラント継続運転を問う国民投票の成否が、党の存続に直結すると認識している。党本部は、投票日までに全ての公職者および地方支部が対話集会を開催するよう指示を出しており、地方支部は最低3回、議員と立法委員は2回、党代表は1回の集会を開く必要がある。また、リコール投票直前の週末や国民投票の前日には、大規模な集会も予定されている。