【新新聞】「デジタルドル」が主権通貨を全て破壊する中、台湾ドルも危機に瀕するのか

2025-12-16 21:15
米国のトランプ政権が急いで推進している「ジーニアス法案」は、ドル覇権をブロックチェーン上の世界へと拡張するものだ。(資料写真、林瑞慶撮影)
米国のトランプ政権が急いで推進している「ジーニアス法案」は、ドル覇権をブロックチェーン上の世界へと拡張するものだ。(資料写真、林瑞慶撮影)

ステーブルコイン(安定型暗号資産)の戦場は、実はコインの価格ではなく、通貨主権である。「ステーブルコインの台頭により、世界の金融競争の次元が単なる技術革新から『通貨主権』の戦略的次元に高まった」と前行政院副院長・施俊吉氏は述べた。彼にとって、これはもはや仮想資産界の話題にとどまらず、「未来の金融秩序を定義するデジタル戦争」である。

この戦争の一方は米ドルステーブルコインを中心とした「電子ドル」、他方は各国中央銀行と地域圏がデジタル法定通貨や地域安定コインを通じて敷設している代替ルートだ。地政学的要所に位置し、輸出と米ドル決済に依存する台湾にとって、将来これらのデジタル「鉄道」が敷かれたとき、台湾はその軌道に乗るのか、それとも脇に置かれるのかが真の問題になる。

米ドルステーブルコイン:米ドル覇権をチェーン上に延伸

規模から見ると、世界のステーブルコイン市場はすでに数千億ドルを突破し、主役はほとんどが米ドルにペッグされた製品である。米ドルステーブルコインはすでに暗号取引所で標準的な決済通貨となり、さらに広がりを見せており、eコマースの決済・国際送金・B2B決済にも進出している。

施俊吉氏は、ステーブルコインを単なる「新しい投機商品」として見るのではなく、その背後にある国家戦略を見なければならないと注意を促した。「機能は政府の『選択的な規制』から来ており、許諾と規制の間でバランスを取ることが金融システムの安定を確実にする鍵だ」と述べている。

米国ではこの面での動きが速い。トランプ政府が推進を急いだ『GENIUS法』(Guiding and Enhancing the Nation's Innovation with Stablecoins Act)は2025年に通過した。これにより「米国版ステーブルコイン」に対し、連邦レベルのゲームルールが設定された

• 発行者は1対1の額面準備金(現金、預金、短期米国債などの高流動性資産)を保持すること。

• 準備資産は発行機関の自己資産と厳格に分離される。

ステーブルコインは保有者に利息や他の収益を支払ってはならない。

この設計には2つの重要な効果がある。第一に、民間発行のトークンを、歴史的にいつでも破綻しかねない「野猫貨幣(無秩序な民間通貨)」から、主流の金融システムに受け入れられる範囲に引き戻すことだ。「もともとは民間発行の野猫貨幣だったが、今では発行できるとされ、政府が野猫コインにはならないと保証する」と施俊吉氏は言う。 (関連記事: 価格が明示された「アメリカンドリーム」!「トランプゴールドカード」計画が公式に始動:100万ドル寄付で移民資格を迅速に取得可能 関連記事をもっと読む

第二に、ドル覇権をチェーン上世界に延伸した。永豊投顧は、2大ドル安定コイン発行者TetherとCircleが保有する米国債のポジションは、米国の短期国債オークションでかなりの割合を占めていると指摘する。単純に言えば、世界がドルステーブルコインを取引媒介として使用する際、その裏ではアメリカ財務省が債券を安定的に売り、ドルの資本市場の深さと流動性を強化している。

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