米軍の台湾支援、最大の難題は何か MIT研究者が問う「中国本土を攻撃するのか否か」

「空母キラー」と称される東風-21Dミサイルの射程は約1500キロメートルで、世界で唯一の中距離対艦弾道ミサイルである。(写真/BBC中国語版提供)
「空母キラー」と称される東風-21Dミサイルの射程は約1500キロメートルで、世界で唯一の中距離対艦弾道ミサイルである。(写真/BBC中国語版提供)

中国が過去数十年にわたり構築してきた「反介入・領域拒否(A2/AD)」戦略は、成熟段階に入ったとみられている。数千発規模のミサイルによって形成されるこの火力網は、米軍を台湾海峡の外に締め出すだけでなく、西太平洋に展開する米軍の空軍基地や港湾、各種軍事施設に対しても現実的な脅威となっている。

一方で、軍事専門家は米メディアのフォックス・ニュース(Fox News)に対し、中国人民解放軍が誇る膨大なミサイル戦力の背後には、深刻な弱点も存在すると指摘している。具体的には、汚職や腐敗の問題、部隊間の協同作戦能力の不足、さらには実戦経験の欠如といった要因が、作戦遂行能力を制約する可能性があるという。

米メディアの『フォックスニュース』(Fox News)は、陸上での衝突が米中対立において最も見落とされがちでありながら、実は最も重要な局面になり得ると指摘している。ただし、それは装甲部隊同士の正面衝突ではなく、ミサイル部隊の生存を賭けた戦いになる可能性が高い。米中の大規模衝突は、戦闘機が離陸する前に始まっているかもしれないという。

中国は、通常の制空権争いでは米軍に対抗できないことを十分に理解しており、中国人民解放軍は別の道を選んだ。すなわち、膨大な規模のロケット軍(PLARF)を構築するという戦略だ。マサチューセッツ工科大学(MIT)の上級研究員、エリック・ヘギンボサム氏は、「これは誤解されている競争だ。勝敗を分けるのは、どちらの戦闘機が速いかではなく、どちらのミサイルの射程が長いか、そしてどちらの基地が最初の攻撃を生き延びられるかだ」と指摘する。

ヘギンボサム氏は、「解放軍は、正面からの空中戦で優位に立てるとは考えていない。そのため、火力を投射する別の手段が必要であり、それが大量の地上発射装置を整備してきた理由だ」と説明した。2025年末までに、中国は世界最大規模の戦域ミサイル備蓄を保有する見通しで、これらは強化された地下施設や移動式発射車両に配備されている。発射後に迅速に移動する「シュート・アンド・スクート(撃って移動)」戦術を用い、開戦初期の数時間で飽和攻撃を行い、米軍の防衛網を無力化する構えだという。

戦略国際問題研究所(CSIS)の上級副所長、セス・ジョーンズ氏は、こうした動きに強い懸念を示している。「ロケット軍は短距離、中距離、長距離ミサイルを次々と増産している。現在では第一列島線を越える能力を持ち、さらに第二列島線に対しても脅威を増大させている」と述べた。これは、日本の嘉手納基地からグアムのアンダーセン空軍基地に至るまで、太平洋に展開する米軍拠点のいずれもが攻撃を免れない可能性を意味する。 (関連記事: 台湾国家安全局「米中対立は管理段階へ」 中国は日本への圧力を維持 関連記事をもっと読む

米軍のアキレス腱:弾薬在庫はわずか1週間分

『フォックス・ニュース』によると、米軍は数量面では一時的に劣勢にあるものの、戦力の質では依然として重要な優位性を保持している。トマホーク巡航ミサイル、SM-6ミサイル、極超音速兵器など、米国のミサイル戦力は、中国が現時点では模倣できない地球規模の監視ネットワークと結びついている。衛星、水中センサー、ステルス無人機、そして数十年にわたる実戦経験によって磨かれてきた統合指揮システムにより、目標選定能力と生存性の面で世界的に突出しているという。

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