終戦80年 全国戦没者追悼式 石破首相「反省」強調、天皇陛下は恒久平和呼びかけ

2025-08-15 16:26
日本政府主催の「全国戦没者追悼式」が15日、東京で執り行われた。(写真/黄信維撮影)
日本政府主催の「全国戦没者追悼式」が15日、東京で執り行われた。(写真/黄信維撮影)

8月15日、終戦から80年を迎え、日本政府主催の「全国戦没者追悼式」が東京都千代田区の日本武道館で開かれた。第二次世界大戦で犠牲となった約310万人を追悼し、平和への決意を新たにした。

厚生労働省によると、今年事前に出席を表明した戦没者遺族は約3,400人で、このうち戦後生まれの割合が初めて半数(53%)を超えた。戦争体験世代の減少に伴い、記憶の継承が課題となっている。出席者の最年長は98歳の北海道在住・長屋昭次さん(兄が戦没)、最年少は3歳の片山純矢さん(戦没者・伊藤正夫さんのひ孫)だった。

式典開始前、石破茂首相は午前11時過ぎに千代田区の千鳥ヶ淵戦没者墓苑を訪れ、身元不明の戦没者遺骨に花を供え、深く一礼して冥福を祈った。この墓苑には、海外戦地などで亡くなり、氏名が判明せず遺族に戻せなかった遺骨が納められている。

追悼式は午前11時51分に始まり、国歌斉唱と石破首相の式辞の後、正午の時報に合わせて1分間の黙祷を実施。続いて天皇陛下がお言葉を述べられた。

20250815-日本政府主辦的「全國戰歿者追悼式」15日在東京登場。(黃信維攝)
終戦80年を迎え、「全国戦没者追悼式」に出席する天皇皇后両陛下。(写真/黃信維撮影)

就任後初めて追悼式に臨んだ石破首相は、天皇皇后両陛下や遺族、各界代表を前に「戦争で300万人を超える同胞が命を落とし、広島・長崎の原爆や各地の空襲、沖縄戦などで多くの民間人も犠牲となった。今日の平和と繁栄は、尊い命と苦難の歴史の上に築かれており、国民は決して忘れない」と述べ、深い敬意と感謝を示した。

20250815-日本政府主辦的「全國戰歿者追悼式」15日在東京登場。(黃信維攝)
終戦80年を迎え、「全国戦没者追悼式」に臨む石破茂首相。(写真/黃信維撮影)

また、いまだ多くの戦没者遺骨が帰還していない現状に触れ、「政府は決して忘れず、一日も早く遺骨を故郷に戻す」と強調。戦争から80年を経て、国民の大半が戦争を知らない世代となった今こそ、「過ちを繰り返さず、反省と教訓を心に刻むべきだ」と訴えた。さらに、日本はこの80年間平和国家として歩み、世界の平和と繁栄に貢献してきたと述べ、「時が経っても、戦争の記憶と不義に立ち向かう誓いを次世代に伝え、恒久平和の実現に向け行動を続ける」と表明。分断を排し、寛容を促し、未来世代により良い世界を残す決意を示した。

天皇陛下は「追悼戦没者並びに平和祈念の日」にあたり、「戦争で命を失った方々とご遺族を追悼し、深い悲しみを新たにする」と述べられた。戦後80年間、国民のたゆまぬ努力により平和と繁栄が築かれたことに触れ、「戦中・戦後の苦難の道のりを語り継ぎ、国民が心を一つに平和と人類の幸福を追求することが大切」と強調。「深い反省」に立ち、戦争の惨禍が再び繰り返されぬよう願いを込め、戦没者に追悼の意を表し、世界平和と日本の一層の発展を祈られた。

また、戦中や戦後の艱難の記憶を語り継ぎ、国民が心を一つにして平和と人類の幸福を長く追求する必要性を強調。「深い反省」に立ち、戦争の惨禍を二度と繰り返さないことを切に願うと表明し、国民と共に戦場や戦禍で亡くなった人々に心から哀悼の意を表するとともに、世界の平和と日本の一層の発展を祈念した。

午前8時前には、農林水産大臣の小泉進次郎氏が東京・靖国神社を参拝し、石破内閣の閣僚として初の参拝となった。石破首相は参拝せず、自民党総裁名義で私費による玉串料を奉納する予定。前経済安全保障担当大臣で衆議院議員の小林鷹之氏も午前中に参拝し、私費で玉串料を納めた。小林氏は参拝後の取材に対し、「祖父は中国で戦死した。遺族として参拝し、平和を断固として守るため全力を尽くす決意を改めて強くした」と語った。

このほか、安倍派の元幹部で前文部科学大臣の萩生田光一氏も参拝した。野党では、日本保守党の百田尚樹代表が既に参拝しており、参政党は神谷宗幣代表が議員団を率いて参拝する予定だ。

厚生労働省によると、参列する遺族の高齢化が進んでおり、戦没者の配偶者は4年ぶりにゼロとなった。一方で、甥や姪、孫など戦後生まれの割合は年々増加しており、今回は約53%と過去最高を記録。戦没者の父母は2011年以降、追悼式に出席していないという。

世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp 

最新ニュース
陸文浩の視点:米露首脳がアラスカで対峙、中露海軍の合同巡航が直撃
北京学者の見解:「台湾統一後、TSMCは国有化される」
夏一新の視点:台湾・頼清徳総統、20%関税で後手対応 信頼と主導権を失う
風評:台湾・憲法新解釈が生む「二国論」の虚構と代償
台湾・国民党主席選の舞台裏で波乱 有力台中市長が不出馬、反朱立倫派は徹底抗戦
驚愕!エアアジア航空便が仁川ではなく金浦に着陸、乗客と乗務員も驚く
天気予報》台風連発か「ダブル台風」形成 最新進路と猛暑警戒
NVIDIAがH20輸出許可取得 トランプ氏に15%マージン献上も中国は不使用表明
トランプ大統領とプーチン氏が5時間会談 クレムリン高官「米露関係に転機」
トランプ政権、TSMC誘致に加えインテル出資も検討 陳立武氏を「親中」批判し極限圧力と交渉戦術を展開
神社の踏切で台湾人女性死亡 観光撮影中に列車と衝突か
親台派日本紙が賴清德氏を批判 大規模リコール「与党掌握」の予測外れる
北京観察》終戦記念日前夜、靖国参拝が外交問題に 日中関係に再び亀裂か
台湾・柯文哲氏の拘置所生活 獄中で軍事要人の著書を精読 書き込みが示す次の一手
「領土割譲和平」は誰の発案か 『エコノミスト』が暴く米特使の失策と交渉悪化の経緯
長崎原爆式典、台湾代表席めぐり波紋 「NGO区」報道に市が反論
トランプ氏、プーチン氏に停戦迫る構え 米露会談はアラスカ軍事拠点で 領土交渉権はゼレンスキー氏に
中露の極秘軍事協定が流出 プーチン氏、中国の台湾侵攻演習支援か 8年越し計画の存在明らかに
台湾外交部長・林佳龍氏が高市早苗氏と会談 日本政権交代を見据えた賭け 中国反発で外交リスクも
トランプ氏、ノーベル平和賞受賞の可能性?元側近が明かす国務省のプレッシャーと各国の強力な推薦
FPCJが50周年記念ロゴ公募開始 年齢・国籍不問、締切は2025年9月16日
米露首脳会談が世界情勢に影響か!退役将軍が台湾に言及 米台貿易「前向きシグナル」:合意達成のタイミング
国際ニュース特集》北京、企業にNvidiaチップ購入の自粛要請。70万個の大型注文取消しか―なぜ中国はNvidiaにひかれつつも恐れるのか?
関西万博が陸の孤島化 地下鉄全線ストップで帰れず 来場者が会場内で一夜 猛暑で熱中症相次ぎ33人搬送
天気予報》台風11号去って猛暑到来 台湾南部は36℃超え、午後は中南部で雷雨・大雨、熱中症警戒
トランプ氏、ワシントン警察を電撃接管し州兵800人派遣 大統領に権限はあるのか問う声
台湾・内政部長の「二国論」発言火消しか?頼清徳氏による両岸関係の微調整に兆し
中国の「レアアースの都」に潜入:世界を脅かす武器を握る中国、その対価とは?
台湾・環島中に「5分間の空白」 深夜の台3線で起きた「時間逆行」現象、黒い霧と血のような標識と謎のパトカー
米国元国務顧問が提言 台湾は米軍依存を脱し、「中華民国」色を薄め経済新枠組みで自立へ
台湾の治安が悪化し国際的ニュースに! 4つの観光地で多発するスリ、日本台湾交流協会が警告
また戦場記者が殉職!イスラエル『アルジャジーラ記者はハマス』と非難し標的殺害 国際機関:根拠のない中傷だ
虹とロクシタンの香りで涼感倍増!ホテル椿山荘東京の「雲海スプラッシュ」が7月から期間限定開催
AKOMEYA TOKYOに令和7年度産新米登場!沖縄から新潟まで厳選7銘柄を順次販売
JR東日本が8月18日からフェア開催、エキナカにカレー集結!スパイス香る限定メニューも
東ハト、ハロウィン限定スナックを8月18日発売!おばけ型や黒色スナックで遊び心満載
AI新興Perplexity、Chrome買収に345億ドル提示 Google分離論が加速か
舞台裏》台湾は戦えるのか 国土防衛隊を持たず「40万人頼れる民力」で挑む防衛の現実と脆さ
台湾大学政治学系教授・呉氏が警告 トランプ主義の本質と「台湾は米依存を減らすべき」
「台湾はいかにしてトランプを失ったか」著者、米元高官が賴清徳政権に提言 自らの未来を切り開くための道筋
日経平均株価が史上初の4万3000円台を突破、一時500円超上昇
評論:台湾、トランプ氏の過酷要求に直面 頼清徳政権はどう動くのか
北京観察》中国海軍艦と海警船が南シナ海で衝突 自国同士の接触事故が露呈した軍事的脆弱性
ホンジュラス、台湾との国交再開を検討か 中国との経済関係で苦境、エビ輸出67%減少
李忠謙コラム:「関税いじめ」が招く米中対抗戦略の崩壊危機