独メルツ首相が北京入り、習近平氏と会談へ トランプ氏の影の下で「最重要市場」と「経済的脅威」の調和模索

2026-02-27 13:11
2026年2月25日、北京の釣魚台国賓館でドイツのフリードリヒ・メルツ首相と会談する中国の習近平国家主席。(写真/AP通信提供)
2026年2月25日、北京の釣魚台国賓館でドイツのフリードリヒ・メルツ首相と会談する中国の習近平国家主席。(写真/AP通信提供)

ドイツ連邦首相就任から10カ月、フリードリヒ・メルツ氏(Friedrich Merz)はようやく北京の釣魚台国賓館にその外交の足跡を残した。このドイツ首相による遅めの訪問は、地政学と米中競争という大きな盤面において深い意味を持つ。しかし、かつてのアンゲラ・メルケル氏(Angela Merkel)時代の「経済貿易優先」という温和な雰囲気とは対照的に、今回中国を訪れたメルツ氏の手にあるのは、友好のオリーブの枝だけではない。「厳しい現実」が記されたリストも携えているのだ。

米資産運用大手ブラックロック(BlackRock)出身で、資本の論理を熟知するメルツ氏は、現在のドイツがもはや大国の間でうまく立ち回れる「輸出強国」ではないことを痛感している。英誌『エコノミスト』も、同氏がドイツ経済界の切実な期待を背負っていると指摘する。また、米ブルームバーグは、現在のドイツが「地位への不安(ステータス・アンザイエティ)」に陥っていると報じた。過去20年、ドイツ企業は中国市場で莫大な利益を上げてきたが、今の現実は違う。ドイツの経済成長は停滞に近い状態にあり、中国はかつての「ドイツの成長エンジン」から「最大の経済的脅威」へと変貌しているのだ。

2026年2月24日、ドイツ連邦首相メルツ氏はブランデンブルクで記者会見を開き、その後中国へ出発した。(AP通信)
2026年2月24日、ドイツ連邦首相メルツ氏はブランデンブルクで記者会見を開き、その後中国へ出発した。(写真/AP通信提供)

興味深いのは、今回の北京訪問に先立ち、メルツ氏が先月わざわざインドを訪問し、中国にとって南アジア最大の戦略的ライバルと会談したことだ。独ドイチェ・ヴェレ(DW)は、この「インドを先に、中国を後に」という順序は決して気まぐれではなく、明確な政治的シグナルだと分析している。つまり、ベルリンは「デリスキング(脱リスク)」戦略を着実に実行しており、ドイツがアジアにおいて中国以外の「代替選択肢」を持っていることを北京に示そうとしているのだ。メルツ氏は「まずは予備タイヤを確保し、それからビジネスを語る」という姿勢を見せ、北京での交渉テーブルにおける交渉力を高めようとしている。

メルツ氏が北京に到着した時、彼は単にベルリンを代表しているだけでなく、「対中依存の低減」と「中国のビジネスチャンス獲得」の間で苦悩する欧州連合(EU)を代表する存在でもあった。彼は、習近平氏による「戦略的抱き込み」と、国内経済界からの「安全保障も市場も必要だ」という圧力の中で、高難度のバランス感覚を要する演技を強いられている。

習近平氏の壮大な物語とメルツ氏の「率直なリスト」

メルツ氏と習近平氏は25日、釣魚台国賓館で会談を行った。中国外務省が発表したプレスリリースによると、習氏は中独関係について3つの意見を提示した。第一に、相互に支持し合う「信頼できるパートナー」であること。第二に、開放的で相互利益をもたらす「イノベーション・パートナー」であること、特に人工知能(AI)などの先端分野が挙げられた。第三に、互いに理解し親しむ「人的・文化的パートナー」であることだ。 (関連記事: 独メルツ首相が訪中へ、「中国とのデカップリングは安全ではない」と明言 「ドイツ製」の陰りと経済安全保障の行方 関連記事をもっと読む

2026年2月25日、中国の習近平国家主席は北京の釣魚台国賓館でドイツのメルツ首相と会見した。(AP通信)
2026年2月25日、中国の習近平国家主席は北京の釣魚台国賓館でドイツのメルツ首相と会見した。(写真/AP通信提供)

一方、米紙『ニューヨーク・タイムズ』は、会談でメルツ氏が見せたスタイルは、過去の西側指導者とは全く異なり、極めて「率直かつ具体的」だったと指摘している。メルツ氏は中独企業家諮問委員会での演説において、李強氏の目の前で批判を展開しただけでなく、北京が最も敏感になる神経に直接触れる要求を突きつけた。

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