舞台裏》新竹で政局激化 柯文哲の本命地を守るため黄国昌がリコール阻止へ奔走

2025-06-20 12:46
事件に関与し職務停止中の新竹市長・高虹安氏(中央)がリコール戦で反撃を目指す。(資料写真/民衆党提供)
事件に関与し職務停止中の新竹市長・高虹安氏(中央)がリコール戦で反撃を目指す。(資料写真/民衆党提供)
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大規模なリコール運動が台湾全土で展開される中、汚職事件に関与して解雇された新竹市長の高虹安氏も対象となっている。6月15日、民衆党は新竹駅前で演説を行い、高虹安氏は「リコールは市民の発起ではなく、民進党による政権奪取、政党の報復だ」と批判した。民衆党の黄国昌主席も、全ての党職員に立ち上がるよう指示したことを明らかにした。

現職新竹市代理市長の邱臣遠氏は、現段階の世論ではリコール賛成派の投票意欲が高いため、民衆党には楽観する余裕がないと述べた。新竹市は民衆党唯一の統治都市であるため、その結果は各界の注目を集めている。一方で、高虹安氏は国民党の大先輩に助言を求めていると伝えられている。

20250615-民眾黨15日於新竹舉辦宣講。(民眾黨提供)
新竹市は前民衆党主席の柯文哲氏の出身地であり、民衆党唯一の統治県市として、党全体の士気に影響を与える重要な地域である。(資料写真/民衆党提供)

柯建銘氏による新竹活動 民衆党も警戒不可

多くのリコール団体は市民の発起を主張しているが、新竹市の前市長は柯建銘氏の後任者、林智堅氏だった。民進党から立候補した陽明交大教授の林志洁氏は「新竹ダブルリコール運動」(高虹安氏と国民党議員鄭正鈐氏のリコール運動)スポークスパーソンを務めている。5月4日に林志洁氏は、ダブルリコール運動が新竹市の多くの議員から支持を受けていると発表し、「民進党新竹市党部の施乃如主委、発起人の戴振博氏、そして立法院民進党党団の柯建銘総召からの全面的な支援に感謝する」と述べた。

「新竹ダブルリコール運動」は6月14日に民進党新竹市党部で本部設立大会を開催した。その日、林志洁氏は高虹安氏と鄭正鈐氏の第二段階のリコール署名について「補完資料の提出は不要と確認され、第3段階である投票に進む予定だ」と述べた。柯建銘は新竹市が国民党と民衆党による“青白連携”の縮図であり、鄭正鈐氏と高虹安氏は市政を怠り、市民の期待を裏切っていると述べた。30年間国会議員を務めてきた柯建銘氏は新竹出身で、初当選も新竹市であった。民衆党の見解では、柯建銘氏の影響力がリコールの成否に大きく影響する可能性があるとされている。

20250610-立委柯建銘10日出席立法院黨團協商。(柯承惠攝)
民進党立法院党団の総召集人である柯建銘は新竹出身であり、新竹市におけるリコール運動の鍵を握る存在である。(資料写真/柯承惠撮影)

柯文哲氏の本命地・新竹 黄国昌氏「絶対に死守せねばならない」

関係者によれば、鄭正鈐氏もリコール対象となったことを受け、2025年の春節以降、国民党の新竹組織が民衆党新竹市党部に協力を打診し、双方はすぐに意気投合したという。このため、それぞれが主催する選挙集会やイベントには相手陣営のメンバーも招かれており、5月には共同で「反リコール幹部研修会」を開催した。現在は最終盤に向け、高虹安氏・鄭正鈐氏の連名による共同広報物を発信する計画も進んでおり、「青白連携」の効果を最大限に引き出す構えである。 (関連記事: 舞台裏》「台北リコールの嵐」の裏側 拘留、辞任、そして広がる動揺 関連記事をもっと読む

民衆党中央では、黄国昌氏が3月26日に「新竹は絶対に死守すべきだ」と指示を出して以降、同党はすでに2度にわたり新竹でリコール反対の演説会を実施している。党幹部によれば、現在の党中央の支援は主にイベント企画やオンラインを中心とした広報戦(空戦)に重点を置いており、地上戦(陸戦)の組織運営は、地元事情に精通した地方党部が主導している。また、選挙全体の戦略については、高虹安氏本人が自ら陣頭指揮を執っている。高虹安氏と黄国昌氏の間には直接の連絡ルートがあり、両者は旧正月の時期に対面して以降も継続的に連絡を取り合っているという。

20250615-民眾黨15日於新竹舉辦宣講,民眾黨主席黃國昌(中)、新竹市長高虹安(右二)、國民黨立委鄭正鈐(右一)等人出席。(民眾黨提供)
民衆党主席黄国昌氏(中央)は党中央を率いて高虹安氏(右から二番目)を支援し、国民党の鄭正鈐氏(右から一番目)と協力。(資料写真/民衆党提供)
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