財務省が小額輸入品の関税免除制度の見直しを検討していることが明らかになった。来年以降、小額輸入品への消費税課税方針を打ち出すとともに、オンライン小売業者の納税手続きについても議論が進められている。この動きは、中国系ECサイト「Temu」や「SHEIN」などの低価格商品輸出モデルに大きな影響を与える可能性がある。
読売新聞の報道によると、中国系ECサイトは小額包装の関税免除制度を活用し、低価格商品の販売拡大を図っているという。こうした状況を受け、財務省は制度を見直し、国内外の業者間の競争条件を公平化する必要性を認識している。
財務省は来年以降、税制改正を通じて小額輸入品への消費税課税を実施する方針。同時に、電子商取引業者に対する税務当局への登録義務付けや、納税手続きの整備も進めている。

現在、日本では1万円以下の輸入品については関税と消費税が免除されている。財務省によると、昨年の1万円以下の「小額包装」輸入量は約1億6966万件、輸入額は4258億円に達し、5年間でおよそ5倍に増加した。このような免税措置を利用し、中国系ECサイトのTemuやSHEINは各国で低価格商品の販売を拡大している状況だ。
市場調査会社Sensor Towerのデータによれば、2024年に世界でスマートフォン向けECアプリは約5億5000万回ダウンロードされ、Temuが最多、SHEINが次いでいるという。一方、財務省の調査では、小額包装の関税免除制度について、国内業者からは「海外業者の価格競争力が強く、国内業者にとって大きな脅威となっている。市場シェアを奪われる可能性が高い」「競争の不均衡が著しい」との声が上がっている。
こうした中、米トランプ政権は業者による関税制度の抜け穴利用を防ぐため、5月2日以降、中国を対象とした小額包装の関税免除措置を停止した。また、ベトナムは2月から小額包装の関税免除制度を廃止し、欧州連合(EU)も同制度の再評価を進めている。
編集:梅木奈実
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