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SNS拡大が日本政治に影響 専門家が「虚偽情報」と匿名文化に警鐘 逢坂巌氏が日本の政治コミュニケーションの制度的制約を述べ、澤康臣氏がSNSでの情報汚染や匿名利用の問題を指摘した。(写真/FCCJ提供)
日本外国特派員協会で12月3日、ソーシャルメディアの急速な拡大が日本の政治コミュニケーションに与える影響をめぐり、逢坂巌・駒澤大学法学部教授と澤康臣・早稲田大学教授が登壇した会見が開かれた。両名は、オンライン上の虚偽情報、匿名アカウントの特徴、若年層の政治行動、従来型メディアとの関係、そして選挙制度の構造的問題まで、幅広い論点について意見を述べた。
逢坂巌氏が日本の政治コミュニケーションの制度的制約を述べ、澤康臣氏がSNSでの情報汚染や匿名利用の問題を指摘した。(写真/FCCJ提供) 逢坂氏は、日本の政治コミュニケーションの歴史的背景として、1925年の男性普通選挙導入と同時にラジオ放送が開始された点を挙げ、当時からドア・ツー・ドアの選挙活動が禁止されてきたことに触れた。直接対話が制限されたことにより、議論はマスメディアに集中し、有権者と政治家が自然な形で交流する機会が乏しくなったと指摘した。さらに、インターネット選挙が解禁された後、SNSを利用した政治的コミュニケーションが急速に増加し、SNS利用時間がテレビ視聴時間を超えた2020年以降、オンライン空間の影響力が劇的に高まったと述べた。
また、若年層がテレビよりオンラインを主要情報源とする現状に触れ、極端で情緒的なオンライン議論がマスメディアに流れ込む構造が生まれていると説明した。参政党の支持増や、たちばな氏による不適切行為、日本維新の会関係者によるジャーナリスト情報公開などの具体例を挙げ、日本の政治文化がオンライン過激化と結びつきやすい状況を懸念した。
さらに、政治家と市民が再び「真正面から対話できる環境」を整える必要性を強調し、フェイス・トゥ・フェイスの政治コミュニケーションを制度的に解禁することが、SNS上の極端な政治言説への対抗策になるとの見方を示した。逢坂氏は、選挙活動のルールが過度に細かく管理されている現在の状況にも触れ、実際の選挙活動をより自然な交流の場に戻すことが重要だと述べた。
澤氏は、兵庫県の選挙データを基に分析結果を示し、従来型ニュースメディアへの信頼度が低い層ほど特定候補を支持する傾向が明確に表れると説明した。デジタル環境は「汚染が進んでいる」と述べ、YouTubeの動画制作現場では、依頼に応じて「真実らしく見える」映像を作る構造が広がり、より刺激的な内容ほど拡散されやすいと指摘した。
また、日本では匿名アカウントの利用率が特に高く、攻撃的言動や偽情報の拡散が容易である現状を説明した。20〜40代がオンライン情報に強く依存する状況も示し、オンライン空間の偏りが政治意識形成に直接的な影響を与えていると述べた。
会見では、SNS規制についての問いも上がり、澤氏は「表現の自由に刑事罰が強く影響する危険性」に言及。たちばな氏の逮捕例を挙げ、極端なケースではあっても、規制の拡大は広範な萎縮効果をもたらし得ると警告した。また、米国発の右翼インフルエンサーの言説が日本のオンライン右派に共有される仕組みについて、価値観の共鳴と拡散の容易さが背景にあると説明した。
さらに、オンライン世代の政治参加について、若者が短いメッセージや見出しのみを消費し、政策ではなく「印象」で選択が行われる事例が増えていると述べた。政治的リテラシー教育の必要性にも触れ、情報の出所を確認する力、文脈を把握する力を育てることが不可欠だとした。澤氏は、日本の情報環境が「真偽の見極めが難しい状況」にあると警告し、民主主義を維持するためには情報リテラシーと対話文化の両面が必要だと強調した。
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