日本国内の財政圧力と間近に迫る参議院選挙を踏まえ、与党・自民党の内部検討会は12日、党幹部に政策提案を提出し、外国人の訪日買い物に適用される消費税免税制度の廃止を提言した。
試算によると、この制度は年間で国庫の税収を2000億円以上減少させており、全面的な廃止は財源の安定化や日本の家庭の負担軽減に寄与すると見込まれている。
この提案は、自民党の最高顧問である麻生太郎氏が5月下旬に主催した政策検討会で初めて提示された。麻生氏は、現行の免税制度が当初の設計目的から逸脱しており、訪日外国人の「爆買い」を助長するだけでなく、大量の転売による不正行為も横行していると指摘。これが「観光立国」という日本のイメージを損なっているとして、「外国人の買い物免税にはもはや正当性がなく、全面的な見直しが必要だ」と強調した。
日本が1989年に消費税を導入して以来、外国人旅行者は入国から6ヶ月未満で居住資格がない場合、免税店での購入が認められてきた。ただし、その商品を日本国内で転売してはならないという条件がある。しかし、国税庁による免税品の転売取り締まりは十分な効果を上げておらず、不正な利益追求は後を絶たない。
推計によれば、2024年の外国人観光客による消費額は8兆円を突破し、免税によって免除される消費税額は2000億円を超える見込み。また、全国の免税店登録数は6万1392店舗に達し、制度開始当初の規模を大幅に上回っている。
こうした状況を受けて、自民党の検討会はこの政策提案を税制調査会など党内の主要部門に提出した。年末に行われる税制改正の議論の中で、議題として取り上げられる見通しであり、今後、制度の廃止に向けた正式な検討が進められる可能性もある。 (関連記事: 低価格商品「流入」急増 財務省、小額輸入品の免税措置見直しへ 最速26年にも消費税課税を検討 | 関連記事をもっと読む )
編集:柄澤南
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