東京財団・柯隆氏「中国の5%成長は奇跡的な数字」 不動産不況と人口減で深まる構造的デフレに警鐘

中国経済は「5%成長」という公式発表の裏で、不動産不況と人口急減という構造的な断崖に直面しており、統制強化から自由化へ舵を切れない限り、本格的な回復の道筋は見えない。(写真/日本記者クラブ提供)
中国経済は「5%成長」という公式発表の裏で、不動産不況と人口急減という構造的な断崖に直面しており、統制強化から自由化へ舵を切れない限り、本格的な回復の道筋は見えない。(写真/日本記者クラブ提供)

東京財団政策研究所の柯隆主席研究員は2026年2月12日、日本記者クラブで「2026年経済展望 激動の世界と日本を読む」と題した記者会見を行った。

柯氏は、中国政府が発表した2025年の国内総生産(GDP)成長率が目標通りの5%を達成したことについて、不動産投資の激減や対米輸出の低迷といった実体経済の指標と乖離していると指摘。中国経済はすでに深刻なデフレと構造的な人口減少の局面に突入しているとの認識を示した。

柯氏は冒頭、中国国家統計局が発表した2025年の経済統計に言及し、政府目標と完全に一致する5%成長について「奇跡的な数字」と皮肉交じりに評した。

その根拠として、GDPの約3割を占めるとされる不動産関連産業の不振を挙げ、昨年の固定資産投資がマイナス3.8%、不動産開発投資に至ってはマイナス17%、住宅販売面積もマイナス8%と軒並みマイナス成長を記録している現状では、5%の経済成長を説明することは困難であると分析した。

また、物価動向については、消費者物価指数(CPI)が0%である一方、企業活動の指標となる生産者物価指数(PPI)が長期にわたりマイナス圏で推移している点を挙げ、企業が設備投資を行えない「完全なデフレ状況」にあると断じた。

貿易面では、対米輸出がマイナス20%と大きく落ち込む中、ASEANやアフリカなどグローバルサウスへの輸出増がそれを補っているとする見方に対し、柯氏は懐疑的な姿勢を示した。

昨年の貿易黒字が過去最大級の1兆2000億ドルに達したにもかかわらず、外貨準備高の増加がその12分の1にとどまっているデータを示し、アフリカ等への輸出急増は、中国政府の経済支援や「一帯一路」プロジェクトを受注した中国企業が、中国から資材を持ち込んでいるに過ぎないと解説した。

これは実質的に「中国国内の貿易」と同質であり、外貨を稼ぐ本来の国際貿易とは性質が異なるとし、持続可能性に疑問を呈した。

中国社会を根底から揺るがす人口問題についても、衝撃的な数字が示された。2025年の出生数は779万人にとどまり、死亡数1131万人を大きく下回ったことで、人口は339万人の自然減となった。合計特殊出生率は0.97まで低下しており、柯氏は「人口ボーナスが人口オーナス(重荷)へと転換した」と強調した。

長年続いた一人っ子政策の撤廃遅れに加え、ゼロコロナ政策後の経済低迷で若年層の失業率が高止まりし(公式統計で16.5%)、未婚化・少子化に拍車をかけている現状を憂慮した。

柯氏は、中国経済がポテンシャルを活かせていない要因として、政治主導の経済運営を挙げた。胡錦濤政権時代(2003年〜2013年)を、成長はしたが改革を先送りした「失われた10年」と定義し、続く習近平政権では反腐敗運動と引き換えに経済統制が強化され、民営企業の活力が削がれていると分析した。

経済回復の唯一の処方箋として「市場の自由化」と、共産党や政府も法の支配下にある「Rule of Law(法の支配)」の確立を挙げたが、一党独裁体制とのジレンマにより実現は困難であるとの見通しを示した。

日中関係については、高市首相の政権下で国民感情が悪化している現状を踏まえつつ、現在の冷え込んだ関係を「新常態(ニューノーマル)」と捉えるべきだと提言した。

かつての「友好のための友好」という幻想を捨て、政治的な対立があっても経済や人的交流を維持する現実的な付き合い方が必要だと説いた。また、台湾情勢については、中国軍上層部での粛清人事や実戦経験の欠如を理由に、短期的な武力侵攻の可能性は低いと分析した。

編集:柄澤南

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