台湾の元台北市市長であり、民衆党の前主席でもある柯文哲氏が京華城案件に関与したとして勾留されていたが、8日、保釈金7,000万元(約3億4,000万円)で保釈された。これを受けて、台北地方検察署(北検)は同日夜、「速やかに法に基づき抗告を提起する」との声明を発表した。
この動きについて、メディア人の謝寒冰氏は番組『中天辣晚報』で見解を示し、「北検の抗告が棄却される可能性は高い」と述べた。謝氏は「柯文哲氏をこれ以上勾留し続ける合理的な理由は見当たらない」としたうえで、「今回保釈が認められたにもかかわらず、無限抗告のような手段で再び勾留に持ち込むようなことがあれば、事態は本当に深刻化するだろう」と警鐘を鳴らした。
柯氏は保釈後、自身の支持者である「小草」たちに向けてSNSに感謝の言葉を投稿。「絶対に屈しない、絶対に諦めない。これからも共に戦おう」と呼びかけた。
長文投稿の中では、京華城案件が社会的混乱を引き起こしてからすでに1年が経過していると指摘。この間、本人だけでなく妻の陳珮琪氏や子どもたちの口座まで、国内外を問わず調査されたほか、自宅、オフィス、民衆党中央本部、さらには同案の他の被告についても徹底的に調べられたと述べた。しかし、「これだけ調査をして、いったい何が明らかになったのか」と、検察の捜査に対する疑問を投げかけた。
北検は9日、柯文哲氏の発言を受けて声明を発表し、「すでに法に基づいて起訴し、法廷においても立証責任を尽くした」と主張した。被告が有罪か否かは、裁判所が法に則って審理・判断すべきであり、検察は「司法の独立した判断空間を尊重すべき」と外部に呼びかけた。さらに、「メディアを通じて世論を誘導し、審判に干渉しようとする行為は、司法の公信力を損なう」と警告した。
また、北検は柯文哲氏および共犯とされる應姓被告に対し、保釈による勾留停止を決定した裁判所の判断について、「速やかに法に基づき抗告を提起する」と明言した。
これに対し、メディア人の謝寒冰氏は「柯文哲氏は依然として『甘すぎる』」とし、保釈されたからといって政治的攻撃が終わるとは限らないとの見方を示した。「図利罪(利益供与)の案件はまだ継続中であり、民進党は複数の案件を握っている。これで終わりと思うのは軽率であり、むしろここからが新たな段階の始まりだ」と警告した。
さらに謝氏は、「この政治闘争は終わらない。賴清德総統のような人物にとって、台湾が混乱しようが関係ない。重要なのは自らの権力掌握であり、権力を手にするまでは決して台湾を静かにさせないだろう」と強い言葉で批判したうえで、柯文哲氏および民衆党に対し「今後の追及に警戒すべきだ」と呼びかけた。
北検による抗告について、謝氏は「形式的には必ず第一段階の抗告を行う」としつつも、「高等法院(高裁)が抗告を棄却するか、更なる裁定のために差し戻すかが焦点となる」と述べた。謝氏の見立てでは、「再勾留に正当な理由は乏しく、高裁が棄却する可能性が高い」とする一方、もし高裁が更裁を命じるようなことがあれば、「背後にある何らかの政治的意向の転換があったことを意味する」と指摘した。
そして、「もし今回の保釈決定が再び覆され、『無限抗告』のような手法で再勾留が行われるような事態になれば、本当に深刻な局面に突入することになるだろう」と強い懸念を示した。
編集:柄澤南 (関連記事: 元台北市長・柯文哲、1年の拘置を経て変化? アイスキャンディが映す心境 | 関連記事をもっと読む )
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