台湾の20%関税政策3》日本の輸出競争力に暗雲 五大産業直撃

2025-08-04 13:00
台湾の関税が発表され、総統の頼清徳が合理的な税率を求め続ける意向を示したが、最終的な数字にかかわらず、台湾の産業へ影響を及ぼすことは避けられない。イメージ図であり、ニュースの具体的な事例と関係はない。(新新聞資料写真)
台湾の関税が発表され、総統の頼清徳が合理的な税率を求め続ける意向を示したが、最終的な数字にかかわらず、台湾の産業へ影響を及ぼすことは避けられない。イメージ図であり、ニュースの具体的な事例と関係はない。(新新聞資料写真)
目次

米国のトランプ政権は8月1日から台湾に対し「相互関税」を課すと発表した。税率は暫定20%であり、近隣の日本や韓国の15%を上回る水準である。経済部の分析資料によれば、台湾にとって最も影響が大きいのは、工具機、金型、プラスチック製品、飲料・食品、電子材料の五大産業である。これらの産業は輸出競争力の低下圧力に直面するだけでなく、新台湾ドルの上昇や将来的な税制の重複効果への対応も迫られる。

経済部は工業技術研究院産業経済国際研究所に委託し、「トランプ政権による相互関税が台湾産業に与える影響分析」を作成した。同報告では、米国の相互関税で主に打撃を受ける二十の主要産業――工具機、ファスナー、水回り金物、手工具、金型、自動車・二輪車部品、プラスチック製品、繊維、飲料・食品、情報ハードウェア、電子部品、通信、半導体、電子材料、鉄鋼、新エネルギー、医療機器、製薬、食品バイオ、バイオ特殊化学――について、詳細かつ包括的な分析が示されている。

五大産業の関税影響強化(2024年のデータに基づく推測)

産業

各国関税進行度と台湾への影響

影響の変化理由

推定生産価値への影響(%)

工作機械

強化

日本や韓国などの主要競争国の関税が15%、さらに台湾には為替の上昇問題があり、関税と為替が合わさって台湾の工作機械はほぼアメリカ市場を撤退するような状況。

-3.67%

金型

強化

日本は主要競争国の一つであり、その税率15%に対して台湾の20%は競争優位性がある。

-5.47%

プラスチック製品

強化

競争相手との関税差が拡大する可能性がある(日本15%、台湾20%)。

-5.28%

飲料食品

強化

日本、インドネシア、ベトナムなどの関連競争国はすでに関税を確定または協定で確定しており、税率は15-20%で、関税圧力が増している。

-1.07%

電子材料

強化

シリコンウェハーの競争国である日本、韓国は15%に引き下げた。未来には232条項(半導体基板を含む)やチップ税があります。他の電子材料は米国への輸出が少ないため影響はない。

-3.20%

注:2025年の米ドル対台湾ドルの為替レートは29(2024年平均レートの32と比べて9.4%上昇)と仮定し、台湾ドルで計算した影響
データソース:工研院《トランプ対等関税影響分析報告》(2025/8/1)

工作機械:20%関税+為替上昇、輸出競争力がさらに低下

台湾の工作機械産業は輸出が主体であり、2024年の生産額は約999億元、輸出比率は7割に達し、そのうち15%が米国向けである。台湾工具機・部品工業会の陳伯佳理事長は、今回の関税と新台湾ドル高による二重の打撃について「すでに多くの企業が米国向けの見積もりを一時停止している」と率直に語った。

陳氏はまた、日本の対米関税はわずか15%で、円安も追い風となっており、台湾製工作機械の価格競争力は周辺化しつつあると指摘した。「台湾が国内サプライチェーンや価値提案を強化しなければ、米国市場から淘汰される可能性が高い」と警鐘を鳴らした。さらに同氏は、軽量化した米国組立モデルの導入、現地販売網との戦略的提携、インドや欧州市場への展開拡大など、輸出依存リスクを緩和するための六つの対応策を提示した。

工具機暨零組件公会理事長陳伯佳18日参加长风基金会的论坛
関税影響に関する対策として、工具機暨零件工業連合会の陳伯佳理事長が6つの対策を提案しました。(写真/陳昱凱撮影)
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