トップ ニュース 【北京観察】両会直前に中国軍で大規模な粛清か 対台湾最前線「第73集団軍」幹部も解任、高まる台湾海峡のリスク
【北京観察】両会直前に中国軍で大規模な粛清か 対台湾最前線「第73集団軍」幹部も解任、高まる台湾海峡のリスク 2020年7月、上陸訓練を行う中国東部戦区陸軍第73集団軍(写真/インターネット提供)
2026年の中国「両会」開幕が数日後に迫っている。各地の駐京維穏(治安維持)弁公室は、「AI+アルゴリズム」を駆使して北京に陳情へ向かう人々(訪民)の監視・配置を開始した。会議開催中の十数日間、北京の永定門付近にある国家信訪局での「陳情率ゼロ」を達成するためだ。
また、北京へ向かう列車や主要な高速道路の結節点では「二次安検(再検査)」が始まっており、北京を経由・到着するすべての宅配便も例外なく追加検査の対象となっている。中国のネット上では、「会議は7日間だけだが、セキュリティチェックには十数日かかる」という市民の声も聞かれる。
経済成長が重点課題、新たな財源確保を模索 地方両会ですでに公開された情報によると、今年のGDP成長率目標は「4.5%〜5.0%」の区間(従来の「5%前後」よりやや下方修正)に設定され、より実務的な数値になると予測される。一方で財政支出は高水準を維持し、一般会計予算は30兆元を突破する見通しだ。これは中国当局が「安定の中で前進を求める」という基調の下、世界的な貿易摩擦や地政学的な対立の激化に直面しながらも、経済の基盤維持に注力していることを示している。雇用、消費、介護、医療などの民生課題も重要視されるだろう。
経済発展と社会の安定を両立できるかが、今年の両会の重要な鍵となる。現在の計画によれば、今後はサプライチェーンの自主管理・制御、低炭素への転換、未来産業への先手の3大方向が重点となる。量子技術、バイオ製造、水素核融合、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)、具身智能(エンボディドAI)、第6世代移動通信(6G)などの先端分野が、明確に新たな経済成長ポイントとして列挙されている。
さらに、2026年から2030年にかけた内需拡大戦略の実施案として、消費喚起の特別行動、投資の下落防止と安定化、需給の動的バランスといった一連の新措置が両会期間中に明らかになる見込みだ。供給過多・需要不足という構造的矛盾に対し、中国当局は14億人の消費潜在力を掘り起こそうと試みている。同時に政府投資の構造を最適化し、民生改善型や消費アップグレード型の投資比率を高める方針だ。すでに駐車スペース、充電スタンド、介護用ベッド、託児施設などの民生プロジェクトリストが、多くの省レベルの両会で先行して発表されている。調査によると、就職・起業、住民所得の増加、医療、介護、教育、AI規制、従業員の年次有給休暇などが、市民が最も期待する両会の議題となっている。
2025年3月5日、中国全国両会(人民代表大会、中国人民政治協商会議)が北京の人民大会堂で開催された。(写真/AP通信提供)
異例の「上将5人」同時失脚 対台湾最前線のトップ解任が示唆する内部動揺 現状を見る限り、2026年の中国両会は平穏なものではなさそうだ。来年には中国共産党第21回全国代表大会(二十一大)という指導部交代の節目を控え、今年は地方の末端党政システムも大規模な入れ替え期を迎える。こうした背景から、共産党指導層は「安全」と「忠誠」の均衡にこれまで以上の関心を寄せている。
中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会第21回会議が2月26日に閉幕し、新華社は直ちに第14期全人代代表19人の資格を法に基づき停止したと発表した。その中で特に外部の注目を集めたのは、人民解放軍および武装警察系統の代表9人が一斉に排除されたことだ。これには上将(大将相当)5人、中将1人、少将3人が含まれている。
この傾向から、北京当局は全人代を通じて「国家安全」と「軍民融合」の論調を強め、軍制改革の成果を「制度的優位性」として包装し、向こう5年間の国防予算の持続的な増額に向けた布石を打つ可能性が高い。
しかし、大規模な罷免によって軍代表団が「縮小」し、高官らが調査の影に怯える中、両会表面上の「団結一致」が内部の懸念を覆い隠せるかは不透明だ。台湾にとって、今回の両会は中国大陸の経済動向を観察する窓口であるだけでなく、北京の軍事的冒険主義のリスクを判断する重要なタイミングとなる。粛清が拡大し軍内部の動揺が激化すれば、短期的には台湾海峡に対する「グレーゾーン」での圧力が頻繁化する恐れがあるが、長期的には人民解放軍の実質的な戦力を削ぐ可能性もある。
東風-15B。(写真/『2023年中国人民解放軍ロケット軍戦闘序列』報告提供)
2023年下半期以降、中国軍部における反腐敗(汚職摘発)キャンペーンは常態化している。不完全な統計ではあるが、過去2年余りで約36人の軍出身全人代代表が罷免されており、そのうち上将クラスは16人に達する。今回9人が一斉に排除されたことで、軍代表団の人数は243人にまで激減し、近年で最低を記録した。さらに興味深いのは、この9人が陸・海・空・ロケット軍・情報支援部隊など各軍種にまたがっている点だ。中には対台湾作戦の第一線である第73集団軍の軍長・丁来富氏も含まれている。同部隊は福建省アモイ一帯に長期駐留し、「台湾武力統一」の前衛部隊と見なされている。その軍長が両会直前に排除されたことは、北京当局の前線部隊に対する掌握力が揺らいでいることを意味するのか、あるいは「部隊の純潔化」に向けた事前の布石なのだろうか。
一連の粛清は、単なる「反腐敗」の範疇をはるかに超えており、2012年の習近平氏就任以来続く第3次軍制改革の延長線上にあり、さらに深化しているように見える。2023年のロケット軍の大刷新から、2024年から2025年にかけての中央軍事委員会委員の失脚、そして今回の陸海空の主要指揮官への波及に至るまで、その意図は明らかだ。すなわち、間もなく開催される両会に向け、「軍隊は『核心』の手中に確固として掌握されなければならず、潜在的な不安定要素はすべて会議前に排除する」というシグナルである。
特に、張又俠氏と劉振立氏という軍事委員会の高官2人が依然として「調査対象だが免職されず」という状態にあることは、軍内部に依然として派閥間の抵抗が存在するのではないかという憶測を呼んでいる。軍上層部の動揺が続けば、指揮命令系統の安定性と作戦準備に影響を及ぼし、台湾海峡情勢への衝撃は避けられないだろう。
北京当局は「安定した滑り出し」という雰囲気を全力で演出しているが、この土壇場で軍将領9人が集団で排除されたことは、この政治的祭典に拭い去れない暗い影を落とすに等しい。「第15次五カ年計画」の幕開けとなる次の一手がどのようなものになるのか、その答えは人民大会堂での拍手と表決の中で、まもなく静かに浮かび上がることになるだろう。
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