アメリカの圧力に耐えきれず? メキシコが中国製品に「最大50%関税」検討 トランプ氏の鉄鋼・アルミ関税引き下げと引き換えに

米国大統領ドナルド・トランプ氏(左)とメキシコ大統領クラウディア・シェインバウム氏、ワールドカップ抽選式に共に出席。(AP通信)
米国大統領ドナルド・トランプ氏(左)とメキシコ大統領クラウディア・シェインバウム氏、ワールドカップ抽選式に共に出席。(AP通信)

長年メキシコは自由貿易協定(FTA)による無関税の恩恵と、アメリカに隣接する地理的優位を活かし、多くの企業に北米市場への重要な踏み台とされてきた。

しかし、ドナルド・トランプ氏が再びホワイトハウスに戻ったことで、まずメキシコとカナダの2つの隣国に矛先を向け、数々の制限と高関税を実施し、メキシコは大きな圧力にさらされることとなった。特に同国と中国企業、サプライチェーンとの関係が注目されている。メキシコ国会は最終表決を控えており、通過すれば、中国を含むアジアの多くの国々からの輸入商品や原材料に対して最大50%の関税を課すこととなり、このことを通じてワシントンとの関税引き下げを目指している。

ブルームバーグ報道によれば、メキシコ国会は今週、クラウディア・シェインバウム大統領が提案する中国への関税案を議論する予定である。この法案は主に地元産業を保護し、米国との貿易緊張関係を緩和することを目的としている。同時に、メキシコがこれを転機とし、米国からの鉄鋼やアルミニウムの関税率引き下げを引き出せるかどうか、外界の関心も集めている。

新しい法案によれば、メキシコは中国を含むアジア諸国に対し、輸入商品に最大50%の関税を課す。下院ではすでに議論が始まっており、国会は12月15日の休会前に上下両院での最終表決を目指している。

実際、この提案は9月9日に国会に提出されたが、情報が事前に漏れ、アジア諸国の大使館やメキシコの製造業界から強い反対を受け、審査は一時中断された。メキシコの製造業者は中国の部品供給チェーンに大きく依存しており、関税引き上げによりコストが大幅に上昇し、利益が圧迫されることに対して強く反対している。また、一部の与党議員は、アジア諸国に対して関税を引き上げれば、メキシコとアジア市場との関係が悪化することを懸念している。

外部からの反発を受け、メキシコ財務省と経済省は内部審査を行い、原案に対して大幅な修正を行った。しかし、最初に課税対象として挙げられていた1400以上の品目のうち、最終的に300品目のみが「免除」された。その他の課税範囲は依然として非常に広く、輸出の重要品目である衣料品・靴・鉄鋼・アルミニウム・車部品がすべて課税リストに含まれている。

美國與鄰居加拿大、墨西哥陷入關稅矛盾。(美聯社)
アメリカと隣国カナダ、メキシコは関税問題に陥っている。(AP通信)

メキシコ財務省は、法案が実施されれば2026年には関税収入が519億ペソ(約 4.47 兆円)増加し、2024年と比べて8.3%成長すると予測している。

6月に遡ると、トランプ米大統領はメキシコの鉄鋼とアルミニウムの関税を元の25%から50%に引き上げ、初期の税率では米国産業を効果的に保護できないと強調した。このことも、未だに解かれない米墨両国間の葛藤の一つとなっている。

美國與鄰居加拿大、墨西哥陷入關稅矛盾。(美聯社)
アメリカと隣国カナダ、メキシコは関税問題に陥っている。(AP通信)

この高い税率のために、メキシコは今、米国の政策と歩調を合わせようとしており、トランプ政権がいう「不公平な競争」を防ごうとしている。この交渉に詳しい4人の関係者によると、メキシコのビジネス界ではメキシコが中国製品に関税引き上げを正式に行えば、米国はメキシコの鉄鋼やアルミニウムの課税を引き下げることを「検討する可能性がある」と広く予想されている。しかし、米国が関税率を全面的に下げるか、関税免除の枠を設けるかについてはまだ不明だ。

報道について、アメリカ通商代表部(USTR)はコメントを拒否しており、商務省もメディアの質問に応じていない。

編集:佐野華美

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