2025年7月26日、台湾での「大リコール」運動は最終的に25件すべてが否決され、民進党とその支持者は大きな挫折を味わった。この結果を受け、インフルエンサー「閩南狼氏」と「八炯氏」が互いに批判し合うという意外な事態が発生。これは、民進党側の「反中」および極右的な動きが加速し、台湾内で新たな政治的分断が生じたことを示している。このような背景には、「反共」がすべてを正当化する口実となり、台湾の民主主義が「反民主的な側面」によって覆われるリスクが潜んでいると警告する声が上がっている。
ナチス式宣伝手法の再来
「反共」および「リコール支持」を掲げる政治系インフルエンサーの八炯氏は、SNSで強硬な対中姿勢を表明してきたが、最近、過去の支持者であった「閩南狼氏」が八炯氏の過去の言動を暴露。八炯氏が「ナチスの鷲」のデザインを共有し、さらには「ナチス突撃隊」を設立して革命を起こそうとする提案をしていたことが明らかになった。また、「敵はウイルスだ、殲滅しなければならない」という発言も取り上げられ、これが民主主義社会における言論の自由を超えた極端な発言であると批判されている。頼清徳総統の「不純物を排除する」という発言と重なる部分もあり、これが市民の生活や自由を脅かすものとなる可能性がある。
ナチスドイツのゲッベルスが使った手法を連想させるような言説は、群衆組織やファシズム美学に近いものがある。八炯氏の支持者たちは、「台湾には独自の党衛軍が必要」と主張し、「民主主義は弱すぎる」と反民主的なコメントを広めており、台湾の民進党陣営内部(民進党支持者の一部に極端な反共・強権的思想を持つグループが存在)に極右的な思想が静かに根付いていることを示している。

「魔女狩り」に突入した台湾政治
八炯氏が「草の根極右」の象徴であれば、曹興誠氏や沈伯洋氏は「エリート極右」として台湾政治に影響を与えてきた。聯電の創設者である曹興誠氏は、以前は「両岸平和共存」を提唱していたが、近年では政治的立場が変わり、「統一派は内敵である」と公言している。彼の言動は、「備戦」から「魔女狩り」へと進展し、異なる意見を持つ者を国家の敵とみなすようになった。
また、沈伯洋氏が設立した「黒熊学院」は、外部勢力から資金を受け取っていることが暴露され、アメリカの利益を追求する一方で、中国との経済的なつながりも持っているとされている。沈氏の「認知戦」への言及や、「国家安全が自由より重い」とする主張は、第二次世界大戦前のリベラル派の思想と相反する部分があり、極権主義を助長するものであると批判されている。
これらの思想が現代社会において受け入れられないことは明らかであり、政治的偶像崇拝や極右的な思想が蔓延する中で、台湾は重大な危機に直面している。 (関連記事: 夏一新の視点:台湾若者の市民運動が過激化 街頭の極化で民主広場は闘争の場に | 関連記事をもっと読む )
「党国」に飼われた堕落した知識人と貪欲な文人
また、民進党政府から支援を受けたラッパーの「大支」は、4年間で累計2030万元(約9億5000万円)を受け取っており、その活動の一環として、リコール運動の数日前に「辣的」という歌を発表したことが注目されている。驚くべきことに、大支は文化総会の執行委員を務めており、リコール運動の主要なメンバーである曹興誠氏、監督の楊力州氏、女優の劉柏君氏もまた文化総会の執行委員に名を連ねている。このような事実は、頼清徳総統が中華文化総会の会長として「文総を賴総に変える」運動を推進し、関連機関の司法機関の動きにも強い影響を与えていることを示唆している。