制作の経緯、ファトマ・ハッスーナさんへの思い、日本での反響語る
映画「手に魂を込め、歩いてみれば」の上映後、同作を手がけたセピデ・ファルシ監督が11月27日、日本記者クラブで記者会見に登壇した。冒頭、司会者は、来場者が直前まで本作を鑑賞していたことに触れ、「非常に強い魂を揺さぶられるような作品だった」と述べた上で、監督が制作の経緯やガザの様子を伝え続けたファトマ・ハッスーナさんへの思い、そして作品に寄せられた反響について語ると紹介した。会見は英語と日本語の逐次通訳で行われ、通訳は池田香織氏が務めた。
監督は最初に「私はイランに生まれました」と切り出し、独裁体制下で成長した経験に触れた。「私は子供だった時、自由な国ではないことを知っていた」と述べ、13歳の時に戦争が起きたこと、新政権や社会情勢の変化に直面し、若い頃から政治意識や抵抗の感覚を抱くようになったと話した。
作品の中心人物として描かれたファトマ・ハッスーナさんとの関係にも触れた。監督は「もちろんファトマさんは私の映画の中で大きな役割を果たしました。主人公そのものであり、また作品に出てくる映像も全部提供してもらいました」と語り、写真や動画も含め多くの素材を彼女から受け取ったことを明かした。複雑なガザ情勢のもと、作品としてまとめるには時間を要したと説明した。
また、彼女の映像提供や協力姿勢について、監督は「彼女は映画の作り方を知らなかったという意味で、そして彼女自身はやりたくないという意味で…」と説明しながら、ファトマさんの写真を用いた展示など、その後の活動にも触れた。
会見では、作品内に登場するファトマさんの「笑顔」について質問が寄せられた。記者は「絶望するしかない状況の中でのあの笑顔を、どう受け止めるべきか」と問いかけた。監督は「難しい質問です」と前置きしつつ、「彼女の笑顔は彼女が生きるための方法だった」と語った。
続く質疑では、停戦後も続く空爆や犠牲者についての質問があり、監督は現状に対する考えを述べた。「イスラエルが多くの事件を受けたが、これは大変な事件ではありません」「平和計画がありましたが、まだ平和計画があります」と述べ、状況が改善されない現実に触れた。
アメリカ政治への質問にも答えた監督は、トランプ氏について「彼は7、8つの戦争を終えたと言っていますが、どの戦争を話しているかわからない」と述べ、現在の惨状を「ジェノサイド」と呼ぶ考えを示した。「責任はトランプ氏だけではない。民主党ももちろん参加しました」と言及した。
また、イスラエルとアメリカの関係性についても「アメリカはイスラエル側と常に意見を一にしている」「イスラエルロビーはとても強い力を持っている」と述べ、歴代政権の姿勢は変わらないと語った。さらに、EUにも責任があるとし、「人間は人間の殺害に対して…」と述べ、欧州の立場にも触れた。
最後に、司会者が「素晴らしい作品と質問に丁寧に答えていただきありがとうございました」と締めくくり、監督は「今回私の来日を可能にしてくださった南永さんにも合わせて御礼申し上げます」と述べ、会見は終了した。
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編集:小田菜々香




















































