台湾・鉱山芸術季「225への手紙」開幕 金瓜石・九份・水湳洞を巡る記憶とアートの旅へ

2025-06-23 12:32
今年の文化ツアーでは3つのテーマルートと9つのツアーを設け、鉱山を訪ねる。(写真/新北市立黄金博物館提供)
今年の文化ツアーでは3つのテーマルートと9つのツアーを設け、鉱山を訪ねる。(写真/新北市立黄金博物館提供)

台湾・新北市立黄金博物館は、2025年の「鉱山芸術季」のテーマを「225への手紙」とし、芸術を使者に見立て、想いや物語を届ける試みを行う。開催期間は6月27日から8月24日まで。会期中は、ランドアート、パフォーマンスイベント、教育普及ワークショップ、文化ツアー体験など、多彩な企画が予定されている。文化ツアー体験では、3つのテーマルート、計9回のツアーを実施。各回定員は18名(定員に達し次第締切)で、地元の達人や画家、詩人が案内役を務める。参加費は200元。現在、参加申し込みを受け付けており、市民に向けて「鉱山の記憶と鼓動をともに感じてほしい」と呼びかけている。

同館の林文中館長によれば、今回の文化ツアーは「手紙」を起点に、「集落」「信仰」「自然」の3つの軸に沿って構成されているという。具体的には、「第一の手紙:金瓜石―信仰の書」、「第二の手紙:水湳洞―自然の歌」、「第三の手紙:九份―黄金に遊ぶ詩」と題した3ルートを設ける。地元住民の案内のもと、参加者は五感を開き、山と海、そして歴史の狭間で、鉱山がこの土地に宛てた心のこもった手紙を読み解いていく体験となる。

藉由行旅讓藝術季帶領旅人認識更多故事。(圖/新北市立黃金博物館)

文化ツアーを通じて、芸術季が旅人により多くの物語を伝える。(写真/新北市立黄金博物館)

「第一の手紙:金瓜石 ― 信仰の書」では、地元の“何でも屋”として知られる張傳益(チャン・チュアンイー)氏が案内役を務める。参加者は地元の人々とともに金瓜石の集落を歩き、多様な信仰が鉱山に根付いていった物語や、この地に寄せられた人々の想いをたどる。ツアーの終盤では、鉱山に伝わる特有の祭事「青草祭」に触れ、地元の物語に耳を傾けつつ、土地の茶を味わいながら、夏の暑さと心の渇きを癒やす時間が設けられている。

「第二の手紙:水湳洞 ― 自然の歌」では、「水湳洞はまるで神がこぼした絵の具のよう」と称される美しい風景の謎に迫る。案内を務めるのは地元の長老・李文章(リー・ウェンジャン)氏。山のあちこちに点在する鮮やかな色彩の由来をひもときながら、参加者は印象に残った色を記録していく。旅の後半では、絵本作家の李晨豪(リー・チェンハオ)氏とともに、自らの心に映る「鉱山の風景」を描くワークショップも実施される。

「第三の手紙:九份 ― 漫金の詩」では、九份名物の赤い提灯を手に、地元案内人Max氏とともに夜の九份老街を巡る。灯りに照らされた路地を歩きながら、かつて金を夢見てこの地に集い、夜な夜な遠く故郷に想いを馳せた人々の姿に思いを重ねる。旅の終盤には、詩人・陳繁齊(チェン・ファンチー)氏とともに鉱山にまつわる詩作にも挑戦。灯火ひとつひとつに息づく詩情を言葉に綴るひとときとなる。

三通の手紙は、それぞれが山と海との対話を紡ぎ出す。今夏、鉱山芸術季と文化ツアーは、参加者に「鉱山へと足を運び、手紙を受け取り、そして自らも手紙を綴る」体験を呼びかけている。

詳細なイベント内容や申込情報は、公式サイト(https://mineartfestival.com)、黄金博物館のFacebookページおよびInstagramにて確認できる。

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