「台湾語は心の音」──日本人シンガー真氣、歌で繋ぐ日台の絆

2025-06-14 11:54
日本人でありながら台湾語の歌を歌い続けるシンガー・真氣(まき)さんが、台湾語音楽との出会いや創作活動の原点、そして台湾に対する思いを語ってくれた。(写真/黃信維提供)
日本人でありながら台湾語の歌を歌い続けるシンガー・真氣(まき)さんが、台湾語音楽との出会いや創作活動の原点、そして台湾に対する思いを語ってくれた。(写真/黃信維提供)
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日本人でありながら台湾語の歌を歌い続けるシンガー・真氣(まき)さんが、台湾語音楽との出会いや創作活動の原点、そして台湾に対する思いを語ってくれた。《風傳媒》とのインタビューでは、その情熱と挑戦の軌跡が明らかになった。

台湾語を愛し、自ら作詞・作曲も

真氣さんが台湾語の歌を初めて歌ったのは、2009年に台湾を訪れたことがきっかけだった。当初は中国語に興味を持っていたが、台湾語の存在を知り、「ちょっと歌ってみようかな」と軽い気持ちで挑戦。初めての台湾語の歌唱に対する観客の反応は予想以上に好意的で、「日本人が台湾語の歌を歌うとこんなにも喜ばれるのか」と驚いたという。

その後、東日本大震災の際に台湾で歌わせてもらう機会があり、「もっと歌で台湾の人々との距離を縮めたい」という思いが強まり、細々と練習を重ねた。本格的に台湾語を学び始めたのは新型コロナの流行によって時間の余裕ができた2020年ごろからだった。

日本人でありながら台湾語の歌を歌い続けるシンガー・真氣(まき)さんが、台湾語音楽との出会いや創作活動の原点、そして台湾に対する思いを語ってくれた。黃信維
日本人でありながら台湾語の歌を歌い続けるシンガー・真氣(まき)さんが、台湾語音楽との出会いや創作活動の原点、そして台湾に対する思いを語ってくれた。(写真/黃信維提供)

震災支援への感謝と文化交流の思いを語る

台湾語を学ぶうえで最も難しいと感じたのは発音だった。日本語には存在しない音が多く、「我」などの発音や声調の聞き分けに苦労したという。「違うよ、こうだよ」と教えてもらっても自分には同じように聞こえてしまう――そんな葛藤を乗り越えて、少しずつ耳と口が慣れてきたと語った。

日本で台湾語の歌を披露すると、観客からは驚きと喜びの声が返ってくるという。「中国語の歌を歌う日本人はいても、台湾語の歌を歌う人は本当に少ない。だから皆さん新鮮に感じるみたいです」と話す。また、台湾語の音には日本語と似た響きもあるため、心に寄り添うような感覚があるとも述べた。

これまでに数々の台湾語の名曲を歌ってきたが、特に思い入れがあるのは自作の〈玉蘭花〉だ。台湾語がまだ流暢に話せない中で、自ら作詞・作曲に挑戦。「台湾語が好きで、もっと近づきたい」という純粋な思いから生まれた作品である。

日本人でありながら台湾語の歌を歌い続けるシンガー・真氣(まき)さんが、台湾語音楽との出会いや創作活動の原点、そして台湾に対する思いを語ってくれた。黃信維
日本人でありながら台湾語の歌を歌い続けるシンガー・真氣(まき)さんが、台湾語音楽との出会いや創作活動の原点、そして台湾に対する思いを語ってくれた。(写真/黃信維提供)

また、〈家後〉〈雨夜花〉〈又見炊煙〉などの台湾語の名曲も深く心に残っているという。東日本大震災の後には、台湾の支援に感謝を伝えるために〈從心底謝謝你〉という楽曲も披露した。

将来的には台湾のアーティストとのコラボレーションも視野に入れており、「一人での活動が多いが、誰かと作品を共に作ってみたい」と語る。

最後に台湾の人々へのメッセージとして、「まだ発音は完璧ではありませんが、言霊を大切にして、心を込めて歌っています」と語った。また、「悲しい歌でも笑顔で歌うこともありますが、それは音楽の中に希望や愛を見出しているから。歌を通じて温かいつながりを育んでいきたい」と締めくくった。

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