TSMCは「大きすぎて潰せない」 このカードを米国に切ればどうなるか 元副院長・施俊吉氏「第三次世界大戦なしでも台湾は世界を握りうる」

中央研究院人文社会科学研究センターの施俊吉氏。(写真/李忠謙撮影)
中央研究院人文社会科学研究センターの施俊吉氏。(写真/李忠謙撮影)

台湾の半導体大手 TSMC は「シリコンシールド」なのか、それとも地政学的な「標的」なのか。米中という二大国の狭間に置かれる台湾は、半導体の安全保障戦略をどう描くべきなのか。中央研究院人文社会研究中心の兼任研究員である施俊吉氏は10日、中研院経済研究所のマクロ計量経済モデル会議で「大きすぎて倒れないTSMC」をテーマに講演し、TSMC が台湾、世界のAI産業、米国の地政学において果たす多層的な役割を詳しく分析した。また、台湾が目指すべきは「TSMCが存在する台湾」であって、「台湾の上にTSMCが乗っている状態ではない」と述べ、米国に対しては「TSMCという切り札をどう使うべきか」についても提言した。

三つの次元で語られる倒れてはならないTSMC

施俊吉氏は行政院副院長、金融監督管理委員会主委、台湾証券取引所董事長を歴任し、産業経済・規制経済・金融政策・公正取引法の研究を続けてきた。同氏が指摘する「大きすぎて倒れないTSMC」とは、台湾にとって、AI産業にとって、そして米国にとって不可欠な存在であることを意味する。

元パキスタン首相イムラン・カーン氏の「パキスタンは軍を持つ国家ではなく、国家を持つ軍だ」という批判を引きながら、施氏はこれを中国に当てはめれば「中国は共産党を持つ国家ではなく、国家を持つ共産党だ」となると説明する。そして台湾に置き換えると、​「台湾はTSMCを持つ国家ではなく、国家を抱えるTSMCになりつつある」
と現状を描写した。

施氏は、TSMC が台湾にもたらす「両刃の剣」の効果を丁寧に分析した。TSMCは「シリコンシールド」として台湾の国際的なサプライチェーン上の戦略的位置を支えている一方で、フィンランドのノキアを例に、産業が一極集中することのシステミックリスクを強く警告している。

TSMC の存在感はすでに台湾株式市場に強く結びついており、施氏は「台湾の株価はもはやTSMC次第」と指摘する。実際、TSMCは台湾株式市場の時価総額の43%を占め、総額は35.92兆台湾ドル(約1.2兆ドル)で、台湾の年間GDP(2025年予測:26.89兆台湾ドル)を大きく上回る規模となっている。

こうした「企業規模が国家を上回る」現象は世界的にもまれだ。サムスンでさえ韓国GDPを完全に上回ったことはない。施氏は「TSMCは護国神山である以上に、国家そのものを支える“柱”だ」と語る。売上や税収で見ても、その影響力は圧倒的だ。TSMCの売上は台湾GDPの1割超、法人税は台湾全体の20%以上を占めており、TSMCは17世紀イングランドの東インド会社や、20世紀末〜21世紀初頭のフィンランドのノキアに匹敵する存在だという。 (関連記事: 論評:アメリカの対台圧力 台湾は「売られた上にお金まで数えさせられる」のか 関連記事をもっと読む

TSMC を世界の主な企業の時価総額(先週時点のデータ)と比べると、その規模の特異さがより鮮明になる。TSMC は 1.196 兆ドル、テンセントは 7,210 億ドル(中国で最も時価総額が高い企業)、サムスンは 4,220 億ドル(韓国で最も時価総額が高い企業)、アリババは 3,780 億ドル、中国農業銀行は 3,570 億ドル(上海 A株で時価総額最大の企業)、トヨタは 3,170 億ドル(日本で最も時価総額が高い企業)、SK hynix は 2,680 億ドル、貴州茅台は 2,520 億ドル(上海 A株で時価総額第2位)となっている。欧州・アジア・アフリカに範囲を絞れば、TSMC を上回る企業はサウジアラムコ(1.58 兆ドル)のみであり、TSMC はこの地域で第2位の時価総額を持つ企業という位置づけになる。

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