米国のドナルド・トランプ大統領がウクライナについて「民主主義が崩れている」と公然と疑問を呈したことを受け、戦時下で選挙を行うべきかどうかが、キーウとワシントンの最も敏感な争点になっている。外部からの圧力が高まる中、
氏は12月9日、強い口調で反撃し、「米欧が安全を保障するなら、ウクライナは60〜90日以内に投票できる」と語った。ただし、ロシア軍の攻撃が続き、戒厳令が施行され、前線の兵士や数百万人の避難民が投票しづらい現状を踏まえると、戦時に選挙を再開するのは容易ではない。
ウクライナ選挙の停止に、トランプ氏が「もはや民主主義ではない」と疑義
ここ数日、米ウクライナ関係は「選挙を行うべきかどうか」という議論で緊張を強めている。12月9日、Politicoが公開した長文インタビューで、トランプ氏はウクライナでは「長い間選挙が行われていない」と述べ、「民主主義を掲げる国が、実はもはや民主的でないのではないか」と疑問を示した。この発言により、戦時選挙の是非が一気に外交の焦点となった。
トランプ氏の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏も論争を拡大させた。英紙ガーディアンによれば、彼はドーハでの会議でゼレンスキー氏が「地位を維持するため戦争を引き延ばしている」と非難し、戦争が終わらなければ「父はウクライナから手を引く可能性がある」と述べたという。トランプ氏本人は息子の発言について、「完全に正しいわけではないが、完全に間違ってもいない」と述べ、曖昧な姿勢をとった。
同時に、ワシントンもキーウへの圧力を強めている。米国は最近、和平交渉開始を働きかけており、欧州外交界でも関連の動きが強まっている。米側は、和平を得るためにはウクライナが領土問題で譲歩し、ドンバス地域を放棄する可能性があると示唆している。しかし、この考え方はウクライナ国内で極めて不人気で、ロシア側も応じる姿勢を見せていない。
ゼレンスキー氏の反撃「選挙は可能。しかし、安全を保障するのは欧米だ」
トランプ氏の批判に対し、ゼレンスキー氏は沈黙しなかった。ゼレンスキー氏は9日夜、選挙はウクライナ国民が決めることであり、協力国を尊重しつつも「外国が判断すべきではない」と述べた。
戦時選挙の可否について、ゼレンスキー氏は次のように語った。アメリカ大統領が問題を提起したからこそ明確に答える必要があるとして、「選挙手続きを始める準備はすでにできている」と表明。今後数カ月で実行可能な方式を総合的に検討するという。
さらに同氏は、米国と協議し、欧州諸国とともに選挙の安全確保を進めたいと述べた。「安全が保証されれば、ウクライナは60〜90日以内に投票の準備が整う」とし、自身の意志と準備も整っていると明言した。
ウクライナ憲法と戒厳法では、戒厳令下では大統領・議会・地方選挙を行うことができない。戒厳令はロシアが2022年に全面侵攻して以降続いており、解除されていない。通常ならウクライナは2024年3〜4月に大統領選を行う予定だったが、ゼレンスキー氏の任期は昨年5月に満了し、法律により選挙は停止されている。




















































