【北京観察】南京大虐殺犠牲者国家追悼日を前に日中緊迫 J-15のレーダー照射で偶発衝突懸念

江蘇南京大学鼓楼キャンパスの入り口。(写真/田暢撮影)
江蘇南京大学鼓楼キャンパスの入り口。(写真/田暢撮影)

今週土曜(13日)は南京大虐殺犠牲者国家追悼日である。江蘇省南京市にある南京大虐殺記念館では、式典を前に最終的な修繕作業が進められている。日中関係が緊張する中、日本政府は、中国軍のJ-15戦闘機が6日、沖縄本島南東の公海上空で、航空自衛隊のF-15戦闘機に対し、2度にわたってレーダー照射を行ったと発表した。一時は両国が「交戦寸前」にまで接近したとされる事案である。

国際情勢の緊張を踏まえ、日本駐中国大使館も例年通り注意喚起を発表した。「日中関係の過去の歴史に関連する日付の前後には反日感情が高まりやすい。最近の対中日報道の動向を踏まえ、十分な警戒が必要である」としている。

国家の沈静化と民間の関心低下 二極化する中国社会の空気

毎年、国家追悼日の前後になると、中国社会では政府と民間の受け止め方に明確な違いが現れる。政府は対日関係を「極めて冷静に」処理する姿勢を強調する一方で、民間では「ほとんど関心を示さない」層が増えているのが現状だ。

この変化の背景には、長引く経済低迷が庶民生活に与える影響が大きくなっていることと、「愛国主義の動員」が続く中で、社会心理に一種の「慣れ」が生じていることが挙げられる。

歴史によって結びつけられた南京と日本

南京は、かつて中華民国の「首都」であった都市である。日中戦争初期、日本軍の南下に伴い国民政府は重慶へ撤退し、同地を「陪都」とした。1945年の抗日戦争勝利後、政府は南京へ戻っている。

筆者は最近、南京大学を訪れた。同大学の前身は国民政府時代の中央大学であり、構内には何応欽の旧宅や、米国人作家パール・バックの旧居が現在も残っている。深秋を迎えた長江流域の南京は、穏やかな気候の中で、都市に独特の表情を与えていた。

南京大学の外れの静かな路地には、南京事件で多くの命を救ったドイツ人実業家ジョン・ラーベの旧宅がある。この屋敷も、731部隊記念館と同様、現在修繕作業が進められている。

南京大学キャンパス内の「何応欽の館」建築。(田暢撮)
南京大学キャンパス内の「何応欽の旧宅」建築。(写真/田暢撮影
南京大学キャンパス内の「パール・バック旧居」。(田暢撮)
南京大学キャンパス内の「パール・バックの旧居」。(写真/田暢撮影
南京大学近くの「ラーベ旧居」。(田暢撮)
南京大学近くの「ラーベ旧居」。(写真/田暢撮影

歴史は終わらない 続く「語り」をめぐる攻防

「物を見て人を思う」と言われるように、これらの歴史的建造物からは、日本がこの都市に与えた影響、そして戦後も続いてきた歴史認識をめぐる両国のせめぎ合いが今なお終わっていないことが読み取れる。

最近では、高市早苗氏の発言をめぐり、日中両国はののしり合いのような応酬と外交問題を繰り返してきた。結果的にいずれも決定的な勝利を得ることはできず、むしろ現在の日中関係が民間に与えている影響を外部が観察する材料を提供した形となった。

専門家「怒りの原因は日本政治にある」

中国の著名な世論研究者、燕志華氏は取材に対し、次のように語った。 (関連記事: 皇后陛下、誕生日に戦後80年を語る 硫黄島・広島・長崎などで戦没者を追悼、平和の継承の重要性を訴え 関連記事をもっと読む

「日本による侵略の歴史の改竄や否定は、どの被侵略国社会においても激しい怒りを引き起こす。中国国民がこれに対して長年にわたり高い感情を抱き続けてきたのは当然であり、その原因は日本の政治家の誤った発言にある。中国社会の問題にすり替えるべきではない。同様の現象は韓国、台湾、東南アジアでも起きてきた」

最新ニュース
米・新国家安全保障戦略で台湾8回言及!元立法委員蔡正元氏が分析「全て悪い知らせ」 トランプ氏の真の狙いを暴露
青森地震、台湾人観光客がホテルでテレビを守る姿が話題に 「自分より他人を心配する姿に涙」SNSで感動広がる
台湾有事が日本の安全に影響? 台湾海峡の兵力シミュレーションで中国の成功率は極低、ペンタゴン指摘の「1つのシナリオ」で北京が核使用の可能性
トランプ高関税が日本経済に影 7〜9月期GDPがマイナス成長、中小企業の賃上げに重圧
青森沖M7.5、政府が初の「後発地震注意情報」発表 東大研究者が警鐘「2~3日以内に超巨大地震の恐れ」
青森県で震度6強、M7.5地震 津波も観測、23人負傷・約800戸停電 専門家が指摘「避難の三つの誤解」
「清水 ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎祭」12月13・14日開催 仲村トオルが初日セレモニー登壇 聖地巡礼ツアーや特別車両展示も
Netflix『ストレンジャー・シングス』最終章記念 原宿V.A.「STRANGER THINGS HOUSE」盛況
皇后陛下、誕生日に戦後80年を語る 硫黄島・広島・長崎などで戦没者を追悼、平和の継承の重要性を訴え
グランスタ、エキュートでクリスマスフェア開催中 予約なしで買える限定ケーキも登場
ヨーロッパに「自力更生」を迫る? ロイター:米国、2027年以降はNATOの多くの任務で防衛責任を欧州側へ引き継がせる方針
バージニア大学の最高給教授、小野健氏が退職し自身の学生に協力する決断を! AI産業へ飛び込む57歳の数学者、終身職を捨てた理由とは?
【緊急速報】北海道・青森県・岩手県に津波警報 青森県東方沖でM7.6の強い地震、最大震度6強を観測
第76回NHK紅白歌合戦「紅白ウラトークチャンネル」司会にダイアンと林田理沙アナ 関連番組も一挙発表
イチロー氏、米殿堂入り記念フィギュア発売へ 限定3,089体、12月12日からMLB公式で受注開始
杜宗熹コラム:民進党政権は中国の台頭に無力 その矛先は小紅書(RED)と中国籍配偶者へ
RADWIMPS、デビュー20周年で紅白出場決定 4年ぶりアルバム1位&朝ドラ主題歌『賜物』も話題に
ジェンスン・フアン氏、中国がNVIDIAに対抗する「AI一帯一路」構想に警鐘 ファーウェイの2ナノ猛追に「AIの教父」が危機感
舞台裏》「小紅書(RED)」だけではなく、Facebookも封鎖寸前だった? 台湾政府が次に狙うプラットフォームとは
SixTONES、3年ぶり紅白出場 デビュー6周年の特別メドレーを生中継で披露
高市政権の18.3兆円対策で円安・物価高懸念 国債増発に市場警戒、日銀の判断に焦点
ふるさと納税の人気返礼品が集結 「さとふる」二子玉川で期間限定マルシェ開催へ 物価高時代の「生活応援」と「プチ贅沢」を提案
【新新聞】介護殺人に重刑判決が続く台湾 医師が語る「問題の根本」
台湾に今冬最強寒気 最低気温10度下回る恐れ 北部は強雨、朝晩は冷え込み
ジョージ・タケイ氏、FCCJで自身の歩みと歴史的経験を語る
旧万世橋駅の遺構を活用した没入型体験イベント『導かれてしまいます』が販売開始
大阪・関西万博2025、閉幕1カ月で総括を報告 高科淳副事務総長が成果と課題を説明
中国SNS小紅書(RED)に「日本の寺」6000万円出品 日メディアが追う宗教法人買収と中資流入の現実
シタディーン、BIKAS COFFEEと協業 植樹を通じ未来の一杯を育てる宿泊プラン「Coffee for the Future Stay」
日中、武力衝突寸前か 中国軍が自衛隊機に照射、日本は抗議 中国「遼寧への悪質追尾」主張
台湾有事で日米に「温度差」 高市首相の明確発言に対し、トランプ政権は沈黙 「日本は失望している」英FTが報道
「極めて危険な行為」防衛省声明 中国空母艦載機が自衛隊機を火器管制レーダーで2度照射
サニーサイドアップ、最新ニュースレター公開 AI強化から新会社設立まで発表
藤田文武共同代表、FCCJ記者会見で連立経緯・改革姿勢・政策論点を詳述
ヨーロッパ貴族の間で広がったカフェ文化―小皿「ソーサー」に秘められた意外な用途
ジェンスン・フアン氏、ワシントンでAI版「一帯一路」と国家安全保障を語る ファーウェイは評価しつつも、米国は迅速に競争で勝つべきとの見解
オーストラリアが世界初、16歳未満のSNS禁止令を10日に施行 FB・インスタ・TikTokが対象 各社の対応が焦点に
エア・インディア、耐空証明書切れの機体で8便運航 航空適航基準を無視し乗客を危険に晒す異常事態
ノルマンディーで砲火の中負傷兵を救った米軍退役軍人チャールズ・シェイ氏が死去 101歳「これで世界は平和になると思っていた」
橋本聖子JOC会長、スポーツの価値と平和の重要性を強調 FCCJで会見
第二のDeepSeek? 郭正亮氏「この中国AI企業」がテクノロジー界を震撼:市場価値の爆発可能性を指摘
張鈞凱コラム:島嶼の火種を生まないために──沖縄と台湾が担う「平和の使命」
中国人観光客は日本を避け始めた? ある国が「14日間のビザ免除」を発表するも、ネットでは驚きの反応「お金をもらっても行かない」
飛行機コックピットの「笑顔のうつ」 ロイターが暴く米民間航空の闇:免許と収入を守るため、パイロットは心の不調を隠す
ストリーミング戦国時代の最終局面 Netflixが約11兆円でワーナー・ブラザース買収合意、『ハリー・ポッター』『DC』が傘下コンテンツに
「Shinjuku Neon Walk」点灯式 鈴木愛理さんが特別ゲストとして登壇
中国、「サンフランシスコ講和条約」拒否を表明 ネットユーザー「台湾の日本復帰おめでとう!」と反応
中国「サンフランシスコ平和条約は無効」発言が波紋 下関条約と台湾の法的地位めぐり日台SNSで議論活発化
ホンジュラス大統領選、トランプ氏の「支持表明」影響浮上 開票率84%で1ポイント差