台湾の国際政治学者・林泉忠氏は8月11日、香港の『明報』に「信頼の赤字?――賴清德が日本世論の支持を失うとき」と題した評論を寄稿した。林氏は、日本の大手紙『読売新聞』と『産経新聞』の最近の社説を引用。『読売』は「台湾でリコール投票、野党排除の意図は否決された」とし、『産経』は「賴総統は陳水扁氏の二の舞か」と題して、いずれも賴氏への批判を展開していると指摘し、日本世論が賴氏から離れつつあると論じた。
これについて、前立法委員の郭正亮氏は番組『亮劍台湾』で、民進党は大規模リコールで少なくとも7人の罷免成立を見込んでいたと主張。米国や日本の駐在機関に「与党が国会を掌握する」と誤認させたが、結果は現実と食い違ったと語った。
林氏は、これまで民進党寄りとみられてきた『読売』と『産経』が、突然賴氏を相次いで批判し始めたことが、日台関係に影響を及ぼす可能性があると指摘。郭氏は転機が7月26日の「大規模リコール」にあったと分析し、「日本は賴清德が台湾政局を掌握できていないと気づいた」と述べた。
郭氏によれば、米国や日本の駐台機関は民進党から「7人を罷免できる」と聞かされ、その情報をもとに「賴清德が立法院を掌握し、蔡英文政権時代の与党独占体制が戻る」と信じていたという。しかし、実際の結果は罷免成立ゼロで、「情報通りなら7人のはずがゼロ。もし米国や日本の立場ならどう思うか」と語った。
さらに郭氏は、「賴氏が意図的に騙したなら、彼は本当の情報を握っているはずだが、実際にはそうではない。彼は自分すら騙しており、台湾政局をもはやコントロールできていない」と指摘。そのため「米国や日本は今後、台湾情勢を理解するのに民進党ルートだけに頼ることはできない」と強調した。
郭氏はまた、『読売』が今回のリコールを「野党排除で正当性なし」と断じ、『産経』が「陳水扁第二」と表現したことについて、日本側が賴氏を「予測不能な政治家」と見なしている証左だと述べた。
編集:梅木奈実 (関連記事: 台湾「726大リコール」に日本メディア批判 「頼清徳氏、日本の信頼失いつつある」 | 関連記事をもっと読む )
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