トップ ニュース 中国が「琉球未定論」を提起、高市早苗首相に反論? 東大教授が沖縄の日本帰属を強調
中国が「琉球未定論」を提起、高市早苗首相に反論? 東大教授が沖縄の日本帰属を強調 東京大学教授・阿古智子氏の資料写真。(写真/黄信維撮影)
高市早苗首相は、11月初めに国会で「台湾有事」に関する質問に答える際、「日本はそれを存立危機事態と見なし、集団的自衛権を行使する可能性がある」と発言し、これが日本の軍事介入を示唆していると受け取られ、北京から強い反発を受けた。この発言を受けて、中国は外交戦や経済戦を強化し、さらに「琉球地位未定論」を提起。これは沖縄が日本に属している法的根拠がないという主張であり、日本に対する反撃の姿勢を示している。
中国が「琉球カード」を切って揺さぶりをかける中、日本外務省は在中国日本大使館に対し、今後の中国官製メディアによる論戦のエスカレートを注視するよう緊急指示を出した。一方で、日本の中国問題専門家もこの論争に対して「弁護」に立ち、国際的な側面から見ても、沖縄(琉球)が日本に帰属している確固たる証拠があると強調している。
沖縄・嘉数高台公園から遠望する普天間米軍基地。(写真/張鈞凱撮影)
中国官製メディアの主張 中国の官製メディア「中新社」は、12月10日に「琉球の帰属問題は無期限に先送りされ ている」と題した記事を発表した。記事では、1879年に日本が琉球を強制的に占領し沖縄県に改編して以来、「日本が琉球に対して主権を有している」という主張は国際社会から認められていないと強調し、沖縄の多くの住民が今も自分たちを日本人とは認めていないと述べている。
また、記事の中で、最近の高市首相の政府による西南地域の軍事的な展開が沖縄の住民の不満を再燃させており、沖縄が再び戦争の前線となることを懸念していると指摘している。「彼らは、戦略的に重要な琉球諸島が再び衝突の最前線にされるのではないかと不安を抱えている」と報じた。
報道によると、1971年に日米は密かに「沖縄返還協定」を結び、1972年に米国は日本に沖縄を施政権として返還したが、主権に関する問題は触れられていなかった。中国側はこの協定が国連安保理で承認されていないことを強調し、国連も日本が琉球に対する主権を有しているとは認めていないと主張している。
小泉進次郎防衛大臣は 23日に石垣島の自衛隊を視察し、与那国島にミサイルを配備する計画が順調に進行していることを発表。(写真/小泉氏のXから転載)
中国側が「琉球」カードを切り始めた? 中国が最近展開し始めた「琉球地位未定論」に関して、東京大学大学院総合文化研究科の阿古智子教授は、12月に日本の公益財団法人「フォーリン・プレスセンター」(FPCJ)で行った講演「日中関係-日本の緊張緩和への対応」でコメントした。阿古教授は、沖縄に対する中国の主権主張が始まったことについて、「私たちは沖縄の帰属を確認し、証明することができる」と強調した。
阿古教授は講演で、急速に変化する日中関係の背景、日本が直面する外交と安全保障の課題、そして日本の対応策について説明し、海外メディアからの質問にも答えた。 沖縄の帰属権について阿古教授は「日中間には確かに領土問題が存在するが、沖縄は米国による占領後、正式に日本に返還され、沖縄の人々はその後、民主的な方法で自治を行ってきた」と述べた。さらに「沖縄は完全に日本社会に統合されており、沖縄の人々は日本国民として自信を持って生活している」と強調した。
中国外交部の郭嘉昆報道官、は高市早苗首相を「改悛せず、誤りを重ねている」と批判。(中国外交部ウェブサイトから転載)
沖縄も日本の民主社会の一部 阿古教授は、各国が現代の制度を構築する際に困難に直面することがあるとし、領土線の引き方や植民地支配などが関わる問題であると述べた。とはいえ、戦後80年にわたり日本は民主主義を貫いてきたことは「疑いようのない事実」だと強調した。そして、「沖縄は日本の領土であり、その主権の帰属は明確であり、これは揺るぎない原則だ」と述べ、中国の主張は法的にも成り立たないと断言した。
阿古教授はまた、沖縄問題における重要な概念として「法の支配」を挙げ、「民主主義と法治は重要だ。我々は法治を守らなければならない」と強調した。
高市早苗首相。(AP)
日本政府の「琉球地位未定論」対策 『風傳媒』によると、日本政府は早くも11月初めに、日中関係の悪化が始まった段階で、中国が提起する可能性のある「琉球地位未定論」に備えていた。政府は、東京大学の東洋文化研究所特任研究員である林泉忠氏などの学者を招き、中国の関連する主張と進展を把握しようとした。
林泉忠氏は、11月25日に行われた日本のシンクタンク「東アジア共同体評議会」の非公開セミナー「中国の『琉球カード』をどう解釈するか?」で、「最近、中国のメディアやシンクタンク、専門家が沖縄の主権を疑問視する発言を行っており、これらは『琉球カード』として、日本の台湾問題への関与を抑制するための手段である」と指摘した。
しかし、林氏はこれらの発言が昨年以降、より深刻なものになり、いくつかの中国の専門家が「琉球問題は国家の安全と祖国の統一に関わる」とし、沖縄が中国の一部であることを暗示する発言を繰り返していると述べた。また、関連する議論のトーンが明らかにエスカレートし、中国国内に「琉球研究センター」を設立する提案もなされたという。
林氏によると、偶然にも、高市早苗新内閣が発足し、国会で「台湾有事」について「存立危機事態」という言葉を使ったことが中国の強い反発を招いた。日中関係の緊張が高まる中で、中国が沖縄への影響力をさらに強める可能性があると林氏は警告し、「日本はこの状況を正確に解釈し、どのような準備をすべきかを考える必要がある」と述べた。
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