トランプ氏、イラン攻撃計画に承認か 米報道「最終命令は未発令」

2025-06-19 11:07
2025年6月16日、カナダ訪問を切り上げて帰国したアメリカのトランプ大統領。イラン・イスラエル間の緊張激化を受け、対応に乗り出した。(AP通信)
2025年6月16日、カナダ訪問を切り上げて帰国したアメリカのトランプ大統領。イラン・イスラエル間の緊張激化を受け、対応に乗り出した。(AP通信)

米メディアの報道によると、ドナルド・トランプ米大統領は6月17日夜、ホワイトハウスの戦略会議室でイランへの軍事攻撃計画を承認したが、現時点では最終的な発動命令には至っていない。政権内では、イスラエルが6日間にわたって続けている対イラン攻勢に米国が加わることで、イラン側に核交渉を受け入れさせる圧力となるかを見極めているとされる。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは複数の関係者の話として、トランプ氏がイスラエルとの連携によってイランを交渉の場に引き出す狙いを持っていると報じた。トランプ氏は18日の記者会見で「どうするかについては案を持っているが、まだ最終決定していない。私は最後の瞬間に決断するのが好きだ」と述べた。最近では、イランに対する軍事行動をほのめかす発言を繰り返しており、最高指導者ハメネイ師に対して「あなたがどこにいるかは分かっている」と警告する一方で、実際に攻撃に踏み切るかどうかは明言を避けている。

ホワイトハウス高官は、現在も複数の選択肢が検討されており、トランプ氏が引き続きイスラエルの動向を注視していると明かした。イスラエルは現在、「ライジング・ライオン作戦(Operation Rising Lion)」と称する空爆作戦を実施しており、イラン国内の核施設や軍事指導部などを標的とした精密攻撃を続けている。これまでに1,100以上の標的を攻撃し、17日にはイラン西部の軍事基地で攻撃用ヘリ8機とミサイル施設40カ所を破壊した。

米国防総省の関係者によれば、米国はイラン攻撃に関する複数の選択肢を検討中であるが、トランプ氏はまだ最終命令を下していない。現在、米軍の役割は、イランからのミサイルや無人機攻撃に対するイスラエルの防衛支援にとどまっている。国防長官ピート・ヘグセス氏と統合参謀本部議長ダン・ケイン氏は18日、上院の公聴会に出席後、ホワイトハウスで対応策を協議する会合に参加した。

関係筋によると、軍事攻撃の準備は進んでいるものの、トランプ氏は依然として外交的解決を模索しており、今後1週間が重要な局面になると見られている。トランプ氏はSNSで「イランには無条件降伏を求める」と主張したが、イラン政府は強硬に反発。イラン国連代表部は「脅しには屈しない。過去の戦争屋とは交渉しない」との声明を発表し、トランプ氏を名指しで批判した。

軍事専門家によると、米国が攻撃対象として検討しているのは、イラン中部にあるフォルドウ(Fordow)濃縮ウラン施設で、山の中に深く埋設されているため、米軍が保有する30,000ポンド(約13トン)の「バンカーバスター(地中貫通爆弾)」でなければ破壊は困難とされる。同時に、米軍は欧州および中東への兵力増派を進めており、空中給油機、弾道ミサイル迎撃能力を備えた艦船、空母打撃群、さらに18日にはF-22ステルス戦闘機が英国の基地に到着した。

ヘグセス国防長官は、フォルドウ施設を攻撃した場合に備え、イランの報復に対応するための防衛態勢強化が必要だと強調。上院軍事委員会での証言では、「あらゆる軍事行動は大統領による命令に基づいて実施される」と述べ、突発事態への対応に万全を期すと説明した。

こうした中、ロシア外務省は18日、米国に対し軍事行動の自制を求めた。ラブロフ外相はオマーンの外相と電話会談を行い、双方で敵対行動の即時停止を訴え、イスラエルの空爆についても懸念を表明した。

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