米ジャパン・ソサエティー理事長、「トランプ政権下における日本の選択肢」で講演 高市新政権に外交交渉の武器は「ラッピング」提言

ジョシュア・W・ウォーカー理事長は「トランプ政権下における日本の選択肢」と題した講演で、高市首相の歴史的勝利を好機と捉え、対米投資の巧みな演出と対中戦略の明確化こそが生き残り策であると語った。(写真/FCCJ提供)
ジョシュア・W・ウォーカー理事長は「トランプ政権下における日本の選択肢」と題した講演で、高市首相の歴史的勝利を好機と捉え、対米投資の巧みな演出と対中戦略の明確化こそが生き残り策であると語った。(写真/FCCJ提供)

米国ニューヨークに拠点を置く日米交流団体「ジャパン・ソサエティー」のジョシュア・W・ウォーカー理事長は2026年2月13日、東京の日本外国特派員協会(FCCJ)で「トランプ政権下における日本の選択肢」と題した記者会見を行った。

ウォーカー氏は、先の衆議院選挙で歴史的な圧勝を収めた高市早苗首相のリーダーシップに期待を示す一方、再登板したトランプ米大統領との外交において、日本は従来の「お伺いを立てる」姿勢から脱却し、実利に基づいたしたたかな戦略を展開すべきだと提言した。

ウォーカー氏は、高市首相が率いる自民党が選挙で大勝し、一度は求心力を失ったように見えた党が見事に復活を果たしたことに言及し、これを「歴史的勝利」と評した。

高市氏が日本初の女性首相として国民の強い負託(マンデート)を得たことは、同じく熱狂的な支持層を持つトランプ大統領と対峙する上で、これ以上ない強力な政治的資産になると分析した。

同氏は、高市氏が安倍晋三元首相の路線を継承しつつも、独自の「プラグマティズム(実用主義)」を前面に押し出している点を評価し、今後4年間の安定政権下で柔軟かつ大胆な外交が可能になるとの見通しを示した。

日米経済関係の焦点として、ウォーカー氏は現在ワシントンで調整が進んでいる5,500億ドル(約85兆円) 規模の対米投資計画に触れた。赤沢大臣が訪米し、3月の高市首相訪米に向けた詰めを行っている現状を紹介しつつ、トランプ大統領は「ディールメーカー(取引人)」であり、何よりも数字と目に見える成果を重視すると指摘した。

日本側にとって重要なのは、単に巨額の投資を行うことだけでなく、それをトランプ氏が米国内で「自らの勝利」としてアピールできるよう、巧みに「ラッピング(包装)」して提示する演出力であると強調した。ウォーカー氏は「日本人はラッピングの達人だ」と述べ、この日本特有の文化的強みを外交交渉の武器として活かすべきだと助言した。

一方、緊張が続く対中関係については、中国が高市氏の台湾に関する発言等に反発し、経済的威圧や観光客の制限といった圧力をかけたことが、かえって日本国内での高市氏への支持を固め、選挙での地滑り的な大勝に繋がったと皮肉交じりに分析した。

しかし、ウォーカー氏は楽観視を戒め、トランプ氏が4月の訪中時に習近平国家主席と何らかの「取引」を行い、勢力圏を認め合うような事態が起きる可能性に警鐘を鳴らした。その上で、日本は米国追従一辺倒ではなく、自国の国益と「レッドライン(譲れない一線)」を明確にし、必要であれば「静かなる自信」を持って独自のアプローチを取る覚悟が必要だと論じた。

ジョシュア・W・ウォーカー理事長は「トランプ政権下における日本の選択肢」と題した講演で、高市首相の歴史的勝利を好機と捉え、対米投資の巧みな演出と対中戦略の明確化こそが生き残り策であると語った。FCCJ
ジョシュア・W・ウォーカー理事長は「トランプ政権下における日本の選択肢」と題した講演で、高市首相の歴史的勝利を好機と捉え、対米投資の巧みな演出と対中戦略の明確化こそが生き残り策であると語った。(写真/FCCJ提供)

ウォーカー氏は講演の締めくくりとして、世界が分断と混乱にある中、日本の持つ「社会の安定性」や「文化的なソフトパワー」こそが、世界にとっての解毒剤になり得ると語った。

日本は米国に次ぐ経済大国としての地位や、単なる米国のパートナーという立場に安住せず、課題先進国として世界に独自の解決策を提示するリーダーシップを発揮する好機にあると訴えた。

編集:小田菜々香

最新ニュース
名古屋「TechGALA 2026」に過去最多5000人来場 ノーベル賞・天野教授も登壇、次回は12月開催へ
捨てられるパンがビールに、搾りかすが再びパンに JR東日本クロスステーション、循環型グルメフェア「ぐるぐる、つなげる」開催
京成電鉄が押上線直通の「新型有料特急」デザインを一部公開、2028年度導入で成田空港まで30分台前半を実現へ
「日本はカニのようなもの」硬い殻の内側は無防備 テンプル大ブラウン教授がロシア対日工作の歴史と現代の「スパイ天国」に警鐘
森聡・慶應大教授、「トランプ2.0」の対中戦略を読み解く 対中「負担分担」と日本の「モデル・アライ」への課題
門間一夫氏、金融の「失われた30年」終了も実体経済は「失われた40年」へ 成長戦略より「ビジョン主導」の政策転換を提言
自由が丘駅前に新ランドマーク誕生、地上15階の複合商業施設が2026年秋開業
高輪ゲートウェイシティ「MoN Takanawa」の目玉プログラム、バレエ「アレコ」公演詳細が解禁 デジタル技術でシャガール背景画が舞台上に
森ビル、六本木・麻布台など4つのヒルズで「2026年春のグルメ」開催へ 桜・いちご・抹茶をテーマに春の味覚が集結
東京財団・柯隆氏「中国の5%成長は奇跡的な数字」 不動産不況と人口減で深まる構造的デフレに警鐘
第2次高市内閣が発足、「安倍元首相超える」鉄腕で新時代へ 消費税ゼロ・改憲掲げ、3月のトランプ氏会談に照準
TSMC、米国で1000億ドルの追加投資も 半導体協定の詳細は「4月の米中首脳会談後」に公表か
鄭麗文氏は台湾総統を目指して? 台中市長予備選をめぐる「泥沼化」、盧秀燕氏への責任転嫁との指摘も
BUMP OF CHICKEN、サマソニ東京公演に初出演決定 25周年の節目に歴史的登場
サマーソニック2026、特典付き「3DAYチケット」オフィシャル先行販売が2月10日より開始
日本初の全天候型「新秩父宮ラグビー場」が着工 2030年開業目指しSMBCグループが命名権取得
高輪に新ミュージアム「MoN Takanawa」26年3月誕生 手塚治虫『火の鳥』や歌舞伎とテクノロジーを融合
日本最大級「静岡おでん祭2026」、20周年で過去最多75店が集結 2月27日から開催
世界No.1「ヒューガルデン」がパッケージ刷新へ、5月より順次展開 好評の「ロゼ」缶も春限定で復活
『るろうに剣心』アニメアーカイブ展が開幕 1996年放送版の貴重なセル画や絵コンテ公開、入場無料
ファミマ、ねこの日に合わせ「ファミリ~にゃ~ト大作戦!」開催 売上の一部を保護猫支援へ
台北富邦銀行、東京支店の開設認可を取得 第2四半期に開業へ 日台ビジネス支援を強化
【現地詳報】世界初「ポケパーク カントー」完全攻略 無料特典と予約術の全貌
中国、アフリカ53カ国に関税ゼロ待遇を適用へ 台湾と国交ある1カ国のみ「除外」、戦略的影響力の強化狙う
2月20日は「歌舞伎の日」 没入型オペラやスウェーデン人落語家も登場、伝統芸能の最前線をピーティックスが特集
キャリア官僚はなぜ辞めるのか 吉井弘和氏が語る「回転ドア」社会と人材流動化の核心
ベルリン映画祭で「政治との距離」巡り波紋 ヴェンダース監督の発言と対照的な過去、国内ではガザ記録映画の支援続く
【杜宗熹コラム】笑顔の習近平と、悲嘆に暮れる台湾の「青い鳥」 勝者はどちらか
Nothingがインド初の直営店「Nothing Store Bengaluru」をオープン 東京やNYへの出店計画も公表
住友生命、「Vitality スマート」に無料体験プラン登場 1か月間のトライアルで運動習慣を支援
実質490円お得に 住友生命とラントリップ、月額330円で両サービス使える新プラン開始
【杜宗熹コラム】対米関税で露呈した「愚か者」と「悪党」―トランプ政策を理解できない人々への警鐘
西新橋のランドマーク「DLXビルディング」、竣工10年を前にテナント募集へ BCP対策万全の「陸の船」
野球殿堂博物館、「WBC侍ジャパン特別展」23日から開催 歴代トロフィー公開、世界一「連覇」へエール
「金を払わない同盟国は後回し」トランプ氏、武器売却手続きを簡素化 「国防援助の時代」終幕か
名古屋から現場DXを加速、AI・ロボティクスが集結する「第3回 現場 DX EXPO」が2月25日より開催
コミケ50周年展、明治大学米沢嘉博記念図書館で開催へ 初期ポスターなど貴重資料公開
米台貿易協定を検証 米シンクタンク警告「トランプ氏の貿易赤字悪化懸念、為替操作疑惑とTSMC対米投資も火種に」
台湾の億万長者は51人、日本や韓国を上回る世界10位に 米メディア発表
2026年「台湾ランタンフェス」嘉義で開催へ 台湾高鉄が38本増便、観光署は限定「Taiwan PASS」で誘客強化
子育て支援「トモイク」認知度1割強も賛同98%、親の「自分時間」1日1割未満の実態浮き彫りに
バングラデシュ民主化に光明も、なぜ「革命を担った女性たち」は相次ぎ心折れたのか 極端保守派が政権掌握の可能性、女性の権利「100年後退」か
南シナ海めぐり応酬激化 「建設的で専門的な対話を」フィリピン政府が中国側に自制要求
台湾立法院で乱闘、与野党議員10人を起訴 議員同士が負傷し、刑事責任問う展開に
米ギャラップが90年続いた「米大統領支持率」調査の公表を停止 トランプ氏との関係に憶測も