小泉防衛相、空自パイロットの「冷静・厳格」と記された手袋を公開 中国機レーダー照射問題で「本質から目を逸らさない」

小泉進次郎防衛相は、中国軍機による約30分間のレーダー照射事案を巡り、「冷静」「厳格」と記されたパイロットの手袋をXで公開し、任務を遂行した自衛官をたたえた。(写真/黃信維撮影)
小泉進次郎防衛相は、中国軍機による約30分間のレーダー照射事案を巡り、「冷静」「厳格」と記されたパイロットの手袋をXで公開し、任務を遂行した自衛官をたたえた。(写真/黃信維撮影)

小泉進次郎防衛相は2025年12月16日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、中国軍機によるレーダー照射事案に関連して、航空自衛隊パイロットが実際に使用していた手袋の写真を公開した。手袋には「冷静」「厳格」と黒いマジックで書かれており、小泉氏は、約30分にわたり断続的なレーダー照射を受けながらも任務を遂行した自衛官の姿勢をたたえた。

小泉氏は投稿で、「内倉統幕長が先日の記者会見で触れた手袋。実際に統幕長が持ってきてくれました」と説明した上で、「30分のレーダー照射を受けながら、『冷静』『厳格』を心がけて任務を粛々と遂行した自衛官を改めて誇りに思います」と述べた。

この手袋については、防衛省制服組トップの内倉浩昭統合幕僚長が11日の記者会見で、自身のパイロット時代の経験として言及していた。内倉氏は、約30年前に北海道・千歳基地でF15戦闘機の操縦者として対領空侵犯措置に従事していた際、「毎回離陸するたびに、手袋に書いた『冷静』『厳格』という言葉を見て気持ちを整えていた」と説明。飛行中は常に神経を研ぎ澄まし、今回のようなレーダー照射が起きていないか注意していたと語っていた。

小泉進次郎防衛相は、中国軍機による約30分間のレーダー照射事案を巡り、「冷静」「厳格」と記されたパイロットの手袋をXで公開し、任務を遂行した自衛官をたたえた。小泉進次郎防衛相
小泉進次郎防衛相は、中国軍機による約30分間のレーダー照射事案を巡り、「冷静」「厳格」と記されたパイロットの手袋をXで公開し、任務を遂行した自衛官をたたえた。(写真/小泉進次郎防衛相提供)

問題となっているのは、12月6日に沖縄本島南東沖の公海上空で発生した事案で、航空自衛隊のF15戦闘機に対し、中国軍のJ15戦闘機が約30分にわたり断続的にレーダー照射を行ったとされている。内倉統幕長は11日の会見で、中国軍機の行動について「必要な範囲を超える危険な行為だ」と批判し、戦闘機のレーダーは捜索だけでなく火器管制にも用いられるため、照射を受けた側はその意図を明確に判断できないと指摘していた。

小泉防衛相は今回の投稿で、「様々な情報が氾濫していますが、今回の事案の問題の本質は、30分にわたるレーダー照射が断続的に行われたこと」と強調。「この本質から目を逸らす試みに乗らず、冷静、厳格に対応してまいります」と述べ、内倉統幕長の言葉を重ねる形で政府としての姿勢を示した。

戦闘機によるレーダー照射は、ミサイル誘導に用いられる火器管制レーダーを照射する行為を指すとされ、専門家の間では「拳銃の引き金に指をかけたまま相手に向ける行為」に例えられるなど、極めて危険性の高い行動と位置づけられている。

小泉氏の投稿には、対応にあたった自衛官に対し、「生きた心地のしない30分だったはずだ」「勇気と冷静な判断に感謝したい」といった声が相次いで寄せられており、現場の緊張感と自制的な対応への評価が広がっている。

編集:小田菜々香

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