衆院選で歴史的大勝、国内外に波紋
高市早苗首相率いる自民党は、2月8日の衆議院選挙で単独316議席を獲得し、全体の3分の2を超える圧勝を収めた。戦後日本の政治史を塗り替える記録的な勝利となったが、この結果は国内外に波紋を広げている。
台湾国内の支持層からは台日関係の強化に期待する声が上がる一方、地域情勢の緊張激化や日本自身の孤立を招くとの懸念も根強い。こうした中、長年日本政治を研究する台湾の専門家は、「台湾は日本の政治家の発言を『過大解釈』せず、自らの立ち位置を冷静に見極めるべきだ」と警鐘を鳴らしている。
台湾シンクタンク「選挙結果は想定外」
台湾のシンクタンク「対外関係協会」は水曜日午前、「トランプ就任1周年と北東アジア情勢」と題した座談会を開催した。元外交官や学者、メディア関係者ら約100人が出席し、自民党が300議席超を獲得した衆院選の結果が最大の焦点となった。
席上、輔仁大学日本語文学科の何思慎(か・ししん)特聘教授は、「日本人の多くも予想していなかった結果であり、皆が驚いている」と指摘。一方で、外部が注目する憲法改正については、「衆参両院で3分の2以上の賛成が必要だが、半年前の参院選で自民党は苦戦しており、ハードルは依然として高い」と分析した。

議会を経ずに「安保変革」を推進か
何教授は、高市首相が参議院での劣勢を回避し、国会の議決を必要としない手法で安全保障政策を推進する可能性があると予測する。
具体的には、政府の「安保三文書」改定や新たな防衛大綱の策定などが挙げられる。さらに、北大西洋条約機構(NATO)の「核共有(ニュークリア・シェアリング)」をモデルに、有事の際に米国の核兵器を日本に配備・運用する構想を進める可能性もあるとした。ただし、この決定権はあくまでトランプ米大統領にあると指摘した。
「津軽海峡封鎖」というカード
何教授はさらに、日本政府が取り得る将来的な行動の一つとして、日本が「群島国」としての権利を主張し、北海道と本州の間の「津軽海峡」を国際海峡から日本の「内水」に変更する可能性に言及した。
これは国際法に合致する措置だが、日本が津軽海峡を封鎖すれば、中国やロシアが太平洋へ出るルートを遮断することになる。その反動として、中国が台湾海峡に対してより強い野心を抱くリスクも高まると分析した。

高市氏は「極右」ではなく「ビジネス右派」
高市首相が「極右」か否かという議論について、何教授は日本の専門家の見解を引用し、「高市氏は『ビジネス右派』であり、戦前の右翼とは本質的に異なる」と説明。また、高市氏は歴史や近代アジア主義への理解が限定的であるとの見方を示した。
歴史認識においては、「日中戦争は侵略ではなく自存自衛の戦争だった」とする伝統的右派に近い主張を展開しているが、それが直ちに「極右」と断定できるかは慎重に見極める必要があるとした。
日米関係と「台湾有事」の現実
今後の日米関係について、何教授は麻雀に例え、「高市氏がトランプ氏と『足並みを揃え(対錶)』ようとしても、関税戦争で『ツモ(自摸)』あがっているトランプ氏に対し、日本が米国の優位を崩すには相当な対価が必要だ」と指摘した。
また、「台湾有事は日本有事」論については、自衛隊の海外派遣には相手国の同意が必要という法的制約を指摘。「一つの中国」政策を堅持する日本が台湾に部隊を送るには中国政府の同意が必要という矛盾があり、この制約を突破しようとすれば、日本の「一つの中国」政策そのものが揺らぐことになると解説した。
台湾への提言「日本に迷惑をかけるな」
最後に何教授は、台湾社会に対し「日本の政治家の発言を『過大解釈』してはならない」と呼びかけた。
「真に日台友好を望むなら、日本に迷惑をかけてはいけない」と述べ、民進党政権に対しては、難易度の高い政治課題ではなく、文化や経済といった実務的な分野から関係強化を進めるべきだと提言した。
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編集:丁勤紜、小田菜々香 (関連記事: 柴思原氏の視点:電撃解散と「高市効果」──自民党が3分の2超を確保した背景 | 関連記事をもっと読む )
















































