最高裁「関税違憲」でトランプ関税網が崩壊 日本や台湾など合意を急いだアジア同盟国の「戦略的誤算」

2025年10月30日、韓国・釜山で会談する米国大統領・トランプ氏と中国国家主席・習近平氏。(写真/AP通信提供)
2025年10月30日、韓国・釜山で会談する米国大統領・トランプ氏と中国国家主席・習近平氏。(写真/AP通信提供)
「関税の脅威にさらされ、巨額の投資を約束した国々が今直面している現実は、『もう少し待つべきだったかもしれない』ということだ。」

――『ニューヨーク・タイムズ』

「我々が接触したすべてのパートナー国は、トランプ政権がいかに事態を苦痛に満ちたものにするかを知っている。彼らはむしろ、休眠状態の関税が続くことを望んでいる。」

――米戦略国際問題研究所(CSIS)/フィリップ・ラック氏(Philip Luck)

米連邦最高裁判所が、ドナルド・トランプ氏による「国際緊急経済権限法(IEEPA)」を根拠とした関税上乗せについて違憲判決を下した。しかし、世界市場と貿易相手国の歓喜は24時間も続かなかった。トランプ氏は即座に「プランB」を発動して関税を再開し、さらに1日足らずで税率を10%から15%へと引き上げた。

『ニューヨーク・タイムズ』は、この急変により、リスク回避のためにトランプ氏と巨額の「保護費(みかじめ料)」協定を締結していた日本、韓国、台湾などのアジア同盟国が、気まずい「買い手の後悔(Buyer's Remorse)」に陥っていると報じた。

決して諦めない「関税マン」

2026年2月の最後の週末、ワシントンD.C.の空模様と同様、世界貿易の見通しも不透明だ。その前の金曜日、米最高裁はホワイトハウスに返り咲いたトランプ大統領に対し、6対3の賛成多数で手痛い一撃を与えた。1977年制定のIEEPAを引用して世界の輸入品に関税を上乗せする行為は違憲であると裁定したのだ。

「トランプ・インフレ」に苦しんできた世界市場にとって、この違憲判決は本来、干天の慈雨となるはずの勝利だった。欧州の高級ブランド大手LVMHやエルメス(Hermès)の株価はこれを受けて急騰し、多くの多国籍企業は米財務省から数十億ドルの還付金を受け取れるのではないかと期待を膨らませた。

しかし、「関税マン(Tariff Man)」が最高裁判事の法槌(ほうつい)に屈することはなかった。トランプ氏は判決当日、ホワイトハウスで別の法的根拠に基づく10%の暫定関税実施を発表。翌日には税率を法的に許容される上限の15%にまで引き上げた。これは司法制度への軽視であるだけでなく、世界の貿易相手国に対するさらなる「最大限の圧力」に他ならない。

この息詰まるような攻防の中で、最も苦しい立場に置かれたのは米国の対立国ではなく、むしろ同盟国かもしれない。今回の憲法上の危機は、残酷な現実を浮き彫りにした。トランプ氏に急いで譲歩し、巨額の投資を約束した国々は今、重大な戦略的誤算に直面している可能性がある。 (関連記事: 【解説】米最高裁、トランプ関税を「違憲」と判断する激震 1700億ドルの還付巡り混乱必至、政権は「プランB」で対抗へ 関連記事をもっと読む

「取引中止の連絡は誰からも受けていない」

最高裁の違憲判決に対し、トランプ政権の反応は迅速かつ冷徹だった。米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表は22日、主要テレビ局に相次いで出演し、世界各国に向けて「逃げられると思うな、合意は依然として有効だ」という明確なメッセージを発信した。

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