台湾・群創光電がパイオニアを完全買収 1636億円で全株取得、米上場も視野に

2025-06-27 11:21
台湾のパネル大手・群創光電の洪進揚董事長は26日、子会社CarUXが日本の老舗企業パイオニアを約1636億円で完全買収すると発表した。(写真はイメージ/photoAC)

台湾の大手ディスプレイメーカー・群創光電(Innolux Corporation)の董事長(会長)である洪進揚氏は6月26日、同社の子会社であるCarUXが日本の老舗企業・パイオニア株式会社(Pioneer Corporation)の全株式を取得し、完全子会社化することで正式合意に至ったと発表した。買収金額は約1636億円で、世界的投資会社EQTとの間で契約が締結された

CarUX、パイオニア買収で車載ソリューションの中核企業へ

洪氏は台湾証券取引所で行われた記者会見で、「パイオニアは車載オーディオ、マルチメディアシステム、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)分野において、総合的な技術力と世界中の完成車メーカーとの強固な関係を有しており、CarUXの成長戦略にとって大きな価値を持つ」と述べた。

今回の買収によって、CarUXはアジア太平洋市場での存在感を高め、グローバル展開の多角化も一層進む見込みだ。特にパイオニアが長年培ってきた車載オーディオ技術を活用することで、CarUXは多様な車載プラットフォームに対応可能な主要サプライヤーへと飛躍することが期待されている

スマートコックピット統合で競争力強化、米国上場も継続推進

両社の技術統合により、CarUXはビジュアル、音響、HMIの各要素を融合したスマートコックピット(次世代車内インターフェース)の高度な統合ソリューションを提供できるようになる。さらに、両社の研究開発および製造拠点を活かし、グローバルな完成車メーカーのニーズにより迅速に対応できる体制が整う。

洪氏は、「今回の買収により、CarUXは従来入り込むのが困難だった日本の自動車メーカーのサプライチェーンにも本格参入する足がかりを得た」と説明。今後は、CarUXのディスプレイおよびタッチ技術とパイオニアの音響・HMIソフトウェア開発力を組み合わせ、次世代スマートコックピット市場での競争力を高める。

買収後の計画:米ナスダック上場準備を継続

なお、この買収取引には国際的な各種規制当局の承認および一般的なクロージング条件の達成が必要であり、詳細な条件については現時点で開示されていない

本件の財務アドバイザーはJPモルガン(JPMorgan)、法律顧問はSullivan & Cromwell LLPが務めている。

CarUXは本社をシンガポールに置き、アジア各地に工場・拠点を構える。欧州およびアジアには4カ所の研究開発センターを設置し、20年以上にわたって世界中の主要自動車メーカーとの信頼関係を築いてきた。主力分野はスマートコックピット用ディスプレイの設計・製造であり、車内体験の革新を目指している。

また、群創光電は既にCarUXの米国ナスダック市場での上場を計画しており、今回のパイオニア買収完了後も引き続きその準備を進めていく方針である

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