2023年6月に発生し、世界を震撼させたオーシャンゲート社の潜水艇「タイタン号(Titan)」内破事故について、米国沿岸警備隊(U.S. Coast Guard)は5日、2年に及ぶ詳細な調査を経て、ついに最終報告書を公表した。この事故はタイタニック号(Titanic)の残骸を目指す深海探検の途中で発生し、乗員5人全員が死亡したものである。
ABCなど米主要メディアの報道を総合すると、沿岸警備隊の調査報告書は全335ページに及ぶ。同隊の海事調査委員会(Marine Board of Investigation)は、可能な限り証拠を収集するため、オーシャンゲート社の元社員を含む24人以上の証言を聴取した。これまでの公聴会の主な目的は、内破事故に関する事実関係を明らかにすることであり、潜水艇の設計や運用、安全規定を検証するとともに、事故原因の特定や将来的な防止策の提言を目指していた。委員会はまた、調査過程で職務怠慢や過失、規則違反が存在したかどうかについても調べている。
"Inadequate design" cited among factors that led to Titan submersible implosion and deaths of those on board were preventable, Coast Guard finds. Follow live updates.https://t.co/I4nnltaxVh
— CNN (@CNN)August 5, 2025
The Coast Guard Marine Board of Investigation has released its report on the Titan submersible, outlining key findings and safety recommendations. Read more:https://t.co/3g5wZ3si20pic.twitter.com/QNzonWeeD5
— USCG MaritimeCommons (@maritimecommons)August 5, 2025
調査の過程で、オーシャンゲート社の元海事運営ディレクターであるデービッド・ロクリッジ(David Lochridge)氏は、無念の思いを込めて証言した。彼はかつて、同社および共同創業者のストックトン・ラッシュ(Stockton Rush)氏に対し、潜水艇の炭素繊維製船体には重大な問題があると警告していたという。「あの船体は必ず壊れると分かっていた」とロクリッジ氏は語った。さらに、在職中から同社は科学研究には無関心で、利益追求しか考えていなかったと指摘し、CEOを兼任していたラッシュ氏についても「常に最も安上がりな方法を好んでいた」と述べた。


タイタン号の構造や操作安全性に関する問題は、以前の複数の潜水任務で既に明らかにされていた。
2022年:
推進装置の制御が故障し、潜水艇はその場で旋回を続けたが、最終的には操縦士による手動操作で復旧し、ようやく潜航を完了した。同じ年の別の潜航では、上昇中に原因不明の「大きな衝撃音」が発生し、その後の調査で耐圧殻に変化が生じていたことが判明した。
2023年:
事故の約4週間前、タイタン号は高波と濃霧の影響で船内に一部浸水し、沈下する事態が発生していた。さらに事故の数日前には、重浮作業中にプラットフォームが故障し、乗員が衝撃を受けるトラブルも起きていた。 (関連記事: TSMCの2ナノ技術流出疑惑で急浮上 Rapidusとは何者か──日本半導体産業の逆襲 | 関連記事をもっと読む )
米沿岸警備隊の記録によれば、タイタン号は2021年だけで修復を要する装備の不具合が70件発生しており、2022年にも新たに48件の問題が追加された。それにもかかわらず、二桁に及ぶ機器やシステムの不具合を抱えたまま、最終的な内破事故が起きるまでに、同艇はタイタニック号の残骸を目指す有人深海潜航を13回も成功させていたのである。