米新国家安全保障戦略で台湾8回言及 蔡正元元立法委員「台湾に厳しい内容」トランプ政権の狙いを分析

2025-12-09 16:23
トランプ米大統領が最新版の国安戦略報告を発表し、台湾と半導体サプライチェーンの重要性に8回言及。(写真/AP通信)
トランプ米大統領が最新版の国安戦略報告を発表し、台湾と半導体サプライチェーンの重要性に8回言及。(写真/AP通信)

トランプ大統領が発表した新しい「国家安全保障戦略」では、台湾が地政学的に重要であることや、半導体産業における役割が強調された。また、中南米におけるアメリカの影響力も重要視され、同盟国には軍事費の増加が求められている。元立法委員の蔡正元氏はこの戦略報告書を分析し、トランプ政権の国家安全保障戦略は前大統領バイデンの時代から180度方向転換し、1823年に発表されたモンロー主義の2.0版であり、国際政治の現実主義の最新版だと述べた。

モンロー主義は、アメリカ大陸に対するヨーロッパ諸国の干渉を警告するもので、アメリカ大陸の問題はアメリカが主導すべきという立場を強調したものだ。トランプ政権が中南米に対する影響力を再確認し、中国やロシアに対して、ベネズエラやブラジル、アルゼンチンなどの事務に干渉しないよう警告しているのは、このモンロー主義の延長線上にあると蔡氏は分析している。これを蔡氏はアメリカの戦略的撤退と捉えており、これからはグローバリズムや民主主義、人権の価値観を理由に他国の内政に干渉することはなくなるとの見方を示している。

この報告書で台湾が8回言及されているが、蔡氏によれば、どれも台湾にとって不利な内容であり、すべて悪いニュースだという。特に「台湾独立を支持しない」という表現は削除されたが、アメリカは周辺地域への軍事的責任を日本に押し付ける形となり、表面上はグローバルな威圧力を作り上げようとしているが、実際には中国を「悪くはない友人」に変え、台湾はその中で脇に追いやられていると述べている。蔡氏はこれを「国際政治における現実主義」と表現している。

さらに、蔡氏はトランプ政権がインド太平洋戦略を空洞化させていると分析しており、アメリカが新しい軍事基地や武器配備の約束をしていないことを批判している。代わりに核抑止力の強化が強調されており、アメリカ本土が核攻撃を受けない限り、台湾海峡での戦争はアメリカにとっては関係がないという意味だと指摘している。これにより、第一列島線の防衛責任は日本に転嫁され、反グローバリズムや民主同盟の理念に反する道を選んだことが揶揄されている。

国民党立委蔡正元4日參與国民党支持公权力活動时表示,彼は「斬緑草」行動を起こすことを考慮している。(資料照,吴逸驊撮)
元立法委員蔡正元氏(写真)がトランプ氏の新戦略を分析する。(写真/吴逸驊撮影)

元立法委員の雷倩氏は、アメリカの「第一列島線」から後退する戦略が過去からすでに明確に示されており、再び第一列島線を強調しているのは、防衛の責任を同盟国に押し付ける意図があると指摘している。トランプ政権は、アメリカの覇権を米州に集中させ、他の地域での覇権の台頭を抑制するための戦略を取っていると述べている。

雷氏はまた、トランプ大統領が最近ロシアに対して友好的な姿勢を見せ、ロシアをG8に復帰させる意向を示唆していることを分析している。この目的は、ロシアを利用して欧州を牽制し、欧州がNATOに依存する形にするためだと述べている。アジアでは日本や台湾を使い、中国の台頭に対するバランスを取ろうとしているが、雷氏は、中国外交部長王毅とロシアの連携がトランプの計画を破綻させる可能性があると指摘している。

雷氏は、世界が多極化に向かっている中で、トランプ大統領がアメリカの覇権を維持するために「天下三分」の戦略を実現しようとする計画が、実行が非常に困難であると述べている。

世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp

最新ニュース
青森地震、台湾人観光客がホテルでテレビを守る姿が話題に 「自分より他人を心配する姿に涙」SNSで感動広がる
台湾有事が日本の安全に影響? 台湾海峡の兵力シミュレーションで中国の成功率は極低、ペンタゴン指摘の「1つのシナリオ」で北京が核使用の可能性
トランプ高関税が日本経済に影 7〜9月期GDPがマイナス成長、中小企業の賃上げに重圧
【北京観察】南京大虐殺犠牲者国家追悼日を前に日中緊迫 J-15のレーダー照射で偶発衝突懸念
青森沖M7.5、政府が初の「後発地震注意情報」発表 東大研究者が警鐘「2~3日以内に超巨大地震の恐れ」
青森県で震度6強、M7.5地震 津波も観測、23人負傷・約800戸停電 専門家が指摘「避難の三つの誤解」
「清水 ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎祭」12月13・14日開催 仲村トオルが初日セレモニー登壇 聖地巡礼ツアーや特別車両展示も
Netflix『ストレンジャー・シングス』最終章記念 原宿V.A.「STRANGER THINGS HOUSE」盛況
皇后陛下、誕生日に戦後80年を語る 硫黄島・広島・長崎などで戦没者を追悼、平和の継承の重要性を訴え
グランスタ、エキュートでクリスマスフェア開催中 予約なしで買える限定ケーキも登場
ヨーロッパに「自力更生」を迫る? ロイター:米国、2027年以降はNATOの多くの任務で防衛責任を欧州側へ引き継がせる方針
バージニア大学の最高給教授、小野健氏が退職し自身の学生に協力する決断を! AI産業へ飛び込む57歳の数学者、終身職を捨てた理由とは?
【緊急速報】北海道・青森県・岩手県に津波警報 青森県東方沖でM7.6の強い地震、最大震度6強を観測
第76回NHK紅白歌合戦「紅白ウラトークチャンネル」司会にダイアンと林田理沙アナ 関連番組も一挙発表
イチロー氏、米殿堂入り記念フィギュア発売へ 限定3,089体、12月12日からMLB公式で受注開始
杜宗熹コラム:民進党政権は中国の台頭に無力 その矛先は小紅書(RED)と中国籍配偶者へ
RADWIMPS、デビュー20周年で紅白出場決定 4年ぶりアルバム1位&朝ドラ主題歌『賜物』も話題に
ジェンスン・フアン氏、中国がNVIDIAに対抗する「AI一帯一路」構想に警鐘 ファーウェイの2ナノ猛追に「AIの教父」が危機感
舞台裏》「小紅書(RED)」だけではなく、Facebookも封鎖寸前だった? 台湾政府が次に狙うプラットフォームとは
SixTONES、3年ぶり紅白出場 デビュー6周年の特別メドレーを生中継で披露
高市政権の18.3兆円対策で円安・物価高懸念 国債増発に市場警戒、日銀の判断に焦点
ふるさと納税の人気返礼品が集結 「さとふる」二子玉川で期間限定マルシェ開催へ 物価高時代の「生活応援」と「プチ贅沢」を提案
【新新聞】介護殺人に重刑判決が続く台湾 医師が語る「問題の根本」
台湾に今冬最強寒気 最低気温10度下回る恐れ 北部は強雨、朝晩は冷え込み
ジョージ・タケイ氏、FCCJで自身の歩みと歴史的経験を語る
旧万世橋駅の遺構を活用した没入型体験イベント『導かれてしまいます』が販売開始
大阪・関西万博2025、閉幕1カ月で総括を報告 高科淳副事務総長が成果と課題を説明
中国SNS小紅書(RED)に「日本の寺」6000万円出品 日メディアが追う宗教法人買収と中資流入の現実
シタディーン、BIKAS COFFEEと協業 植樹を通じ未来の一杯を育てる宿泊プラン「Coffee for the Future Stay」
日中、武力衝突寸前か 中国軍が自衛隊機に照射、日本は抗議 中国「遼寧への悪質追尾」主張
台湾有事で日米に「温度差」 高市首相の明確発言に対し、トランプ政権は沈黙 「日本は失望している」英FTが報道
「極めて危険な行為」防衛省声明 中国空母艦載機が自衛隊機を火器管制レーダーで2度照射
サニーサイドアップ、最新ニュースレター公開 AI強化から新会社設立まで発表
藤田文武共同代表、FCCJ記者会見で連立経緯・改革姿勢・政策論点を詳述
ヨーロッパ貴族の間で広がったカフェ文化―小皿「ソーサー」に秘められた意外な用途
ジェンスン・フアン氏、ワシントンでAI版「一帯一路」と国家安全保障を語る ファーウェイは評価しつつも、米国は迅速に競争で勝つべきとの見解
オーストラリアが世界初、16歳未満のSNS禁止令を10日に施行 FB・インスタ・TikTokが対象 各社の対応が焦点に
エア・インディア、耐空証明書切れの機体で8便運航 航空適航基準を無視し乗客を危険に晒す異常事態
ノルマンディーで砲火の中負傷兵を救った米軍退役軍人チャールズ・シェイ氏が死去 101歳「これで世界は平和になると思っていた」
橋本聖子JOC会長、スポーツの価値と平和の重要性を強調 FCCJで会見
第二のDeepSeek? 郭正亮氏「この中国AI企業」がテクノロジー界を震撼:市場価値の爆発可能性を指摘
張鈞凱コラム:島嶼の火種を生まないために──沖縄と台湾が担う「平和の使命」
中国人観光客は日本を避け始めた? ある国が「14日間のビザ免除」を発表するも、ネットでは驚きの反応「お金をもらっても行かない」
飛行機コックピットの「笑顔のうつ」 ロイターが暴く米民間航空の闇:免許と収入を守るため、パイロットは心の不調を隠す
ストリーミング戦国時代の最終局面 Netflixが約11兆円でワーナー・ブラザース買収合意、『ハリー・ポッター』『DC』が傘下コンテンツに