イスラエルの電撃攻撃は計画通り?ネタニヤフ政権の背後に「トランプの影」

2025-06-17 11:43
2025年6月14日、トランプ氏がワシントンで大規模なパレードを開催。(AP通信)
2025年6月14日、トランプ氏がワシントンで大規模なパレードを開催。(AP通信)
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トランプ氏は過去にしばしばバイデン氏を批判し、彼が大統領でなければガザ戦争やロシアのウクライナ侵攻は起こらなかったと繰り返し主張してきた。しかし、彼がホワイトハウスに戻って半年近くが経過した現在も、イスラエルによるイランへの攻撃を止めることはできていない。

なぜイスラエルはトランプ氏に配慮せず、彼が大統領に復帰したタイミングで攻撃を開始したのか?イギリスの『フィナンシャル・タイムズ』首席外交評論家ギデオン・ラフマン氏は、その背景に6つの理由を挙げている。中でも最も重要視されるのは、トランプ政権が主導した核交渉が、かえってイスラエルの攻勢を促したと指摘した。

イスラエルのネタニヤフ首相がこのタイミングでテヘランを攻撃したことは、英『フィナンシャル・タイムズ』のラフマン氏にとって驚きではなかったという。なぜなら、イスラエルによるイラン攻撃は20年以上前から準備されていたからだ。イスラエルは一貫してイランの核開発を容認できないと主張しており、必要であれば軍事力を行使してこれを阻止すると明言してきた。

では、なぜこの時期に攻撃に踏み切ったのか。ラフマン氏は、いくつかの要因が重なった結果だと分析している。

イスラエルが攻撃を決定した要因

1. 最大の脅威はイランの核兵器

2023年10月7日のハマスによる奇襲以降、イスラエルは即座にガザ地区への報復に動いた。ネタニヤフ政権は、国家存亡の危機という意識を強め、特にイランの核計画をこれ以上放置できないと判断した。

2. イランの防空力は未回復

昨年10月、イスラエルはイランからのミサイル攻撃に対する報復として同国を空爆。防空システムとミサイル生産拠点に甚大な打撃を与えた。ネタニヤフ政権は、イランがまだ十分に回復していない今こそが、攻撃に最適なタイミングと見ている。

3. 「ブレークアウト」寸前の核計画

イスラエルは、イランが核兵器を短期間で完成させる「ブレークアウト能力」を持つ寸前であると警戒している。国際原子力機関(IAEA)もまた、イランが核不拡散条約に違反していると警告している。

4. 地域覇権への自信

イスラエルは、近年の軍事行動を通じて中東における覇権を強めつつある。バイデン政権は、イスラエルがヒズボラを攻撃すれば大規模な報復を招くと警告していたが、ネタニヤフ氏はそれを無視し、ヒズボラ指導者の排除に成功。今回のイラン攻撃も、地域の主要競争相手に対する直接的な一手だ。

5. 国際的な批判の矛先を変える狙い

ガザでの飢餓と戦火によって、イスラエルは国際社会から厳しい批判を受けている。ネタニヤフ政権は、イランへの攻撃を通じて関心をそらし、ヨーロッパ諸国の支持を「自衛」の名のもとに取り戻そうとした可能性がある。

イスラエルは、アメリカ主導のイランとの核交渉に不満を抱いている。交渉そのものが誤ったアプローチであり、かえってリスクを高めると見ていた。イランとアメリカの会談が予定されていた週末を前に、イスラエルは先制攻撃に踏み切ることで交渉の流れを断ち切った。

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