ポーランド領空にロシア無人機19回侵入 NATO防空部隊が初の撃墜、戦後最も危険な衝突寸前に

2025-09-11 11:46
2025年9月10日、ロシアによる無人機がポーランド領空を侵入した後、ポーランドのトゥスク首相が総理大臣官邸で緊急政府会議を招集し、軍事および緊急サービス部門の官員とこの事態を協議した。(写真/AP通信提供)
2025年9月10日、ロシアによる無人機がポーランド領空を侵入した後、ポーランドのトゥスク首相が総理大臣官邸で緊急政府会議を招集し、軍事および緊急サービス部門の官員とこの事態を協議した。(写真/AP通信提供)
目次

ポーランド領空は9日夜、複数のロシア軍無人機による侵入を受け、ワルシャワ当局は直ちに北大西洋条約機構(NATO)の防空部隊と連携し撃墜した。これはロシア・ウクライナ戦争勃発以降、NATO加盟国がロシア関連の行動に対して初めて発砲した事例である。ポーランドのトゥスク首相(Donald Tusk)は10日、「第二次世界大戦以来、我々が公開衝突に最も近づいた出来事だ」と述べる一方で、「我々が戦争の瀬戸際にあると信じる理由はない」と強調した。

2025年9月10日。在波蘭華沙的總理辦公室,波蘭武裝部隊參謀總長庫庫拉(Wieslaw Kukula)將軍出席了一場緊急政府會議。(AP)
2025年9月10日、ポーランド・ワルシャワの首相府で開かれた緊急政府会議に、ポーランド軍参謀総長のヴィエスワフ・ククラ将軍が出席した。(写真/AP通信提供)

事の経緯

米紙「ワシントン・ポスト」によれば、トゥスク首相は10日の国会演説で、ロシア軍無人機が初めてポーランド領空を侵犯したのは9日午後11時30分ごろであり、最後に探知されたのは翌朝6時30分だったと説明した。首相は「この一晩にわたる出来事がいかに大規模であったかを物語っている」と強調した。

トゥスク氏はさらに、暫定的な集計としてロシア軍無人機による侵入は計19回に上り、このうち少なくとも3機が撃墜されたが、人的被害はなかったと述べた。注目すべきは、これらの無人機がウクライナ方向からではなく、初めてベラルーシから飛来した点である。ベラルーシは長らくロシアがウクライナ攻撃を行う拠点となってきた。米国の「NBCニュース」によれば、ベラルーシ側はこれら無人機が「航路を誤り」領空に侵入したと主張し、さらには自国内で一部を撃墜したとも述べている。

這張照片來自白俄羅斯國防部新聞處在2025年9月10日星期三發布的影片。畫面中是白俄羅斯武裝部隊參謀總長穆拉韋伊科(Pavel Muraveiko)少將正在發言。(AP)
この写真は2025年9月10日(水)、ベラルーシ国防省報道局が公開した映像からのものである。映像には、ベラルーシ軍参謀総長パベル・ムラヴェイコ少将が発言する様子が映し出されている。(写真/AP通信提供)

関係者によれば、北大西洋条約機構(NATO)は今回の事態を「攻撃」ではなく「意図的な侵犯」と見なしている。ロイター通信によると、この夜間作戦にはポーランドのF16戦闘機、オランダのF35、イタリアの早期警戒管制機(AWACS)、さらにNATOが共同運用する空中給油機が参加した。NATO戦闘機が加盟国の領空で潜在的脅威に対し実際に行動したのはこれが初めてである。

クレムリンは直接の論評を避けたが、ペスコフ大統領報道官(Dmitry Peskov)は「EUとNATOの指導部は日常的にロシアを挑発者と非難しており、多くの場合は証拠を示そうとすらしない」と述べた。ロシアのオルダシュ駐ポーランド代表(Andrey Ordash)も「無人機がロシアから来た証拠はない」と否定。ロシア国防省もポーランド国内の標的を攻撃する計画はなかったと主張した。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領(Volodymyr Zelensky)はSNSで、今回の事態は欧州にとって「極めて危険な前例」であると警告し、同盟国に対しロシアへの制裁強化を呼びかけた。ゼレンスキー氏は、少なくとも8機のイラン製「シャヘド」(Shahed)無人機がポーランドに向かったと指摘し、「これは決して偶然ではない。モスクワは常に限界を試しており、強い反応がなければ、エスカレーションを新たな常態とみなすだろう」と強調した。 (関連記事: トランプ氏がプーチン氏に「最後通告」 停戦拒否ならロシア経済に前例なき制裁圧力 関連記事をもっと読む

米紙「ワシントン・ポスト」によれば、今回の無人機侵犯は、ロシアがウクライナへの空襲を強化する中で発生した。ロシアは7日、戦争開始以来最大規模となる攻撃を実施し、800機以上の無人機と13発のミサイルを投入、さらに初めてキーウ中心部の主要政府庁舎を直撃し、少なくとも3人が死亡した。

最新ニュース
ルミネ最大規模「ニュウマン高輪」9月12日開業 約200店舗と空中庭園で新時代の体験型商業施設へ
評論:賴政権は改心して、台湾の美しい山や水をどうか守ってほしい
職業生涯113戦で一度も勝てず!アニメ・スマホゲーム『ウマ娘』で世界的にブレークした日本の有名競走馬「ハルウララ」が、29歳で死去
柯文哲氏に抗告方針 台北地検声明で事態さらに深刻化か
米軍無人機がUFOを狙撃 機密映像流出し共和党議員が公開
台湾・林佳龍外交部長、日本最大野党・立憲民主党議員団と会談「与野党問わず関係深化を期待」
東京ゲームショウ2025、過去最多の規模で開催へ 出展社数1,138社・小間数4,159小間を記録
旬を味わう「シャインマスカットパフェ」 ホテル ザ セレスティン東京芝で期間限定提供
六本木・虎ノ門・麻布台ヒルズで「秋の味覚フェア」開幕 モンブラン・さつまいも・シャインマスカット・日本酒が勢ぞろい
麻布台ヒルズで「HARVEST WEEKS」開幕 極細モンブラン&さつまいもスイーツが秋を彩る
ネパールで「Z世代革命」 オリ首相が辞任、19人死亡の流血抗議が政権崩壊を招く
ピクセルアート界のレジェンドeBoy、渋谷で特別企画展開催へ ピクセルアートで人と街を描く日常のモザイク【9月15日開幕】
エプスタイン「バースデーブック」にトランプ署名疑惑 裸婦の下半身に「ドナルド」、否定も筆跡比較で矛盾
JR東日本×NRI、新会社「地域みらいブレインリンク」設立へ 地域創生とイノベーター支援を加速
「Suicaのペンギンフェア2025」東京駅で9月24日スタート!限定スイーツ&グッズ17商品が登場
論評:台湾・頼清徳総統の掲げる「ノン・レッド・サプライチェーン」 米国の排外主義の波に耐えられるのか
元台北市長・柯文哲、1年の拘置を経て変化? アイスキャンディが映す心境
PGAツアー唯一のアジア大会「Baycurrent Classic」 横浜開催に先駆け公式グッズ販売スタート
台湾立法院長が日本国会外交へ 東大研究者「巨大国旗は前例なし、国民党と日本の関係は『師・敵・友』の3段階」
陸文浩の視点:カナダ・豪軍艦が英空母を北方支援 中露合同巡航に対抗し、中国軍が共同戦備を開始
舞台裏》台湾が抱える北朝鮮の「不良債権」 金正恩氏、中国で習近平氏と並ぶ一方で未返済の借金
日本最大級のお城イベント『お城EXPO 2025』12月20・21日にパシフィコ横浜で開催 10周年で過去最大規模
Apple、iPhone Air・iPhone 17・AirPods Pro 3同時発表 史上最薄・最強デザインで価格据え置き999ドルから
天丼てんや、夏限定メニュー 「はも冷やしそば」や生ビールセットで暑さを吹き飛ばす
名古屋発「TechGALA Japan 2026」開催決定 150社超出展&100セッションで世界のスタートアップ集結
AI供給網で林佳龍氏「台米共同艦隊」提唱 日本専門家は日韓台の米国対抗を指摘
呂紹煒コラム:大きな損失、台湾は米日の不平等条約の轍を踏むな
天気予報》台湾の週間天気 36度超の猛暑から一転、北東モンスーンで秋の気配濃くなる
石破茂首相が電撃辞任表明 自民党総裁選は9月22日告示・10月4日投開票へ
カタール首都で爆発!イスラエルが攻撃を認め、ハマス指導者を「責任」追及
イスラエル軍、ガザ市に「猛烈攻勢」警告 市民に即時避難を呼びかけ
前台湾総統・蔡英文、日本に滞在か 事務所「公務予定は一切ない」とコメント
産地と販売の契約栽培で優良農家が成果 老永昌商行の白米、日本向け輸出コンテナ出航
シェイク シャック、成田国際空港に9月11日オープン 日本初の空港店で朝食メニューも導入
Nothing、最新ワイヤレスイヤホン「Ear (3)」を9月18日発表 革新デザインで新たなステージへ
NBAマスコットが可愛く登場!「NBA Store Japan」で限定グッズ販売開始
AKOMEYA TOKYO、秋の味覚フェア開催 炊き込みご飯と和スイーツで“芋と栗”を堪能
トランプ政権の対中政策が急転換、アメリカは中国封じ込めから新たな取引戦略へ
東京2025世界陸上を盛り上げる無料イベント第2弾発表 書道×和楽器ライブや縁日体験も
中国潜水艦「静音革命」で米国に迫る 太平洋で水中軍拡競争激化、焦点は台湾海峡
京都先端科学大学が広報誌『KUAS MAGAZINE』創刊 日本語・英語併記で国際発信を強化
東京ゲームショウ2025、俳優・本郷奏多がオフィシャルサポーター就任 公式インフルエンサー「BOOSTERZ」と共に世界へ発信
IRIS MONDO、9月11日に下北沢SHELTERで年内ラストワンマン ツアーファイナルで集大成を披露
生成AIに初の大規模和解 Anthropicが50万人作家に賠償、1冊3000ドルが国際基準に?
中国は本当に台湾に侵攻するのか?米シンクタンク:台湾侵攻シナリオの実現性を覆す4つの理由とは
日経・朝日が米AI企業Perplexityを提訴 各22億円賠償請求、記事無断利用で対立激化
高市早苗が総裁選の最有力候補に 日本初の女性首相誕生の可能性と対台湾政策