アメリカのトランプ大統領は日本時間6月24日早朝、自身のSNS「Truth Social」で、イスラエルとイランが「全面的かつ完全な停戦協定」に合意したと発表した。投稿によれば、両国は今後6時間以内に最後の任務を終え、12時間の停戦に入るという。イスラエル政府は現時点で公式なコメントを出していないが、イラン当局者はロイター通信に対し、アメリカの提案とカタールの調整による停戦案をテヘランが受け入れたことを認めている。
攻撃前に通告、イランの軍事的「演出」?
注目されたのは、イランによる在カタール米軍基地へのミサイル攻撃だ。ニューヨーク・タイムズやブルームバーグの報道によると、この攻撃は事前にアメリカ側に通知されており、基地内部では発射前に避難が完了していた。また、大半のミサイルは迎撃されたとされ、人的被害は報告されていない。地政学の専門家らは、この動きが「象徴的な威嚇」に留まり、衝突のエスカレートを回避するための計算された行動だったと分析している。威嚇と交渉の両面をにらんだ、イラン側の軍事的メッセージとみられる。
カタールが果たした仲介の役割
停戦成立の背後には、カタールによる外交的な調整があったとされる。イラン高官によれば、23日にテヘランを訪れたカタールの外交官が、アメリカからの停戦案を受け入れるよう説得し、成功したという。情報筋は、トランプ氏およびヴァンス副大統領がイスラエルの協力姿勢を伝え、カタールに調停への協力を要請していたと語っている。
トランプ氏は「Truth Social」での投稿の中で、「この地域を数年間脅かしてきた衝突が終結した」と宣言し、両国の「勇気、知恵、忍耐」を称賛。「12日戦争」とも呼ばれる今回の衝突が終結するとの見解を示した。
なぜトランプの投稿が注目されているのか?
トランプ氏の投稿はこう締めくくられている:
「皆さんおめでとうございます!イスラエルとイランの間で合意が成立し、停戦が実施される。公式にはイランが先に停戦を開始し、その12時間後にイスラエルが続く。24時間後、この戦争は終結することになる。双方は停戦期間中、互いに平和と尊重を維持する。勇気と知恵を持ってこの12日間の衝突を終結させた両国を称えたい。
中東を破壊しかねなかった戦争は、起きず、そして永遠に起きない!
神がイスラエルを、イランを、中東を、アメリカ合衆国を、そして全世界を祝福することを祈る!」
この停戦は中東情勢に何を示すのか?
イランはこれまで、アメリカによる核施設攻撃に対し強硬な対応を示唆していたが、今回の反応には抑制が見られた。2020年、革命防衛隊司令官カセム・スレイマニ氏が米軍に殺害された際も、イランは米軍に事前通告のうえ報復を行っており、今回も同様の「計算」が見られる。これは、対外的な威嚇姿勢と、実際の軍事衝突の回避という二律背反を巧みに両立させるもので、テヘランの外交手腕ともいえる。
今回の停戦は恒久的な和解を意味するものではないが、爆発寸前だった中東情勢において、重要な転換点となる可能性がある。
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