ヨーロッパに「自力更生」を迫る? ロイター:米国、2027年以降はNATOの多くの任務で防衛責任を欧州側へ引き継がせる方針

NATO加盟国の軍隊がポーランドで多国籍軍事演習を実施。(AP通信)
NATO加盟国の軍隊がポーランドで多国籍軍事演習を実施。(AP通信)

米国国防総省(ペンタゴン)は今週、ヨーロッパの官僚に対し、米国政府が2027年までにヨーロッパの同盟国がNATO(北大西洋条約機構)の通常防衛責任、情報、ミサイル、軍隊配備など、さらに多くの分野で負担するよう望んでいることを伝えた。米国は、ヨーロッパが軍事費を増やしても目標を達成できなければ、北大西洋条約機構の一部防衛機構から撤退する可能性があると直接的に警告したという。

ロイター》によると、会議に詳しい5人の消息筋は、米国防総省の代表がこの目標をヨーロッパ各国の使節に対し伝えたと指摘している。もしヨーロッパが2027年までに自らの能力向上を達成できない場合、米国は部分的に北大西洋条約機構の防衛調整機構から撤退する可能性があるとした。

しかし、米国のこの露骨な警告に直面しても、ヨーロッパの官僚は米国が強いるものにすぎないと指摘した。現実的には、高度な政治的意志と十分な資金投入があっても、一部の米国の能力を短期間で代替することは不可能であるという。例を挙げれば、米国が提供する情報、偵察および各種防空システムなどの重要な機能は、単に装備を購入しただけでは得られない。

さらに、より深刻な問題は、ヨーロッパ各国の軍事装備生産の進捗は、ほとんどが深刻な遅延に直面していることである。米国自身が製造するさまざまな軍備も同様に、軍備の積み上げと生産の進行が遅れており、今から調達を開始しても2027年までに実物を手に入れるのはほぼ不可能である。

2025年10月22日、米国ワシントンホワイトハウスのオーバルオフィスで、トランプ大統領(Donald Trump)がNATO事務総長マーク・ルッテ(Mark Rutte)と会談。(AP)
2025年10月22日、米国ワシントンホワイトハウスのオーバルオフィスで、トランプ大統領がNATO事務総長マーク・ルッテと会談。(AP)

実際、EU(欧州連合)はすでにトランプ政権の可能な態度を予測しており、2030年自衛目標を策定し、加盟国の防空、無人機、サイバー戦および弾薬における能力を大幅に向上させる計画を立てていた。しかし、米国が今年中にも2030年よりも早い時期の計画を示したことで、NATOのヨーロッパ加盟国は非常に困惑することになった。

事実、トランプ政府の二期にわたる対NATO政策は、ほとんどの場合、ヨーロッパの同盟国に対し組織への実質的貢献を増やすことを要求してきた。2024年選挙期間中には、ヨーロッパ各国の軍事費の不十分な投入を批判し、GDPの5%に引き上げることを求めていた。6月のNATO首脳会議では、ヨーロッパ各国が国防予算を5%増やすことに同意したことをトランプ氏は賛美した。しかし、数ヵ月後に再びNATOに問題を再提起してきた。

2025年6月25日。オランダ・デン・ハーグで開かれたNATOサミットで、各国首相との記念撮影。(AP)
2025年6月25日。オランダ・デン・ハーグで開かれたNATOサミットで、各国首相との記念撮影。(AP)

メディアがNATO問題に関して質問した際、副国務長官のクリストファー・ランドー氏は、NATOの同盟国はもっとヨーロッパ防衛の責任を負うべきだと述べた。

編集:佐野華美 

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