日本国債危機が米国に波及?──台湾の専門家「金融市場の終末が始まるかもしれない」

2025-06-13 18:55
郭正亮は、アメリカと日本が特別な金融相互依存関係を持ち、それが日債危機を予想以上に深刻化させていると指摘している。(資料写真、AP通信)

日本の超長期国債利回りが急上昇する中、日本政府がその発行量削減を検討しているとの報道を受け、台湾の元立法委員で政治評論家の郭正亮氏は、自身のインターネット番組『亮子立学』にて「日米の金融補完関係が崩れ、米国市場にも深刻な影響を及ぼす可能性がある」と警鐘を鳴らした。「今回の日本国債危機は想像を超えており、金融市場にとって“終末”をもたらす恐れがある」とも述べた。

郭氏は、日本と米国は長年にわたり、資金の流れにおいて互いに補完的な関係にあったと指摘する。日本は巨額の対米貿易黒字を背景に、米国株や米国債への投資を続け、日本政府は米国債の最大保有国でもある。また、日本国内の金利が長期にわたり2%以下、時にはマイナス金利となる中で、米国は円を「安全資産」として扱う場面も多かった。

しかし現在、日本の超長期債を含む全期間の国債利回りが急上昇しており、とりわけ40年債は3.5%以上、30年債も3%近くに達している。これにより国債価格が大幅に下落し、市場の流動性もリーマン・ショック時並みに低下しているとの見方が広がっている。

郭氏は「海外での日本の総資産は5兆ドル以上と見られているが、こうした日米間の金融補完サイクルは今、機能不全に陥りつつある。米国債と日本国債の双方で流動性が失われれば、債券市場全体に深刻な影響が及ぶ」と述べた。

また、郭氏は45日間で日本の国債市場が5,000億ドルの損失を出し、20年国債の入札では応札倍率が2.5倍にとどまり、平均落札利回りも0.34%から1.14%に急上昇したと紹介。保険会社や年金基金が長期債投資に慎重姿勢を崩していない現状も、需給悪化の一因と指摘した。

さらに、郭氏は「もし日本国債の利回りが今後さらに上昇すれば、米国株への投資資金が日債に流れ込み、米国の金融資産の価格下落を引き起こす可能性がある」と指摘。これにより、円を活用したキャリートレードの巻き戻しや、米金融市場の大幅な調整につながるとも警告した。 (関連記事: 台湾米が日本で急拡大 コメ不足の中で輸出量6倍増、「最も信頼できる輸入米」との声も 関連記事をもっと読む

米連邦準備制度理事会(FRB)が日本銀行に対して国債利回りの抑制を求める中、日銀は国債買い支えに消極的な姿勢を強めている。郭氏は「かつて日銀が国債価格を維持することで、利回りを2%以下に抑え、日本資金の米国流入を促していた“日米金融補完構造”は、すでに終焉を迎えつつある」と語った。