台湾の半導体大手・TSMC(台湾積体電路製造)に関する機密漏洩事件で、日本の大手半導体製造装置メーカー・東京エレクトロンの社員が関与したとして、現在までに9人が関係者として拘束されている。このうち東京エレクトロンの社員1人はすでに解雇され、接見禁止措置のもと勾留されている。
この件について、元立法委員の蔡正元(さい・せいげん)氏は自身のYouTubeチャンネルで見解を述べ、東京エレクトロンが台湾に子会社を持ち、TSMCに装置を提供していることを背景に、「その機会を利用してTSMCに浸透し、内部に情報提供者やスパイを設置した可能性がある」と指摘。情報提供者が内部情報を伝え、スパイが機密を盗む役割を担っていたと推測した。
さらに同氏は、「東京エレクトロンが2ナノメートル製造技術を保有していると主張しているが、それも今回の漏洩事件と無関係ではない可能性がある」と疑念を呈した。
蔡氏はTSMCに対し、「社内に何人の日本人協力者がいるのか把握されていない。内部調査を徹底すべきだ」と主張。技術者に対しては「海外で接触した人物を必ず報告させるべきだ」とし、スパイだけでなく情報提供者についても処分すべきとの見解を示した。
また、本件に関する台湾の一部メディアの報道姿勢に対しても批判を展開。蔡氏は「一部の与党寄りメディアは、逮捕された技術者らが重要な情報を持っていなかったと主張して日本側を擁護しているが、あまりにも滑稽だ。こうした言説は“日本の手先”と呼ばれても仕方ない」と語った。
編集:梅木奈実 (関連記事: TSMCの2ナノ技術流出疑惑で急浮上 Rapidusとは何者か──日本半導体産業の逆襲 | 関連記事をもっと読む )
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