第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が、8月20日から22日まで横浜市で開催される。14日、公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)がオンラインで開いた記者ブリーフィングには、外務省アフリカ部長の堀内俊彦氏とTICAD事務局長の花田貴裕氏が登壇し、会議の概要や意義、主要議題、そして日ア関係の展望について説明した。ブリーフィングには、アフリカ各地、米国、アジアなどから外国メディアが参加した。
花田事務局長は、TICAD9のスケジュールを説明。初日の20日は午後に写真撮影、開会式に続き「平和と安定」をテーマに全体会合1を実施。21日午前は「経済」をテーマに全体会合2、午後は官民ビジネス対話が予定される。最終日の22日は午前に「社会」分野を議論する全体会合3を行い、閉会式と共同記者会見で締めくくられる。会期後には東京・明治記念館で野口英世アフリカ賞授賞式も行われる。
堀内部長は、TICADが1993年、日本の呼びかけで始まったアフリカ開発に関する主要国際会議であると説明。冷戦終結後、国際社会の関心がアフリカから薄れる中、日本が先駆けて国際会議を立ち上げたことが第一の特徴だと述べた。第二の特徴として、多国間共催に加え、民間企業、市民社会、自治体など多様なステークホルダーを初回から招き、開放性と包摂性を重視してきた点を挙げた。
TICAD9のテーマは「革新的な課題解決策の共創(Co-Creation)」で、アフリカと日本が互いの知恵・技術を持ち寄り、グローバル課題に取り組む姿勢を打ち出す。議論は「経済」「平和と安定」「社会」の3本柱で行われ、「民間セクター主導の持続可能な成長」「若者・女性の包摂」「域内外の連結性強化」という3つの横断的テーマも設定。経済分野では産業化と雇用創出、地域統合と連結性強化を重視。平和・安定分野ではグッドガバナンス、紛争予防、平和構築、WPS(女性・平和・安全保障)を推進。社会分野ではUHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)、人材育成、環境・気候変動対策が中心となる。
堀内部長は、アフリカの人口は今後さらに若く活力を増し、2050年には世界人口の4分の1を占めると指摘。アフリカのエネルギーとダイナミズムを日本が取り込む必要があると述べた。また、国連加盟国の4分の1を占め、AU(アフリカ連合)がG20に加盟するなど国際社会で存在感を高めるアフリカの建設的関与は、「包摂的で責任あるグローバルガバナンス」実現のため不可欠だとした。
記者からは、参加首脳の人数や日本側の議長役割について質問があり、花田事務局長は「40カ国以上からハイレベルの出席表明があるが、首脳級の具体数は調整中」と説明。期間中、石破総理は二国間会談を多数予定し、その間の議長はアフリカへの関与実績を持つ岸田前総理が務めると述べた。
ジンバブエの記者から「日ア関係を支える要素は何か」との質問には、堀内部長が「相互の信頼と、日本がかつて途上国であった経験」と回答。モーリシャスからはブルーエコノミー分野への投資誘致策、エジプトからは経済協力の計画枠組み、アンゴラからは共同議長国としての役割、コートジボワールからは職業訓練評価、アルジェリアからはスケジュール事前入手の可否、モザンビークからは貿易規模と重点分野について質問が寄せられた。
花田事務局長は、投資促進には「不確実性の低減と予測可能性の向上」が重要と指摘。堀内部長は、職業訓練ではJICAと民間企業の連携で即戦力スキルを養成している事例を紹介。貿易ではAFCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)への関心の高さを強調した。
最後に両氏は、多くのテーマ別イベントや展示ブースが会場周辺で行われ、科学技術、文化、アートなど多様な分野を扱うことにも触れ、「開放性と包摂性を体現する場になる」と述べた。国際メディアセンターは19日からオープンする予定で、最新情報は現地で提供される。
編集:柄澤南 (関連記事: 北京観察》終戦記念日前夜、靖国参拝が外交問題に 日中関係に再び亀裂か | 関連記事をもっと読む )
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