メモリの次は「ABF基板」か エヌビディア供給網に「基板バブル」の兆し イビデンを台湾・中国勢が猛追、日台中の「三つ巴」が激化へ
台湾株式市場は連休明けの取引再開後、IC基板(サブストレート)関連が最強のセクターとなっている。写真はイメージ。(資料写真/出典:Dom Walton @ flickr)
台湾株式市場では、半導体メモリーブームに続く新たな成長セクターとして「パッケージ基板(ICサブストレート)」が脚光を浴びている。特にABF基板大手である欣興電子(ユニマイクロン)や南亜プラスチック(ナンヤPCB)の株価が急伸しており、市場の関心はAI関連の次なる本命へと移りつつある。
米モルガン・スタンレーは最新のリサーチレポートの中で、人工知能(AI)アプリケーションの爆発的成長を受け、ABF基板市場が2030年末まで続く新たな上昇サイクルに入ったと指摘した。これを受け、台湾の著名な金融アナリストである阮慕驊(グエン・ムーファ)氏は、かつてのメモリー狂騒曲に匹敵する「基板ブーム」の到来を予測。今後、日本・台湾・中国の3カ国による激しい受注争奪戦が展開されるとの見方を示した。
NVIDIA「次世代プラットフォーム」が牽引する設備投資競争
現在、台湾の基板大手各社は設備投資を大幅に引き上げている。欣興電子は直近2カ月で設備投資額を75%増額した。この背景には、エヌビディア(NVIDIA)が展開する次世代AIプラットフォーム「Blackwell(GB200)」および「Rubin」による需要増がある。
AIチップのパッケージング規格が大幅にアップグレードされることに伴い、ABF基板には「多層化」「大面積化」「高精密化」が求められている。この技術的ハードルの高さが供給網の寡占化を招いており、エヌビディアに安定供給可能なメーカーは世界でも極めて限定的だ。
主要サプライヤーの動向と勢力図
阮氏は、エヌビディアの供給網における主要プレイヤーとして以下の企業を挙げている:
- イビデン(日本): エヌビディアの最核心サプライヤーであり、先端AI半導体向け基板で事実上の独占状態を誇る。需要増に対応するため、岐阜県の新工場を2025年第4四半期に稼働させる予定だ。
- 欣興電子(ユニマイクロン/台湾): 次世代GPU向け高付加価値ABF基板を量産できる、世界でも数少ないメーカー。Blackwellの第2サプライヤーとしての地位を確立しており、2026年のRubinプラットフォームでは主力供給網入りが確実視されている。
- 景碩科技(キンサス/台湾): Blackwellおよび次世代Rubin(Vera Rubin)の供給網に参入。2025年の設備投資を前年比70%増に引き上げ、増産体制を整える。
- 南亜プラスチック(ナンヤPCB/台湾): 市場回復の恩恵は受けているものの、ハイエンドAI分野の浸透度では欣興や景碩に一歩譲る展開となっている。
今後の展望:日台中の「三つ巴」へ
阮氏は、現在の市場環境について「メモリに続く巨大な波が基板業界に押し寄せている」と評価する一方で、警戒感も示す。台湾勢が設備投資を加速させる中、中国メーカーもエヌビディアの受注を狙える実力をつけつつあるからだ。
ハイエンド領域で圧倒的なシェアを誇る日本、量産能力とスピードで追随する台湾、そして急速に追い上げる中国。AI半導体の心臓部を支える「ABF基板」を巡る戦いは、今後さらに激化することが予想される。
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