アウンサンスーチー氏の安否に深まる懸念 次男「すでに亡くなっている可能性も」「5年間で手紙は1通だけ」

アウンサンスーチー氏の次男キム・アリス氏。(写真/日本記者クラブ提供)
アウンサンスーチー氏の次男キム・アリス氏。(写真/日本記者クラブ提供)

ミャンマーの民主化指導者アウンサンスーチー氏は、2021年の軍事クーデター以降、拘束された状態が続いており、その健康状態をめぐって国際社会の懸念が高まっている。次男のキム・アリス氏は15日、東京での取材に応じ、長期間にわたり母親の状況を直接確認できていないとして、「私の知る限りでは、すでに亡くなっている可能性すら否定できない」と述べた。その上で、日本政府および国際社会に対し、ミャンマー軍政への圧力を強め、母親の安否確認を求めるよう訴えた。

キム・アリス氏は、東京で行われたロイター通信の独占インタビューで、クーデター以降、母親からの直接的な連絡は一切なく、断片的な間接情報を通じて、心臓や骨、歯茎などに健康上の問題があると聞かされていると明らかにした。現在80歳のアウンサンスーチー氏は、2年以上にわたり誰にも面会が許されておらず、家族だけでなく、弁護士ですら接見できない状態が続いているという。キム氏は、「法的チームとの接触すら認められていない。まして家族など論外だ」と語った。

情報が完全に遮断された状況の中で、母親が生存しているのかどうかさえ確認できないとして、「この不確実さに耐えるのは非常につらい」と率直な心境を明かした。

キム・アリス氏は同日、東京の日本記者クラブで記者会見を開き、クーデター以降の約5年間で、母親から受け取った直筆の手紙はわずか1通にとどまると説明した。完全な釈放を実現するのは「極めて困難だ」とした上で、少なくとも自宅軟禁に戻すことで、外部が健康状態を確認できるようにしたいと述べ、日本政府に支援を求めた。

また、ミャンマー軍が今月28日から実施を予定している総選挙について、キム氏は、野党勢力の参加を認めない選挙は「本質的に意味をなさない」と批判し、各国に対して選挙結果を承認しないよう呼びかけた。こうした選挙によって軍政に正当性が与えられれば、ミャンマー国民の苦難は一層深まると警告した。

一方で、軍政が選挙前後に世論を和らげる目的で、アウンサンスーチー氏を釈放する、あるいは軟禁に切り替える可能性もあるとの見方を示し、「もしそうなれば、少なくとも一定の改善にはなる」と述べた。

アウンサンスーチー氏は、2013年4月と2016年11月の2度にわたり、日本記者クラブで記者会見を行っている。キム・アリス氏は、同じ場所で発言した心境を問われ、「母がこの形で私が関与していることを知れば、悲しむだろう」と語り、「母は、私がこのような形で政治に関わることを望んでいない」と率直に述べた。

世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp  

編集:小田菜々香

(関連記事: 国際詐欺はなぜ摘発し切れないのか AFPが暴いたミャンマー軍政の皮肉な結末――KKパーク摘発が隣接拠点の「採用ラッシュ」を誘発 関連記事をもっと読む

最新ニュース
イベントデータをマーケに活用 ピーティックス、法人向け新サービス「Peacom」
高輪ゲートウェイに次世代型ミュージアム「MoN Takanawa」誕生 マンガ、宇宙、歌舞伎も“体験”へ
「HAPPY UMA YEAR 2026」開催 グランスタ東京が「午」モチーフの限定商品と「馬力」グルメを展開
コロナ セロ、ミラノ・コルティナ2026冬季五輪記念ウィンターキャンペーン開始 野沢温泉で期間限定イベント
Suicaのペンギン新作グッズが登場 5アイテムをグランスタモール数量限定販売、12月18日から
GREEN×EXPO 2027公式グッズに新作 「トゥンクトゥンク」11アイテムが12月17日登場
【単独インタビュー】リッチモンドホテル、台湾市場で存在感 新ブランド戦略を宗像部長に聞く
国会質疑で再び「台湾有事」 高市早苗首相「対話による平和的解決が日本の立場」
台湾・賴清德総統、財政法・年金修正を強く批判 「国家財政と民主に重大な危機」
2026年春の国内旅行予約が本格スタート 短期日程の家族旅でクルーズ需要が拡大 三井オーシャンフジが「タイパ親子旅」を提案
グローバル「Z世代革命」の怒りが続く! ブルガリア政府は耐えきれず、若者に屈した初の欧州政権に
ウクライナはこの4年間、何のために戦ったか ゼレンスキー氏、和平と引き換えにトランプ氏側特使に「NATO加盟に固執なし」と表明
G7+ウクライナのエネルギー部門支援で閣僚級会合 国光彩乃外務大臣政務官が出席
NVIDIAだけではない競争優位の揺らぎ 専門家警告「TSMCもこの企業に切り崩されつつある」
back number、「第76回NHK紅白歌合戦」白組で出場決定 『どうしてもどうしても』『水平線』を披露
「日本病」と「台湾病」が同時に韓国を直撃か? 韓国の専門家が警告「手を打たなければ日台韓で最大の敗者に」
宅麺.com主催「Takumen Ramen Awards 2025」開催 受賞ラーメンを発表
シドニー・ボンダイビーチ銃撃テロ要点整理 犯人親子の正体とユダヤ人標的の理由、銃を奪った「英雄」
鳥取県、カニと名湯を楽しむ1泊2日のモデルコースを公開 「蟹取県」ならではの冬の魅力を発信
米国の仲介空転か タイ・カンボジア国境衝突激化、トランプ氏の停戦アピールと食い違い
杜宗熹氏コラム:米国も中国と日本の間でバランス外交? 馬英九氏の「正しさ」を証明したのは、なんとトランプ氏だった
麻布台ヒルズ、初売り企画「NEW YEAR SPECIAL」を開催 福袋や干支アイテム、新年限定グルメが集結
東京オートサロン2026、チケット販売開始 佐藤琢磨が伝説のF1マシンでデモ走行、WRC王者も登場へ
コミックマーケット107、50周年の節目に開催決定 2025年末の東京ビッグサイトで「自己表現の祭典」
渋谷PARCOでフジロックの記憶を辿る特別展「TIME CAPSULE 2025: A FUJI ROCK Odyssey」12月26日開幕
「台湾有事」発言の余波か 岩崎茂氏の台湾・行政院政務顧問起用めぐり中国が制裁
台湾立法院で反年金改革が成立 支持率58%の世論が与党民進党を直撃 医師・蘇一峰氏が挙げた3つの要因とは
上野の双子パンダ「シャオシャオ」「レイレイ」来年1月下旬に中国返還へ 日本は約半世紀ぶりのパンダ不在に
日中関係緊張、中国政府と国民の反応は異なるのか? 消費者は「食べ続け、買い続け」、日系ブランドの中国シェアは影響なし
徐和謙の視点:トランプ文書が示す「世界観」と台湾海峡の行方
青森ねぶた祭の中核メンバーが台湾へ! ねぶた師が海を越え、媽祖をテーマにした巨大ランタンを制作
台湾・民進党初選で頼瑞隆氏に「いじめ疑惑」直撃、林俊憲氏も失速気味 頼清徳氏が背負う「高雄・台南」攻防が激化
舞台裏》「秘書費」をめぐり批判噴出 台湾・立法院法案を動かした2人の存在
トランプゴールドカードだけでなく、トランプ企業ゴールドカードも 米商務部長がグリーンカードとの違いを説明:エリートのみ受け入れる
U-NEXT、「FNC KINGDOM」10周年公演を独占ライブ配信 FTISLANDの秋ツアーも3カ月連続配信
台湾で人工生殖法が17年ぶり大改正へ! 女性同士の婚姻も合法的に出産可能に、なぜ代理出産は見送られたのか? 子の権利と親子認定を徹底解説
GPT-5.2登場!インスタント/シンキング/プロの3種類、年齢検知と成人モードの違いは?
価格が明示された「アメリカンドリーム」!「トランプゴールドカード」計画が公式に始動:100万ドル寄付で移民資格を迅速に取得可能
中国の旅行禁止令から1か月、日本観光は崩壊したのか? メディアが明かす「最大の被害者」:ホテル業界が活用した秘策とは
TYO、ブランドジャーナリズムと協業し「伝わる」企業映像を強化 次世代発掘の学生アワードも始動
クマ被害急増の真因は「エネルギー革命と森の回復」 横山真弓教授が指摘「日本の生息密度は欧米の10倍以上」
舞台裏》台湾・国民党、2026年大敗を覚悟! 台中ではない「あの県市」を失えば、盧秀燕氏の総統選出馬は消滅か
高市早苗首相「台湾有事論」は本当に独断だったのか? 参議院議員が幕僚の手書き原稿を公開、日中関係悪化の責任を追及
独占インタビュー》AIが労働力を代替し、週休3日が到来へ? ノーベル経済学賞受賞者が台湾産業の「あるリスク」に警鐘
ディズニーが10億ドルでOpenAIに出資!「スター・ウォーズ」や「マーベル」をSoraに独占ライセンス、ハリウッドに失業の波が懸念
中国が「琉球未定論」を提起、高市早苗首相に反論? 東大教授が沖縄の日本帰属を強調
7年半で依頼7000件超、「ただ一緒にいる」サービスの実像 森本祥司氏が見た現代日本の孤独
秋田県知事が語る「自衛隊派遣」に踏み切った理由と「新世代クマ」の脅威 人里で相次ぐクマ襲撃、秋田で何が起きているのか
グランツリー武蔵小杉でクリスマス気分全開 サーカスモチーフのツリー&予約不要のクリスマスケーキも登場
台湾のドローン産業、欧州最前線へ 銘旺科技がウクライナで実戦テストに招請 「非レッド・サプライチェーン」戦略の中核に参入